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エッセイ|テキストを発酵させよう

 ひとつの創作に、どのくらい時間をかけているだろうか?

 創作をするときに、時間単価で考えていないだろうか? わたしは一時期、そうだったかも知れないと思っている。書く時間を時間で区切って、仕上げていたことがあったかも知れない。急ぎの仕事じゃないのにね。でも、それではやはり、ダメなんだと思う。


 昨年つくった短歌、文章を読み直す。まだまだ、手を入れられる。未完成だったって証拠かも知れない。一度作って、寝かせて、もう一度直して、寝かせて、それからもう一度。そのくらい時間をかけていかないと、成熟していかない。


 まるで、お料理の発酵とおなじ。だから、創作の発酵にも、よい酵母が必要なのだと思う。天然酵母のような。というと、天然とつくからには、天然ぼけのことを連想する人もいるかも知れない。しかしこれには、ある程度、天然的な勘が働いているに違いないと思っている。マイ酵母。そして、せっかちな人には、とくに敢えて、こううまくいったときの発酵手順をよく覚えておくと良いのではないかと思う。何日寝かすと良い、と云う統計を取ってみてもいいかも知れない。大切なのは、何を書いたのか忘れてしまう頃ということ。


 もう発表してしまおう、と思ったとき、ぐっと堪えることも必要かも知れない。そう云うときが、いちばん怪しいから。発表してしまって、次の日になって、ああ、あそこを直せばよかった、と気がつくもの。さいごの我慢、これが大切だと思う。


 毎日発表して、質が落ちることもある。それよりは、時間をかけた方が良い、と思う。だれもせっついていないのだから、ゆっくり、丁寧に、お料理しようじゃあない。

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