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斎藤幸平の「オリンピックをボイコット」は正しいが、少しだけ違和感。

NEWS23での斎藤幸平氏のコメントが話題になっています。
「スポーツウォッシュに加担したくない。」「ロシアは出場できないのに、国際司法裁判所も違法としているイスラエルが参加している。みんながオリンピックよかったね!ってなるとパレスチナの人が忘れられたことになるので抵抗している」

いつもオモシロ批評か薄口コメントでお茶を濁している割には今回は頑張ったな、という印象です。ただ、「ダブルスタンダード」という指摘には少しモヤっときました。ほんとうに重箱の隅をつつきたいわけではないのですが、IOCが「じゃあロシアもイスラエルも招待します」となったらフザケンナという話じゃないですか? ダブルスタンダードなのが問題ではなく、平和の祭典という偉そうな看板を掲げておきながら虐殺•侵略国家に参加権を与えているのが悪いわけです。斎藤氏からすると「言わなくてもわかるでしょ」って感じなんだと思いますが、言わないとわからない人も絶対にいます。虐殺国家を平和の祭典に登場させることで暗に虐殺行為を正当化することになる、というとこまで踏み込んで批判しなければならないです。それで言えば、「パレスチナの人が忘れられたことになる」の部分も少しトーンとして弱いですね。物足りないです、ハッキリ言って。

何だろう、やっぱり斎藤幸平氏の発言て微妙にわかりづらいんですよね。トントントーンて一段飛ばしみたいに話が展開していく。左派の人たちは毎日ニュースチェックして仲間内で議論しあっているから、足りない部分も自動で脳が捕捉されて違和感を持たない。ただ、そうでない政治無関心層にとっては右から左です。
もちろん斎藤氏はそこら辺のコメンテーターよりはマシなのですが、これで左派が「地上波でよく言った!」とガス抜きさせられてしまうことを考えると、けっこうめんどくさいなと思ってしまいます。数少ない左派枠を彼が使っているのだとしたら、もっと違う人出してくれよって言いたくなります。

言うべきことはもう言い終わったのでここからは少し身内批判になりますが、そもそも「ダブルスタンダードか否か」を重要視しているのって左派くらいだと思います。論理が一貫しているかどうかをすごく厳しく見ている。これ自体は良いことです。自分もそうありたいと努力しています。ただ、民衆に問題点を伝える時にダブルスタンダードかどうかを問うたってピンとこないのではないでしょうか。残念な話ですが、スタンダード自体が左派とそうでない人たちとで共有されていないんです。「イスラエルがなんかやってるみたいだけどオリンピックは楽しいから見たい」くらいの感覚でしょう。
そういう時に、私たちは人権や反戦という当たり前の原則を言い続ける必要がある。同じことを言い続けるのは馬鹿らしく感じるかもしれないけど、スタンダードを確認する作業から逃げてはいけないんです。僕もできていない時があるので反省しっぱなしなのですが、最初の一歩を飛ばさず、丁寧に2歩3歩と進んでいく根気強さが必要だと思います。大阪万博の問題でも、ガス爆発が危ないだとかカジノ誘致の準備だとかはめちゃくちゃ大事な論点なのですが、そもそも「税金無駄遣いすんな」という怒りがあるのです。集会などではそこをきちんと確認しあって、通行人にも伝えて上で追加の問題点を論じていく必要があると思います。

同じことばっか言ってる人みたいに思われるのは嫌ですが、向こうは常に1回目です。「へー、原発って危ないんだ」って普通に思っています。根気よく、しぶとくやっていきましょう。

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