デレラの読書録:伊藤邦武『プラグティズム入門』
プラグマティズムとは何か。
パースから始まり、ジェイムズ、デューイ、クワイン、ローティ、パトナム、そして現代のニュープラグマティズムへの潮流をざっくり知ることができる。
プラグマティズムは「真理」について真摯に向き合う思想である。
真理とは何か。
懐疑の果てに疑い得ない真理に本当に至ることができるのか。
普遍的で不変の真理というものがあるのか。
もし真理がないとしても、わたしたちは「真理のようなもの」を便利に使っている。
何が「真理のようなもの」を保証しているのか。
プラグマティズムはそれらを突き詰めていく。
科学分野において、いまは上手くいっている仮説さえ真理とは言えない。
いつ反証されるか分からないからだ。
突き詰めていけば日常のコミュニケーションすら怪しい。
わたしたちは正しく信念を交換出来ているのか分からない。
真理への疑いを突き詰めていけば、わたしたちは相対主義に辿り着く。
正しいものは何もない、全ては相対的に何となくぼんやりと個別に信じられているに過ぎない。
しかし本当にそうだろうか。
わたしたちのあいだで「正しさ」は機能しているのではないか。
「正しさ」への嫌疑、「正しさ」の喪失への不安、「正しさ」への信仰。
正しさを神秘化するのとは別の仕方、その探究。