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菩提心の称賛《宝珠の灯》第168偈

168)菩提心は、有身すべてに対して
独り子を持つ母のよう。
返礼や異熟を期待せず、
利他ひと味の甘露から関わる。
 
 

 
「有身」とは身体を有する者で、生きものすべて。
「衆生」と同じ範囲で使われている。
 
仏陀の衆生それぞれに対する愛情は、
独り子をもつ母の、子に対する愛情より強いという。
 
その仏陀の心は、
究極の菩提心。
 
同様に、菩薩の菩提心も、
全ての衆生に対して親愛と、
自分が彼らを助けようという
殊勝な意志をもつ。
 
菩薩はそれを達成するために、
全ての過失をなくし、すべての良質を具えた仏陀を
敢えて目標として設定する。
 
目標は高い。

しかしどんなに苦労しても、時間がかかっても、
何としてもやり遂げようと
不退転の心で修行に臨む。

これは、ただ母の望み、
あるいは本能のようにやっていることなので、
「○○をしてやったから◇◇を欲しい」とか、
 
「皆の役に立ったから、来世は楽に生きられるだろう」とか、

見返りを求めない。
 
求めないというより、
思いつかない。
 
母は子のために何かをして、
子が笑えば、それだけで嬉しくなる。
 
純粋に子が喜ぶことこそが、
母の喜びだから。
 
独り子をもつ母親は、
子一人の喜びに喜ぶけれど、
 
菩提心はその喜びを、
天空のように果てしない衆生に対して
もつことができる。

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