ビットコインの雪解け?!ウクライナ情勢による影響は?
毎週水曜日にお届けしていましたマーケットレポートですが、今週からは火曜日に配信いたします。
前週からの動向
BTC(ビットコイン)は高値から反落し、480万円台を挟んで推移となり、 先週号で警戒を促した通りの下落となっている。
先週発表された米消費者物価指数が市場予想を上回り約40年ぶりの数値となったことや、雇用統計での強い結果を踏まえて、次回のFOMCでは50bp利上げを急速に織り込み始めたこと、ウクライナ情勢が改善の余地が見い出せず、欧米各国では民間人の国外退去令が出されたり、16日にロシア軍が侵攻を開始するだろうとゼレンスキー大統領が発言するなど、予断を許さない状況が続いている。
テクニカル的には、直近の最高値とその後の下落のフィボナッチの戻し38.2がある530万円手前が非常に強いレジスタンスラインとして意識されているため、近付いてきたところでは売り圧力が高まることが予想される。
ここを上抜けると一気に最高値を意識する局面になってくるため注目したい。
RSIやボリンジャーバンドなどを見てもやや上昇局面にいるものの、一旦落ち着いた位置であり材料待ちの状況。
アンバーグループの投資家向けレポートの解説より、マイナー勢の取引フローから、この下落でも売り越していない状況で、さらなる上昇を見込んでいるようだ。一方下値を警戒したオプションの増加はしっかりしているため、最悪の状況を想定したトレーダーもいると見られる。
マイナー勢と言えば、ビットコインネットワークのハッシュレートが過去最高を更新したようだ!思えば2年間は中国勢のマイナーが全体の約6割となっていたが、当局主導の一斉撤退によりハッシュレートが大きく下落した時から比べると、マイニングマシンは世界に拡散され、ハッシュレートの厚みを持たせることに成功し、約4倍近い数値まで上昇している。
ディーラーとしては、特に米国の比率が高まれば価格にもプラスに働くと思われるため、ウクライナなど東欧でのマイニングファーム撤退先がどこになるか、今後のマイニングの動向に注目している。
市場動向
市場は上記の通り、FRBの積極的な金融引き締め観測から、米長期金利の先高観が強まっている、一時米10年債は大台の2%台を回復するなど、金利を意識した暗号資産(仮想通貨)トレーダーも増えてきているのではないだろうか。FXや株などの知識を持って暗号資産に参入してきたお客様にとっても戦いやすい土壌が出来つつあるのは、国内でも裾野を広げるチャンスだと考える。
一方、ウクライナ情勢では、資源国のロシア、農業国のウクライナとの紛争であることから、原油・鉱物・小麦と幅広く相場を押し上げる状況となっている。ロシアが産油国であることから、原油先物価格は100ドルが射程圏内となっており、ハイテク機器に必要な鉱物の依存度が高いことから、各鉱物の商品価格上昇、一段のインフレ進行、長期金利上昇、株を売って商品を買うといった環境が意識されているようだ。
もちろん、ハイテク機器にも徐々に影響が出始めているということは、株価急落時にBTCとの相関が高まることが判っている、ナスダックへの影響も出てくるだろう。
一方で、恐怖指数が高まるようなリスクオフムードなので、安全資産である金価格上昇は予想された通りだが、インフレヘッジ対象としてBTCが一部では選ばれていることを頭の片隅に入れておきたい。
レポートで皆様に発信してしまった「オリンピック期間中に悪化は無いだろう」とした自分が恥ずかしい限りだが、ロシア側は対話の意思があるような発言も出てきている。
最悪な状況となっていることから緊張の度合いを測るためにも、長期金利と金の動向を見ながら、ポジション量をコントロールする上手いトレーダーを是非目指していこう。ポートフォリオ見直しはお早めに。
ただし、他の市場を見ても必要以上に警戒されていることから、もし対話での解決となると、巻き戻しのエネルギーは膨大なものになりそうなのでヘッドライン勝負の1週間になるだろう。
■直近の注目イベント
2/16 FOMC議事要旨
2月上旬 バイデン政権による暗号資産にかかる大統領令発表
3月中 グレースケールBTC信託をビットコインETFに転換申請の結果発表
筆者:前田慶次
参照:Bitcoin日本語情報サイト
Amber Market Insight
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