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読書感想:天才たちの日課:高い創造性と生産性を支えた習慣とは?

天才たちのクリエイティビティの秘密はその日課にあったのでしょうか?「天才たちの日課」という本にその秘密を探りました。

350ページ程度のやや厚めの本に 161人もの作家、画家、音楽家、科学者などの習慣が記されており、何時に起きてどこでどんな風に仕事をしたのか、創作活動において何に悩んでいたのかなどを、インタビュー記事の引用などを交えて読むことができます。

一人につき1、2ページのペースで紹介される、人それぞれ実に多様な習慣や悩みは、その人の "人となり" が見えてくるようでとても面白く読めました。
ショパンの「6週間かけて書き直してやっと出来たと思ったら、それは最初に書いたのと同じだった…」とか、親近感を覚えてしまう "あるあるすぎる" エピソードなども。

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創造性発揮のための習慣づくりに天才も苦労?

副題に「クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」とあるように、天才たちが皆 "高い生産性を保ち続ける創意工夫に富んだ素晴らしい習慣" を実践していたわけではなく、我々と同じようにいかに時間を作るか等に多くの人が悩んでいたことがわかります。

フランシス・スコット・フィッツジェラルドは、処女作を執筆しているときには出来ていた規則正しい生活が段々とできなくなり迷走。トム・ストッパードはやるべきことをぐずぐずと先送りする癖を克服できず。

アン・ビーティは習慣をもたず、何ヶ月も何も書かないこともあって、これじゃいかんと気が乗らなくてもとにかくタイプライターの前に座るようにしてみたら逆に大スランプに陥ったとか。

対象的に、ウィリアム・バトラー・イェーツのように気分が乗ろうと乗るまいと毎日必ず2時間以上執筆するという人や、チャック・クロースのように「インスピレーションが湧いたら描くというのはアマチュア、プロは時間になったら仕事を始める」という人も。

定職を持ち、その傍らで創作活動をしていた人もあり、定職があるからこそ創作活動のための時間を作れるという発想は目からウロコでした。

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どうやったら良い習慣を持てるか?

フリードリヒ・シラーは「貴重な財産である"時間"の使い方を工夫すれば、我々は自分を素晴らしい存在に変えることが出来る」と述べ、アンソニー・トロロープは「執筆に適した時間は一日せいぜい3時間、その3時間をいかに集中して過ごすか」と語り、ジョン・アップダイクは「書かないのはあまりにも楽なので、それに慣れるともう二度と書けなくなってしまう」という言葉を残しました。

創作に使う時間を捻出し、その時間に集中して仕事をすること、そしてそれを継続していくこと、そのためのよい習慣を持つことの大切さを感じます。

では、習慣化するにはどうしたらよいのか。私はバーナード・マラマッドの以下の言葉に大きなヒントを得た気がします。

絶対的な方法などない。特定の時間や場所は無い。ただ、座って書くだけだ。秘訣は時間を盗むのではなく作ること。
いつかはだれでも自分にとって一番良い方法がわかる。本当に解明すべき謎は自分のなかにある。

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創作の習慣化について多くの刺激を得られる本

他にも多くの天才たちの日課を通して自分に合った習慣の見つけ方のヒント、そして多くの刺激をこの本から得ることができるでしょう。
何順なのかわからない紹介順に難があるのと、ゴッホのページに翻訳誤りと思われるところがあったのがちょっと残念かな。
それでもオススメの本です。


続編「天才たちの日課 女性編」も出ています。


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