異業種への転職を目指すあなたへ
まもなく、僕が営業職から編集職に転職をして2年が経つ。
ネットの海には漠然と異業種への転職を考える人もいれば、真剣に転職を考えているが踏み出せないという人もいるはずだ。
今回はそのような人たちに向けて、自分の経験を記していきたい。
0:前提条件(プロフィール)
前提条件として、改めて僕自身のプロフィールを記していく。
まず、僕は都内の文系私大卒で、大学時代は飲食とコンビニでアルバイトをしていた。ちなみに過去・現在を含め、二輪免許と普通自動車免許以外の資格はもっていない。
新卒就活時は漠然と「テキストを扱う仕事に就きたい」と思い、出版社のみを受けていた。(※当時はテキストを扱う仕事=出版社のみという考えしかなかった。)
だが、結果として出版社には入れず、別業界の営業職に就いた。
営業の種類はBtoCで、インセンティブが入らないと手取りは15万、有給休暇は使えない、タイムカードもない…という会社だった。
ここまでをまとめると、僕には何か特殊なスキルや経験が備わっていた訳でもなければ、同じ業界内で転職した、と言うわけでもない。
1:転職活動の決意と準備
前の会社に就職してからもずっと頭の中では「出版社で働きたかった。編集がしたかった。」と思い続けていた。だが、一人暮らしを始めたこともあり、夢よりも目の前の生活の方が何倍も大事であった。
転職のことは漠然と考えつつも、実際には行動しなかったが、転機が訪れたのは新卒から4年目。
支店を異動することになった。普通に営業成績が悪く、支店を異動して頑張れよ、という意味もあったろう。ただ、そこでの相性が非常に悪く、本気で転職を決意した。
1-1:転職支援サービスに登録しよう
転職をする!と決めてからすぐに支援サービスに登録した。
求人はマイナビ転職やリクナビ転職などに多く掲載されているが、できれば多めに登録しよう。営業電話は多くなるが、その分多くの求人を見れる。
実際、多くの求人を見てると気持ち的にも転職への思いが高まる。
また、転職エージェントも登録しよう。エージェント登録をすると、エントリーシートや自己PRシートの添削を行ってくれる。個人的にはかなりありがたいサービスだった。
エージェントは面談も行ってくれる。転職活動に向けた悩み、現在の仕事についての悩みも聞いてくれるので、精神的にも楽になる。
1-2:分析・研究をしよう
新卒の時と同じように「自己分析」と「業界研究」、「企業研究」も怠ってはならない。
新卒時から4年も時が経てば必ず年を取る。精神的にも変化が訪れているはずなので、やっておいて損はないと思う。自分は普通に転職サイトの物を使用したり、メモ帳にまとめたりしていた。
そして、業界分析と企業研究だ。
まず、最初に把握しておかなければならない最低条件は、必須学歴、資格・経験の2つだ。
僕は転職活動時も出版社を見ていたが、新卒時とは明らかに募集要項が異なる。例えば「大卒必須、理系卒求む」「可能であれば大卒、編集・執筆経験必須」のようにそもそも箸にも棒にも掛からないこともある。探せば条件に合う企業もあるが、母数は減るし、下手したら待遇も悪くなる可能性もある。
つまり、業界全体の求人の母数に対し、自分が入り込む余地はあるか、最低条件をクリアできるかしっかりと見極めよう。この段階で、目指しつづけるか、方向転換を行うか考えるべきだ。
また当然、既卒は社会人スキルは前提条件として、即戦力を求められることも覚えておいて欲しい。
残酷な話だが、時間は有限で若さも有限だ。
「人間の可能性は無限大だよ!何とかなるよ!」という人もいるが、正直残酷だと思う。その辺りの僕の考えは本稿の趣旨とずれるので、省く。
最低限「生きていくために働く」ということは忘れないでほしい。
話を戻すと、上述した最低条件がクリアできないとそもそも転職できないので、きちんと確認しよう。
さらに調べておくことは「給料」・「働き方」・「休日」だ。
「転職で給料〇〇〇万円アップしました!」なんていう広告はよく見かけるが、異業種へ転職する場合、給料が下がってしまうのは否めない。
だがあまりにも下がってしまい、生活が立ち行かなくなってしまうのであれば、いったん考え直すのもアリだと思う。
そして働き方だが、よくよく調べておかないと後で痛い目に合う。完全在宅の働き方もあれば、毎日出社する場合もある。なんなら外仕事ということも考えられる。「自分は耐えられるのか?」ここもしっかり考えておこう。
最後に休日だ。今いる会社と変わらないのであれば、取り立てて問題ないが、平日から土日休み、土日休みから平日の不定期などに変わる場合、生活は大丈夫か、きちんと考えておく。
1-3:転職中の食い扶持の確保※
イレギュラーなことなので参考にならないかもしれないし、あまり勧められない項目になる。
まず前提として転職活動は在職中にやるべきだと思う。理由は簡単だ。先に仕事を辞めてしまうと食い扶持が無くなり、転職活動が長引くと生活が持たなくなる。
それなのに僕は、正式に前職への退職手続きを行い、有給消化に入った段階で転職活動を始めた。
これはメンタルが限界であったこと、有給が取れないので面接が受けられない可能性があること、退職ができなかったら困るという3つが懸念事項だったからだ。こちらも詳細は省く。
そのため、転職する前に食い扶持を確保する必要があった。
確実に一定期間収入が無くなることが分かっていたし、貯金を食いつぶすわけにはいかないので、その間の金策としてウーバーイーツを始めた。
意外にも安定した収入を得ることができたので、その点は安心した。
また、頭の固い親を納得させる手段にもなった。
以上3つで準備は完了だ。
2:転職活動を始めよう!
実際に行動を始めていこう。エージェント経由はもちろん、自分でも求人を見つけ、どしどし応募しよう。
そもそも論だが、分析を行っても行動しないと始まらない。
できる限り多くの企業を探し、応募をするべきだ。
この段階ではエージェントへ相談をしたり、面接に向けた対策を取るべきだ。
2-1:求人に応募しよう
まずは何より求人に応募をすることから始めよう。
履歴書はもちろん、エントリーシートも送る。郵送で無ければ送るのはタダだ。
「どうせ受からないから…」等と思わず、まずは応募数を増やすことも大切だ。この段階で弾かれてしまうことも多いが、「なぜ弾かれたのか」、「内容は問題ないのか」等をエージェントに相談してみることも大切だ。
「自分はダメなんだ…」という行き過ぎた自責思考はNGだが、「自分を見る目が無いクソ!」という他責思考のやりすぎも良くない。第三者視点で見極める意識を持とう。
2-2:面接を受けよう
書類選考が通り、面接に進んだらできる限り受けよう。
そもそも、新卒と既卒では面接の内容も雰囲気も異なる。
新卒はいわゆるポテンシャル採用となるが、既卒はすでに社会に出ている人として採用を受けることを忘れてはいけない。
志望理由はもちろん、前職でどのような立場にいたのか?、前職での業務内容は?、前職での営業成績や評価は?、退職理由は?などということが聞かれる。
これから何ができるかな?ではなく、今まで何をしてきたのか?が新卒時よりも強く求められる。新卒と同じような面接を想像すると痛い目を見るので、感覚をつかむうえでも、可能な限り面接を受けよう。
2-3:面接時の服装について
正直、書くことでもないが参考までに書いておきたい。
面接に進むと案内が来るので省いても良いが、服装は基本的にはスーツが無難だろう。
僕は正直、毎日スーツを着る業界であったので、特に気にしていなかったが、スーツの着こなしは新卒時以上に気を遣うべきだ。
いくら今の世の中、個性が尊重されると言っても、スーツは社会人の常識である。吊るしでもいいので、サイズが合っているのはもちろん、しわのないジャケット、ワイシャツは必須だ。
だらしない服装なだけで印象は一気に変わってしまう。すでに社会人であることを忘れてはいけない。
また、コロナ禍以降、採用面接のスタイルも変化し、オンライン面接もある。そのような時でも見た目の印象は大きい。だらしない恰好、ぼさぼさの頭、覇気のない顔はNGだ。
2-4:面接では何を心がけるべき?
僕のように未経験の業種へ転職をする際は上述したことを深堀りされるので、話の準備は必須だが、それよりも大切なことがあると思う。
志望業界やその会社への誠意と熱意だ。
半分根性論のようなものになるが、そもそも採用にはコストがかかるし。
さらに新卒ほどではないにしろ、教育コストもかかる。それに僕らは前の会社を辞めて(もしくは辞めることを前提に)面接に来ている。熱意がなく、すぐに辞めてしまいそうな人を取るメリットは正直ゼロだ。恥ずかしがらずに、全力で思いをぶつけよう。
僕は「忘れよう、諦めようとしても夢が追いかけてきて逃げられなかったのです。なので、最後のチャンスとして30歳までにもう一度夢に向かいたいと思い、御社を志望しました。」と語った。嘘偽りは一切ない。本気で出た言葉だった。
2-5:たくさん受けて企業を選ぼう
数を受ければ、内定をもらえる企業も出てくる。もちろん、目当ての業界・企業から内定が出ればそれで終わりにしてしまっても問題ない。
複数の企業から内定を得た場合は、給与、業務内容、働き方、業界内での評判などを調べて選ぼう。最終的に選ぶのは自分であり、自分で未来を切り拓くのだ。人に選んでもらうと大抵良い結果にはならない。
2-6:内定承諾!出社日の調整や書類の準備をしよう
内定を承諾し、いざ転職先を決めたら出社日の調整や必要書類の準備を開始する。僕の場合は指定期日までに「大学の卒業証明」と「成績証明」を送るように言われていた。意外と準備に手間がかかることもあるので、早め早めの行動が肝心だ。
出社日も相手方に確認し、きちんと準備をしよう。初日から遅刻をしたら最悪だ。
3:転職についての疑問あれこれ
ここからは自分が調べた際の情報や感じた疑問をまとめていきたい。
3-1:転職エージェントを利用すれば全部上手くいく?
結論から言うと答えはNOだ。
まず、僕が転職をする際に「異業種に行くには転職エージェントを使わないとダメ。」と言われたことがある。実際、転職エージェントが求人を持ってきてくれたり、推薦をしてくれることもある。だが100%受かる保証もない。
また、転職エージェントはボランティアではない。無料で利用できると言っても相手もまた仕事で、お金を稼ぐために仕事をしている。長引きそうになれば希望とは違う業界の求人、受かりやすい業界の求人を持ってくる。
特に僕の場合は求人の母数が少なかったこともあり、長引く気配があった。
次第に紹介される求人も変わり、「編集ではないのですが…」と営業職の求人ばかりが来るようになった。相手も仕事であり、就職をさせることで報酬になることを忘れてはいけない。100%の信頼は禁物だ。
ちなみに申し訳ないが、自分は自力で見つけた求人に応募し、内定をもらった。
3-2:今の会社が嫌すぎる…すぐに転職してもいい?
今の会社が嫌すぎてストレスになっているのであれば、すぐに転職すべきである。(実際僕も本当にしんどく、心療内科に通った。)
ただ、辞める前でも、後でもいいので精神面が落ち着いたら分析をしよう。
「なぜ辞めようと思ったのか。」「何が原因であるか。」「その原因は本当に外的要因だけなのか。」「自分にも非はあるのではないのか。」等と自己分析をすることで、次のトラブルを避けることにも繋がる。
僕の事例で申し訳ないが、僕は前職をきついパワハラで辞めた。
しかし、なぜパワハラを受けるようになったかと言えば、
「僕は好きでこの業界・この会社に入ったんです!死ぬほどやる気あります!」とオーバー過ぎる嘘をつきすぎたことだ。「こいつ口は達者なのに仕事全然できねえじゃん!」と気に障る部分、よく言えば「そんなに熱意があるなら教えてやろう!」と思っていたのかもしれない。
正直になりすぎるのも良くないが、大きな嘘をつきすぎるのもよくない。
あとはそもそも自分は初対面の人に興味が無いという致命的な欠点もあったと思う。
こういった反省は必ず活かせるので、「自分は100%悪くない!」と思わずに何が失敗だったのかな?と分析できるようにすると良い。
※自分と向き合うことは本当に辛いことだし、メンタルが最悪の時にやると悪い考えしか浮かばないのでやらないでしっかり休むべき。
3-3:転職のデメリットは?
転職にもいくつかのデメリットがあるので注意してほしい。
まず、今すでに結婚していて、家を買いたいと考えている人は転職をしてしまうと住宅ローンが通らない可能性が高い。というよりもほぼ通らない。
「前職より給料が上がる場合、ステップアップとして審査はできないのか?」と以前、銀行の人に聞いたことがある。
結論から言えばほぼ無理だった。引き抜き等同じ業界で給料が増えていくような転職であればOKとなる場合もあるが、基本的にはNGとのこと。
また、転職回数が増えれば増えるほど銀行の審査は厳しくなるし、違う業界に転職を繰り返すといつまでも給料が増えない可能性が高い。
僕は可能であれば同じ会社で長く働いた方が良いとは思っている。
その企業、業界でのスキルやノウハウも着くし、最終的には給料が上がる可能性も高い。
いくら簡単に転職できるからと言ってもやみくもな転職はやめた方が良い。-
3-4:転職できるなら新卒就活は適当でも良い?
希望と違う職業に就いても、転職をすることで軌道修正ができる。これは間違いない。だが、新卒就活を適当にすると痛い目を見るし、前述したように門前払いの求人もある。
何より新卒就活はポテンシャルを見てくれる。こんなに貴重な専攻は無い!
新卒カードを無駄にしてはいけない。
4:転職をして今に至るまでの思い
正直、僕は転職して大成功・大正解だった。労働条件が前職と違い過ぎることもあるが、自分のやりたいことをやって給料をもらえるようになり、正直幸せだ。
まったくの異業種に行ったことで、前職で学んだことは何の意味も持たないのか?といえばそんなことはない。普段の生活でも車が運転できるようになったり、営業の気持ちや考え方がわかるので、対応にもストレスを感じない…などなど各所で役に立っている。
人生の中で無駄になることは一つもない。
辛かったとしても、前職での経験は自分の糧になっている。
そんなことを思いつつ、明日もしっかり働き、もっと精進していきたい。
また、いつかは心療内科に通う羽目になったパワハラやその当時の愚痴もまとめていきたい。
大変な長文・駄文を最後まで読んでいただいたことに感謝をするとともに、
誰かの役に立てたら幸いである。
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