9/18放送分「カップヌードルが発売された日」
1971(昭和46)年9月18日は、世界初の即席カップめん「カップヌードル」が発売された日です。
日清食品創業者・安藤百福(あんどう・ももふく)によって開発されたカップヌードルは、内容量84g、発泡スチロール容器に入った味付けめんで、小売り価格は100円。1食ごとにフォークが添付され、シュリンク包装されました。発泡スチロールに入っているというだけでなく、容器は包装材であり、調理器であり、食器となるなど3つの機能を果たしていて、全く新しい発想の加工食品でした。
カップヌードルが生まれた背景には、安藤さんが開発し、1958(昭和33)年に販売された「チキンラーメン」の存在があります。チキンラーメンは発売当時《魔法のラーメン》と評判になり、またたく間に爆発的な人気を集めました。
チキンラーメンを世界に広めようと考えた安藤さんが、1966(昭和41)年に欧米へ視察旅行に出かけた時のこと。スーパーの担当者たちは、「チキンラーメン」を小さく割ってカップに入れ、お湯を注いでフォークで食べ始めました。インスタントラーメンを世界に広めるためのカギは、食習慣の壁を超えることにあると気づいた安藤さんは、様々な知恵と革新的な発想の結果、1971(昭和46)年にカップヌードルを誕生させました。
当時、インスタント袋めんが25円に対して、カップヌードルは1食100円と高価でした。また立ったまま食べるのは行儀が悪いと敬遠され、なかなか店頭に並べてもらえません。そこで安藤さんは、自ら新しい販売ルートを開拓し、それまでにない宣伝や販売促進を行いました。お湯の出る自動販売機の導入です。
カップヌードルを買ったその場で、熱いお湯を注いで食べられる自動販売機は話題を呼び、1年間で全国に2万台が設置されました。また、若者が集まる銀座の歩行者天国に着目。カップヌードルの試食販売を実施すると、予想をはるかに超える人が押し寄せ、多い日には2万食を売り尽くすほど人気を集めました。
そしてカップヌードルの人気を決定づける出来事がおこりました。1972(昭和47)年2月、連合赤軍によるあさま山荘事件です。この事件は連日テレビで中継され、山荘を取り囲む警視庁機動隊員が、カップヌードルを食べている様子が映し出されました。
思いがけず全国の視聴者にアピールすることになり、その時からカップヌードルは、羽が生えたように売れ出したのです。このようにカップヌードルはインスタントラーメン市場に刺激を与え、のちに袋めんと2大ジャンルを形成していくきっかけとなりました。
1973(昭和48)年までに、カップめんに参入したメーカーは日清食品のほか14社、ブランド数27に及びます。総生産量は、カップヌードルが発売された翌年、1972(昭和47)年に1億食、1973(昭和48)年には4億食、1974(昭和49)年には7億食、1975(昭和50)年には11億食と、驚異的な伸びを示します。
そのなかで特に目立ったのは、「焼きそば」と「和風めん」。1974(昭和49)年、恵比寿産業が「エビスカップ焼そば」を出し、引き続きエースコックが「カップ焼きそばバンバン」を出しました。
1975(昭和50)年、まるか食品が初めて四角い容器に入れた「ペヤングソースやきそば」を発売、そして1976(昭和51)年には日清食品の「日清焼そばU.F.O.」が登場します。いわゆるカップ焼きそばは、いずれもがヒットするという好調ぶりでした。
和風めんでは、1975(昭和50)年に日清食品の「カップヌードル天そば」に続いて、東洋水産の「赤いきつね」「緑のたぬき」の前身となる「マルちゃん・きつねうどん」、「マルちゃん・天ぷらそば」、エースコックの「きつねうどん」、サンヨー食品の「カップスターきつねうどん」、カネボウフーズ「もち入りきつねうどん」、翌年に日清食品の「日清のどん兵衛 きつね」などが出揃います。
1988(昭和63)年にエースコックが、1.5倍の「スーパーカップ」を発売。「スーパーカップ」は、都市部に増え始めたコンビニエンストアに集まる若者たちの人気となり、たちまちヒット商品になりました。
そして1989(平成元)年、ついにカップめんは、袋めんの生産数を抜きました。カップめん24億500万食、袋めん22億2500万食、合計46億3000万食となり最高記録を更新。さらに1993(平成5)年、インスタントラーメンの生産量は46億8000万食を超えました。
1995(平成7)年の売上げは、袋めん、カップめんを合わせた総生産量は51億9000万食となり、国民食と呼ばれるほどの成長を遂げたのです。
日本即席食品工業協会の調べによると、2023年度、日本で作られているインスタントラーメンの量は、カップめん、袋めん、生タイプなど含めて約57億5,000食。そのうちカップめんは37億7437万食で、インスタントラーメン全体に対する割合は65.6%と、3分の2ほどがカップめんを占めるという結果になっています。
ひとりの日本人が1年間に食べる量は47.2食(インスタントラーメン総数)で、1週間に1食程度食べているという計算になります。
「普段そんなに食べへんわ」という方もいるでしょうが、この数字を見ると日本を代表する食べ物と言えますし、まさに国民食と感じます。
添加物や栄養バランスの面などいろいろ言われることが多いカップめんですが、災害時お湯があればすぐに食べられるなど、メリットもあります。
生活にうまく取り入れて美味しく便利にいただきたいものです。
※この記事は、下記のサイトを参考に作成しました。