平成29年度予備試験論文試験憲法を解いた感想等

めちゃくちゃ久しぶりなんだけれども、予備試験論文試験を解いた感想等を書いていこうかなぁ、と思い、書いていくことにします!今回は憲法H29年度です。

今回の憲法のテーマは財産権についての制約の合憲性について、というもので、これにちなんだ事例問題でした。実は僕、憲法の中では財産権については苦手な方です。精神的自由と職業選択の自由はある程度はいける自信あるけど、どうにも財産権については苦手らしい。いや、正確には目的審査基準を規範にしてない判例だから苦手、ということだろうな。今回解いたけれど、判例規範をものの見事に忘れていたのであった。ということで、質問として「なんで目的審査基準じゃダメなんじゃい!」と文言上はオブラートに包んで(つもりです)、内心は少しブチギレのかんじでたたきつけたあと、財産権についての復習をしておいた。T師匠の基礎講座を再受講。

財産権の内容については法律で定めることができるのだけれど(29条2項)、その中核たるものは制約できませんよ、というストッパーとしての存在価値を放つのが1項だそうです。なるほど。

そして、2項により、財産権に対する制約は広範な立法裁量が認められる、というのはまぁいいのだけれど、それが果たして許されるのか、と言ったらそれは無条件に認めます、とか言うのではないのはさすがに感覚的にもわかるのだけれど、その規範はどうしますか?となったときに、二つの判例があるとのこと。

①森林法違憲判決事件

これでは、森林法が所有権を侵害してるとして違憲判決が出たものなのだけれど、これの規範は①規制の目的が公共の福祉に合致しないことが明らかであるか、又は②規制目的達成のための手段に合理性を欠くことが明らかである、という場合には違憲になる、というものらしい。ただこれ、目的が合理的であり手段にも合理性があるときには合憲である、とも読めそうでもあるから、そうだとすると目的審査基準とあまり変わらないのでは?と思っているのが正直なところである。まぁ、大学の憲法の先生にも質問したし、そこについての質問は大丈夫だろう。

②証券取引法事件

これについては規範は規制の目的・必要性・内容・態様と規制される権利の性質・内容等を比較衡量する、というものらしい。規範だけ見ると、2つの判例は違う規範を使っているように思えるのだけれど、その規範を持ってくる流れは概ね同じっぽい。財産権に対する規制の内容は、社会政策的といった積極的なものから、消極的なものまで多岐にわたるし、制約の程度も多様であることから、ということをどちらも理由にしていた。つまり、どっちも実は同じっぽいこと言ってるのではないか、と思えるのである。

ただ、これらについての沿革は職業選択の自由の制約の合憲性についての規範の沿革とやや似てるところあるんじゃないかなぁ、と思っています。じつは、森林法違憲判決って、社会政策的目的⇒明白性とかいうカンジで規制目的二分論を匂わせるかんじ。でも、その後、目的の性質を区分するように取れる書き方はして無いようで、これが職業選択の自由の規範の沿革と似ているのではなかろうか、と思っている。どうやらパラレルに考えると意外とすんなり覚えられるのかもしれない。

まぁ、本件では所有権が規制されてるから森林法違憲判決の方が似ているのかもしれない、とのことで解答は森林法違憲判決の規範を私見のところでぶち込んでいた。正直に言って凄い悩むな。どっちの方がいいのか。まぁ、事案に応じて書きやすい方で書いていけばいいのかもしれないな。いずれにしても、財産権に対する規制の合憲性についての規範はもう忘れるわけには行かないから、今回でしっかりと覚えてしまおう。

一番の急務はそこだろうな。返却された添削動画も見ていたのだけれど、原告の主張として、手段の合理性については「農家ごとに廃棄命令出せよ!」と言いたいんだろうなとは初めて解いたときからすぐにわかってたので、そこは自分をほめていいのかもしれない。因みにそこは他の受験生と差をつけることができるっぽいから嬉しい。

あとは問題なさそうかな。被告の反論として、立法裁量が広いんだ、ということが言えれば大丈夫ではないかと思っているし。そこさえ直してしまえば、財産権のところは大丈夫、と信じたいなぁ。

まとめると、

①財産権への制約の合憲性の規範は、

A:明らか、という文言を使っている森林法違憲判決

         又は

B:比較衡量

のどっちかを私見に添えて攻略する

②職業選択の自由の判例規範の沿革とパラレルに考えると、意外といけるかも?

ってところだろうか。これだけは忘れたくないね。

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