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美しく、哀しいものを見た─OPUS:星歌の響きをクリアしたものの残骸

 ForgottonAnneというゲームがある。物語の結末に完璧さを感じてしまい、筆者が二度とゲームを起動できなくなった作品だ。
 忘れ去られた者たちがたどり着く異世界で、たった二人だけの人間である主人公、アンが冒険し、世界の秘密に気づく物語。

 正直、こんな感情を抱いてしまう作品には二度と出会えないだろうと思っていた。ここまで心に傷をつけられたのは初めてだったのもある。

 だが、今年また新しく大きな傷をつけられてしまった。それも、上記のものとは別の形で。
 ForgottonAnneは、もう選択をやり直したくないという気持ちで。そして今回記事にする作品、OPUS:星歌の響きは、ゆっくり休んでいてほしいという願いで。

 エンディングを見た直後は何も言い表せないくらい、心がしっちゃかめっちゃかになっていたが、時間をおいて少し落ち着いたので、こうして忘れないうちに書こうと思った次第だ。

 例にもれず覚えてる限りでネタバレをしていくし、記事を書く気なんぞプレイしてた時にはなかったので、公式から持ってきた画像ばかりになるのはご容赦を。
 あと感情で書きなぐっている部分があるのでぐちゃぐちゃになっているかもしれない。


概要

OPUSシリーズとは

 OPUSシリーズとは「悲しいけれど、どこか心温まる物語」をテーマに、台湾のSIGONOスタジオが開発しているゲームシリーズ。現在3作品がリリースされており、最新作である写心呉山が開発中だ。

 個人的なシリーズの印象としては、クセのある登場人物たちが衝突したり、お互いの傷を見つめなおしたり抱えたりして、それでも前を向いて進む先に、ほんの少しの光がある……といったところだろうか。

 OPUSシリーズのキャラクターは基本和気あいあいと言った雰囲気は少なく、どこかピリついていたり、トラウマを抱えていたりする人たちが多い。ひねくれてたりなんだこいつとなる存在も割といるので、好き嫌いは分かれるだろう。
 自分は、こういう人間臭い、完璧じゃない登場人物たちがどうにも嫌いになれない……というかむしろ好きなので、このシリーズが好きだ。

 また、シリーズを追うごとにゲーム開発の技術が上がっているのが目に見えて分かるのも個人的に好きなところ。2Dのポイントクリックゲームから、時間制限のある探索ゲーになり、ついには資源管理をしながら銀河を旅するアドベンチャーになった。
 開発中の最新作は星歌よりも精工になった3Dグラフィックで送る、ノスタルジックなアドベンチャーのようで、今から楽しみにしている。

OPUS:星歌の響きについて

 OPUS:星歌の響きはOPUSシリーズの最新作で、宇宙を舞台に旅するアドベンチャーだ。一部ボイスの抜けはあるものの、メインストーリーはフルボイスとなっている。

 龍脈から得られるエネルギーを巡り、貴族の青年であるリバクと、龍脈の「声」を聴くことができる巫女エイダ。二人が出会い、龍脈探査をしていく旅路を老いたリバクが回想する形で進んでいく。

 イベント網羅などを考えなければ、クリアまでは10~15時間ほどだろうか。自分は一度もゲームオーバーにならず、サブイベントはそこそこ回収する形で12時間ほどでクリアした。

 本作の魅力、というかシリーズ通しての魅力だが、音楽がとてもいい。遠くに呼びかけるような、よく透る感じのものが多いので、試聴してみて気に入ったらぜひ購入してほしい。

システム

 龍脈を探索するパートと、資源残量に気を付けながら宇宙を旅するパートに分かれている。

 宇宙を探索するパートでは、燃料、装甲に気を付けつつ各地を探査し、資材を得て補給地点で売買をしてまた遠くへ……といった感じで旅をしていく。場所によってはショップのほか、様々なサブイベントが発生することも。他にも、宇宙を旅している間にランダムで発生することもある。

 サブイベントはものによってはダイス判定が発生し、目標値以上が出れば成功となる。成功しないと取り逃すアイテムもあったはずなので、ちょっと賛否分かれる部分かもしれない。
 ダイス判定以外にも、特定のアイテムがなければなければクリアできないものもある。基本的にどのイベントも一度きりなので、コンプするとなるとクリア後に解放されるチャプター選択機能を使わないときついだろう。

 特定の龍脈内で行う探索パートでは、龍脈由来のエネルギーである理気で動く仕掛けを操作し、先へ進んでいくことになる。最奥にたどり着き、状態を確認するまでがミッションだ。

 データの記録はすべてオートセーブなため、セーブマークが出る前にゲームを閉じると進捗がリセットされてしまう。プロローグ部分は特にセーブ間隔が長いので、しっかり確認してからゲームを閉じよう。筆者は一度それでだいぶ巻き戻された。

ストーリー

プロローグ

 瀛海えいかいの貴族の一つ、鳶家の当主である老人、リバクが、未附番の龍脈に降り立つところから、ゲームは始まる。リバクはどうやら、未探査とされている龍脈にいるエイダに会いに来たようだが……。

 龍脈が結び付けた二人が、別れが決まった旅に出る──

本編

 メイン部分となる本編は、老リバクからみた約66年前。瀛海で問題を起こし、一族が所有する龍脈を没収されてしまったリバクは、半ば逃げるような形で従者、カイトとともに山塊さんかいと呼ばれる宙域を訪れるところから始まる。

 ここで龍脈を見つけ、一族に献上することで再興することを目標に龍脈情報を探す中、商談でトラブルになったときにいけすかない女性が割り込んできて……。

 偶然ともいえる形で出会った二人が流されるように旅を一緒にすることになり、時にぶつかり、時に分かち合いながら進む先に待つ、一生分の後悔とは。

 本作は東洋神話スペースオペラを組み合わせた作品だそうで、日本人的に言えば大河ドラマでSFをやっているような内容となっている。
 ワードは難読なものも多く、専門用語も出てくるのでとっつきにくい感じもある。旅の中で断片的に入手できる神話の内容もわざと考察の余地を残しているそうなので、そういった部分を考えるのもゲームの醍醐味の一つだろう。

 余談だがこの記事では考察とかは一切しないしクリア後に見た考察内容とかも関係なしでその時の感情のみでつらつら書いていくのでご了承を。

ゲームの感想

 こんな記事を感情のままに書いてる時点で察してくれ。

 OPUSシリーズは今出ている3作品ともすべてにおいて、主人公陣営内で中盤の山場で持っている情報の差異や価値観の違いによっていさかいが起きるのが恒例行事になっている。(少なくとも自分はそう思ってる)

 このギスギスはある意味「考えていることを話せばもう少しどうにかなるだろ……!」とプレイヤー視点だと思うのだが、様々な背景を考えるとどうしようもないなともなる。他人を容易に信用できなかったり、相手に言い聞かせるようなものでもないトラウマだったり、長い間人とかかわってこなかった弊害だったり。
 なんか妙にリアルさを感じてちょっと気持ち悪くなったりもするのだが、この諍いは必ず乗り越えられるというのがちゃんと毎回描かれているので、そこは安心してほしい。

 ただ今作は他2作よりもストーリーがかなり長く、メインの二人以外に多様な登場人物が出てくるのもあって完全に打ち解けるまでが長く感じる。また打ち解けたとしても真正面から向き合うまでいくのはもっと長く、加えて二人と一緒に旅をするラミアという、リバクを毛嫌いしエイダを慕う少女の存在もあって、前半中盤は見えてる地雷を見つめ続けるような不安感がずっと付きまとう。

荒んだ過去を持つラミア。エイダを姉さまと慕い、二人の旅に入ってきたリバクを毛嫌いしている

 そんな中でも一行は言葉を交わし、出会いと別れと繰り返してそれぞれの目標のために龍脈探査を続けていく。
 リバクは一族のために、とずっと言っていたが、少しずつ成長し、エイダの目標へ協力する姿勢を見せていく。
 エイダもまたリバクのひた向きな姿勢に感化され、徐々に態度を軟化させていく。

 しかしラミアはそうではない。二人の距離が近づく中、一人置いて行かれたように鬱憤を募らせていくラミアが、中盤最後の山場を彩る。

ラミアについては後述する予定のキャラクターでも触れようと思う。ひょっとしたらこの作品で一番好きかもしれない。

 世界情勢もじわじわと不穏な気配を見せてくる。といっても、メインにじっくり据わるわけではなく、この先の情勢の暗い予感と結末を見せてくれる程度ではあるのだが……。最後に心に来るエピソードに盛り込まれるのでここは本当につらかった。

 山塊でかつて起こった龍脈大戦を勝利した鉱連と、龍脈協会の静かな利権争い。裏で武装配備の動きを見せ、独裁的な法律を行使し始めた鉱連に対し、龍脈協会は実績を積んだエイダ達一行に秘密裏にある龍脈を、鉱連よりも先に探査することを命じる。もう不穏の塊だ。

 しかもその目標は、かつてエイダの師匠が鉱連に探査を命じられ、失踪することになった龍脈だった。

 エイダにとってその龍脈は、師匠への大きな手掛かりであり、目的地。一行は政治的意図に挟まれながらも、目標へと突き進んでいくのだが──

 これでまだ中盤なのだから恐ろしい。ここを乗り越えた先にある終盤で、ついにリバクは66年に渡る後悔。エイダとの別れを経験することになる。

 エイダとリバク、ラミアに何があったのか。物語の結末は記事の後半にでも記述するとしよう。
 物語を終えた後のどうしようもない感情についても同じく。

キャラクター

リバク

リバクが突き立てているのは鳴戒杖(めいかいじょう)。龍脈探査には欠かせない道具だ

 プレイヤーの分身であり主人公。あらゆるアーカイブやアイテムなどのフレーバーテキストは、すべて老いたリバクの視点で記されている。
 従者であるカイトとともに、瀛海から亡命に近い形で旅立ってきた貴族の息子。龍脈探査は瀛海貴族では当たり前のように行うことであり、「奏」という技術を使い、龍鳴を操り龍脈に施された仕掛けを解くことができる。

 幼いころに母親を亡くし、末の方の息子であったために一族で冷遇されていたこと。加えて世間知らずであったこと。それに加えて直情的でまっすぐな性格が災いし、序盤で取り返しのつかない失敗を犯すことになる。

 性格は表向きは真っすぐで誠実。貴族然とした言動をとっているが、その実家族という存在に執着しており、特に幼いころから面倒を見てくれていたカイトにはかなりなついていた。
 山塊に来た当初は龍脈を見つけ、一族の再興に必死になっていたが、年月を経るにつれてエイダのために役立とうとするようになる。これは、彼自身も言っていた通り、エイダ達を家族として認識し始めていたからだ。
 山塊を出て数年、リバクにとってはかなり大きな存在となっていただろう。

 だからこそ、最後の別れの時の感情は想像に難くない。何を思い、リバクは66年、エイダがいる龍脈に行く機会を待ち続けていたのだろう。

エイダ

龍脈の声「龍鳴」を聴くことができる巫女。エイダの才能はその中でも飛びぬけている

 本作のヒロイン。龍脈探査へ連れていかれたまま消息を絶った師匠を探し続ける巫女の女性。
 巫女とは、かつて存在した勢力巫女の塔で育成され、実力を認められた者たちのこと。龍脈が発する音である龍鳴を聴き、歌を奏でて龍脈の座標を示すことができる。
 また、龍脈大戦期には艦艇に乗り、生きた生体レーダーとして人間兵器のようにも扱われており、戦後は鉱連のプロパガンダより迫害される身分となっていた。

 エイダもまた巫女見習いとして古郷から連れていかれた存在。当時108番の名を与えられていた彼女はその非凡な才能を発揮していたが、のちに喉にかかわる病気を患い、落ちこぼれになってしまった。そのころに出会った師匠に補声機を与えられ、ふたたび巫女になれる実力まで駆け上がるも、時勢は龍脈大戦末期。巫女はもう必要とされていなかった……。

 エイダは表向きは強く、自立しており、包容力のある女性のように見える。だがその中身はグラグラとふらついており、様々なものに寄りかかるように生きてきたのが回想で描写されている。
 おそらく彼女もまた家族から切り離された環境だったのが影響しているのかもしれない。明言されていないので推測するほかないのだが。

 エイダもまた、旅をするなかで成長していく。リバクと違うのは、その最終的なきっかけは、過去に言われ続けていた様々な言葉たちというところ。答えはすでに提示されていたのに、見つけられていなかった。エイダの成長の仕方はもしかしたら、悟りとか、そういう宗教的な概念に近いかもしれない。

考察とか見ると、エイダとリバクは神話の彼らと関連するんじゃないかとかはよく言われているし。

ラミア

終始毒舌全開だしで好き嫌いは分かれるかもしれない

 一行が航行する船、紅楼こうろうのエンジニアでありパイロットでありハッカーであり情報収集担当。一番年下だが育ちのせいか能力が多才
 幼い年齢と性格であり、エイダをお姉さまと慕っている少女。それゆえに突然転がり込んできたリバクをひどく毛嫌いしており、作中時間で数年たってもまだ倦厭している筋金っぷり。終盤和解するまでこの言動は続くので、彼女を嫌いになるかどうかでプレイ続行するか分かれるかもしれない。

 とはいえ、嫌っていたとしても業務には真摯に向き合う仕事人。シビアな場所で生きてきたからか、やるべきことはちゃんとやるという真っ当な価値観を持っているし、リアリストな面もある。リバクやエイダが突き進もうとする中で反対する場面が多いので、そういう意味でも立ち位置が際立つキャラだろう。

 彼女がリバクを酷く嫌うワケだが、回想を通して過去を見てみると何となくわかる。兄を名乗る人物により、裏稼業に関連する一通りを教わった戦災孤児。その後一人生きていたところをエイダに救われ、一緒に自分を好きになるよう頑張ろうと手を差し伸べられたのが始まり。

 この作品の主要人物は皆何かしらに依存し、それから抜け出し一人で立つまでを描いていると勝手に思っているのだが、例にもれずラミアもエイダという存在に依存していた。なんなら一番わかりやすいかもしれない。
 ずっと手を引いてくれていたエイダが自分から離れ、リバクとともに自分より先に歩き出していく。置いていかれてる気持ちになっていたのかもしれない。

 中盤の最後、リバクが探査中に龍脈が砲撃にあい、通信が遮断される事態が発生する。紅楼で必死に冷静を装って状況を整理し、リバクの安否を確認するラミア。エイダに問い詰められて、そこでようやく彼女が面と向かって不満を爆発させた場面はなんというか、ここまでずっと我慢していたんだな……という感情を抱いてしまう。

 ラミアはその後エイダと向き合い、気持ちを吐き出すことでようやくすっきりし、リバクを受け入れられるようになる。ラミアの成長に厳密にいえばリバクは必要なく、エイダと向き合う必要だけがあったというのはなんともラミアらしいといえばラミアらしいところだ。

 それだけにエンディング、エイダと再会することなく逝ってしまったラミアの無念さはいかほどだったのだろうと考えてしまう。

カイト

登場自体は序盤のみだが、リバクに与えた影響を考えると存在が大きすぎる

 リバクの側近であり従者であり、育ての親であった武人。リバクの無茶な行動に付き従い、その中で最善の選択肢を取ろうとし続けた人物。

 多分一行にいたら円滑なコミュニケーションをとれていたかもしれないし、逆にラミアと言い争いになって取り返しのつかない溝を作っていたかもしれない人。だから死んだ

 幼少の頃のリバクと出会ったころにその真っすぐな言葉に心を打たれ、以降一人リバクを支え続け、従者として家族として傍で支え続けていた。
 とっさの機転もきき、言っては何だがリバクがいなければもっと長生きできただろう人。だがその代わりに心は死んでいたかもしれない人。

 リバクの考え方の根幹にはカイトと、母親の言葉がある。リバクが一族の再興にこだわり続け、年数がたってエイダ達となじんだ頃にもまだ迷い続けていたのには、カイトを犠牲にした負い目もあったのかもしれない。
 回想でカイトばかりが登場するのを見ると、リバクにはカイトしかいなかったのだろうな。ある種、エイダにとっての師匠に近しいものだったのだろう。

声優さんがすごく力強い声でキャラに深みが増してた

 エイダの師匠であり、巫女の塔がなくなった後に引き取り養育した母親のような存在。
 言動がひたすらに謎めいている人

 歌声が出せなくなり、それでも友達と共にいるためだけに必死に食らいつこうとする108番(エイダ)と知り合い、何を思ってか調声機を与え、歌声を出す方法を教えた。

 その後にも上述の通り戦後エイダを引き取り、かつての軍用船を改造。草花を栽培し売り歩く商人として生計を立てていた。
 108番にエイダ・ラムという名前を付けたのも彼女である。

 植物の名前からとったというこの名前は作中でもキーワードになるのだがこれは後述。だが、その名前をわざわざ紅がエイダにつけた、という事実がこの物語の謎を深めている。
 ほかにもエイダに対し「新世代の巫女になれ」や「自分の魂と向き合うのだ」「自分に呼びかける魂は自分だけ」など、どこか導くような、なぞかけのような言葉ばかりをエイダに残している。

 彼女はいったい何をエイダに感じ、何を示していたのだろうか。これに関しても作中では明らかになってない。もしかすると、な考察もあるが、答えはない。

 彼女はエイダと数年すごしたのち、鉱連に乞われ伝説上の龍脈黒龍を探す部隊に参加。そのまま行方不明となった。6年たった本編現在でも消息は知れず、生存は絶望的な状態。だがエイダはあきらめきれず、ラミアを連れて山塊までやってきて、リバクと出会うきっかけとなる。

キーワード

 思いつく限り書こうと思ったけどこれ以上長くなってもなと思ったから詳細知った方がいいなと思ったところだけ。

万道神話

この文面一応解読できるらしい

 万道まんどう。かつて山塊全域を支配していたとされる伝説の古代王国。万道神話はその起こりから滅びまでを記したとされる神話だ。
 乙皇おとこうによって龍脈のエネルギーを活用する方法がもたらされ、地母の歌声で国は繁栄。
 しかしその歌のせいで恒星であり主神である燭龍が暴走。乙皇は自然災害の一種だと主張したが、配下の十山諸神のうち六山が地母の唄のせいだと主張。天と地に分かれて戦争が勃発。

 最終的に六山が地母を奪取し処刑。守り切れなかった四山は乙皇のもとに地母の遺体をなんとかもちかえり、乙皇は悲しみに暮れながらその遺体を大荒に埋葬。来世で会うことを祈りながら乙皇は息絶える。

 作中の文面や碑文にちりばめられている内容からするに、おそらくこういう内容の神話と思われる。多分。あとメインに関連する遺跡で幻影のように見える映像でもそんな流れだったので。

 これ自体は本編とはあまり関係ないのだが、どうやらリバクとエイダの関係性の考察に使えるらしい。この後記述するが、自分が見てた内容的にもなんかそんな気がするなぁ……みたいなところはあった。

乙皇

 古代文明、万道を興した存在。幻影で見る限りほかの古代文明人よりもかなり大柄な人物。地母と愛し合っていたようだ。
 どうみてもオーパーツな龍脈の整備や災害の原因を科学的に考えているような碑文が残っているので、優れた頭脳を持っていたのかもしれない。
 地母をある龍脈に埋葬したのち燭龍によって死亡。現実的に考えれば燭龍がもたらした災害によって死んでしまったのかもしれない。

地母

 乙皇によって見いだされたのか、偶然出会ったのかは不明だったかな確か。ともかく、歌で龍脈を操ることができた可能性がある女性。
 龍脈に関する歌、ということで巫女の源流なのだろう。巫女の塔での信仰対象でもあった。
 燭龍による災害を沈める為として六山諸神により処刑。首を六柱から同時に槍で刺されるという非業の最期を遂げている。
 遺体はある龍脈に埋葬されている。

太乙たいいつ

 リバクの出身である瀛海で信仰されている神で、乙皇の魂のかけらとか言われている。その子孫が瀛海貴族であるとも。
 ふーーーん???なるほどね?

魂芳花(こんぽうか)

 学名エイダラム
 原産地アリアナン
 繊細で栽培しにくいが、芳醇な香りが人を惹きつける
 エイダ・ラムという名前の由来

黒龍

ここがラストダンジョンだと思ってた時期がありました。いやラストダンジョンだけど

 伝説上の龍脈。とだけゲーム中では言われていた。
 その正体は彗星として宇宙を飛ぶ巨大な龍脈。リバク達が活動する山塊に接近するのも数十年から百年周期とされ、それを逃せばいつ再接近するかもわからない。
 そこは地母の墳墓が……ない。むしろこちらはトラップ。

 死後、地母の墓が荒らされることを警戒した乙皇が仕掛けた龍脈丸ごとを使ったトラップの遺跡である。愛が重いよ……

白龍

 別れの地。地母の墳墓。

 そして、紅とエイダが眠る墓所。

 リバクとエイダが、長い時を経て再会した龍脈。

終盤の話

 何か長々と話そうと思ったけど、ネタバレどころじゃなく一から十まで書こうとしてしまう。本当にこの流れは衝撃的だった。

別れの話

 終盤に入ったころ、プレイヤーが所持している66年後の情報は以下の通りだ。

  • リバクはエイダとプロローグに降り立つ龍脈で別れた?

  • ラミアの生死は不明。

  • リバクは鳶家に戻り、当主になっている。

  • 愛用していた鳴戒杖が龍脈に落ちている

  • 宇宙船に乗せていた龍鳴なども同様

 以上のことから自分は、何かしらの要因でリバクがエイダ、ラミアと別れることになり、その後エイダとラミアが目的の龍脈にたどり着くも墜落、死亡。リバクは長い時間をかけて龍脈を見つけ出して墓参りに来た……と思っていた。鳴戒杖のことすっかり抜かして考えてたなと今にして思う

 実際には白龍に行くには燃料的問題があるため、一度戻り、再び接近するときのために十分な準備をしようと、エイダを説得した直後に、デブリによる事故が起きる。

 この説得の時、ラミアもまたエイダを止める立場に回ったのには泣きそうになった。ラミアはずっと、エイダの意志だけは止めようとしないようにしていたと思っていたから。
 危険な道程なのは最初からわかりきってただろうし、もしかしたら、ずっと止めたかったのかもしれない。

 消火活動のさなか、操縦室とその他の部屋が分断。消火活動を行っていたラミアとリバク、操縦を行っていたエイダが分かれてしまう。

 エイダは気丈にふるまいながら負傷したラミアを背負ったリバクを倉庫に誘導。話をそらしている間に、紅楼から切り離した。

 そこは、脱出と独自航行が可能なユニット。エイダは独り、燃える紅楼とともに、届くとも知れない白龍への片道切符を切って飛び去って行った。

 最後、エイダが話をそらすため、そして謝罪するために探させた草花が、魂芳花である。その花言葉は──

…………。

 そしてリバクは失意の中瀛海へと戻ることになり、ラミアは意識を失っている間に最愛の家族を失ってしまったのだった。
 いやあの……本当に急な別れで心の準備ができてないんだが???は????????とずっとなってた。丹念に入念に「もうこの船は助からないよ、ついでにエイダは脱出できないよ」を描写として積み重ねていったの許さない。

それからの話

 瀛海に戻ったリバクは一族に龍脈を献上し、地位を上げながらいつか来るであろう白龍再接近に備えることにする。再び、エイダと出会うために。

 時勢は刻々と変化していく。山塊で第二次龍脈大戦が勃発し、(明言はされていないがおそらく)鉱連が勝利、龍脈協会は消滅。かかわっていた人々の消息も途絶えていく中、リバクはどうやらラミアとだけはやり取りを続けていたらしい。

 どころか最終章で鳶家の従者がラミアの遺言を伝えてくれるので、鳶家自体ともかかわりがあったのかもしれない。

 そう、遺言。

 ラミアは白龍に訪れることなくその命を落とした。おそらく老衰か、病だろう。ラミアが長い間生きていたのは正直ほっとしたが、同時にエイダに再会することなく逝ってしまった辛さを想像して胸が苦しくなる。

 リバクはラミアからの遺言を受け取り、同じ墓にエイダの遺品を入れてやろうと決意しながら白龍の奥地へと進んでいく。
 そこにあった景色は──

 ネタバレありとは言ったが、正直この先のことは自分の表現力では書ききれない。是非各々の目で確かめてほしい。
 自分はあまりにもきれいで、それなのに悲しくて辛くて、涙がずっと止まらなかった。何も言葉にできなかった。

 リバクとエイダは再会できた。それだけ。

救われず、でも救われた話

 ハッピーエンドとかバッドエンドとか、野暮なことを言いたくはないが、今作は間違いなくメリーバッドエンドだといえるだろう。
 OPUSシリーズはこれまでも「あれでもよくよく考えたら世界はやばいまんまだよな……?」という状態でエンディングを迎えていたが、今作はよりそれが強調されているといえる。

 世界情勢に光は見えず、かかわったものは皆もういない。リバクはエイダと再会できたがそれだけで、もう老い先短い命だ。

 目の前に積みあがっている問題は何も解決していないし、そもそも解決できるような力はリバクにはない。そういう世界だった。

 でもそれでも、だからこそリバクがエイダと再会するという、そこだけは叶えられた。それだけで、確かに物語として救われたものがあったと思う。

 あそこでもう終わり。それでいいんだと思った。
 だからもう、自分はこのゲームをやりたくないと思ってしまった。そういう結末で、そういう景色だった。

余談:魂芳花

 実は魂芳花には一つ、万道神話にまつわる考察がある。考察しないといったがここだけ話したい。
 亡くなった地母を埋葬した乙皇は、彼女の魂を「魂花」に込め、万の華によってその魂が清められ、一万年ののちにまた逢おうという誓いを立てた。

 魂花。どこか魂芳花と近い言葉のように感じる。

 また、芳魂という言葉には花の精、あるいは美人の魂という意味合いがある。偶然、とはなんとなく思いたくない。

 リバクとエイダが本当に乙皇と地母の生まれ変わりだったかはわからない。正直どちらでもいいとも思う。
 ただ、魂花が魂芳花とするなら、あの満開の魂芳花の中、エイダとリバクとは別で、乙皇と地母も再会できていたのだろう。

 二向無常。その門を超えたものは、時空を超えて人と巡り合うことができる。リバクはその門を、物語の最初に乗り越えていた。
 ならきっと、どっちも再会できてるんじゃないかな。そうだといい。

最後に

 さんざ乱雑に思ったことをひたすら書き連ねてきたが、読みづらかったら申し訳ない。
 この作品は本当にいいもので、一人でも多くの人にプレイしてみてほしい。
 ただキャラクターのクセが多少あるので、好き嫌いが出る可能性は避けられないことにはご注意を。実際キャラを好きになれなかったというレビューはちらほらある。

 この作品はNetflixでアニメ化予定なので、ゲームはちょっとと思ったらそちらを待つのもありかもしれない。

 それでは。

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