見出し画像

再録「あのときアレは高かった」〜リバティベル ダウンジャケットの巻

「あれ、欲しい!」

そう思うが月々のお小遣いでは到底手が出ない。恐る恐るおかんに相談してみたら、「そんなのおとうさんに言いなさい!」とピシャリ。
そりゃ、直接言えるのなら、おかんに相談しませんわな……。
と、そんなわけで、クラスの中の金持ちのボンだけが持っているのを横目に見ながら、泣く泣くあきらめたあの日の思い出。
そう、あの時あれは高かったのだ。

昭和の、子どもには「ちょっと手の出しにくい」ベストセラー商品。
当時の価格や時代背景を探りながら、その魅力を語る。

     ◇

建国200年を迎えたアメリカ合衆国は、いろんな意味で元気だった。イーグルスの『ホテルカリフォルニア』(1977年発表)が、巷に流れ始める1976年の頃であった。

今ほどの情報化社会ではないけれど、極東日本の中学生だった私にも何となくそのことが伝わってきた。中学に入って美術の授業で最初に作らされた版画で、大きく「U.S.A 200」と書いたアメリカンフットボールの図案をせっせと彫っていた思い出がある。

もちろん、自分で決めた図案である。今となっては、どんだけアメリカ好きやねん、という話しである。

そんな時代、この真っ白なダウンジャケット「リバティベル」は発売された。

真っ白な光沢のあるデザインはムダにさわやかで、往年の太川陽介的というかスクールメイツ的というか。とにかく、カッコイイとか悪いとかの基準の極めて曖昧な当時の日本人男子たちが、次々とこのダウンジャケットに群がったのである。

リバティベルの当時の価格は、32000円~34000円。現在の価格に直すと54000円前後の感じか。どう考えても子供のこづかいで買うような金額ではなく、やはり、オカンやオトンにねだって買ってもらったのだと思うが、詳しくは覚えていない。

いまやオバマ政権を鼻で笑うような(ところのある)ニッポン人だが、あの頃は「仲のいい」兄ちゃんと弟みたいな、カッコイイ悪いを超えた、ダサく真っ白な絆があった。今から、約40年前の話しである。現在は復刻版が売られている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?