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旅のうた(歌日本紀行)

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#石川さゆり

(第13回) ままにならない天城越え

(第13回) ままにならない天城越え



歌詞にも登場する「浄蓮の滝」。観光客にも人気のスポットである。

 「天城越え」は、伊豆半島にある天城峠を舞台に歌われた楽曲である。その昔天城峠と言えば、わたしのなかで、(山口)百恵ちゃん一択であった。あの『伊豆の踊子』の話である。川端康成の名作は何度も映画化され、時々の旬な女優さんたちが主演を努めたが、わたしの場合は、吹き替えでのヌード姿が話題になった、1974年版の印象が強烈なのであった。

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(第2回) 竜飛岬で『津軽海峡冬景色』を唸る

(第2回) 竜飛岬で『津軽海峡冬景色』を唸る



初夏の津軽。竜飛岬先端から津軽海峡を眺める。

 作詞家の阿久悠氏が以前どこかで、「昨今の歌は、歌詞が飛んでいない」と言っていた。冒頭三行で聞き手の気持ちを、日常の位置からどこか遠いところへ連れて行ってあげることが重要だと、そんな主旨のことを語っていた。そのときに例にあげていたのが、この『津軽海峡冬景色』である。

 「上野発の夜行列車 おりた時から 青森駅は 雪の中」

たしかにこの歌は、こ

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