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「PATTERN BY LAFORET」の考察




1. なぜアイデアとして優れているか?

「パターンの中に人が組み込まれている」という逆説的な表現

ラフォーレのパターンが入ったファッションやアイテムの販売イベント。

この広告は、ただパターンを並べたわけではなく、「人をパターンに組み込む」という逆説的な部分に面白さがある。

本来は、ファッション広告によくある、「モデルがポーズを決めていて、モデルが着るアイテムにパターン柄が入っている」という表現がベタであるが、この広告はパターンをメインに据え、その中に人を入れ込むという表現となっている。

さらに人の入れ方も特徴的である。
曲線的な骨格を持つ「人の顔」に、幾何学パターンを描くことで幾何学に馴染ませている。この表現にすることで、よく見るとリアルな人が存在しているという違和感がこのビジュアルを印象的なものにしている

2. 構図の妙は?

左右対称の構図にしつつ、幾何学の大小や向きで崩しがあることで、ビジュアルが単調にならない。
さらに、左右で同じ位置に同じパターンを置くことがほぼなく配置され、コピーして配置しているだけのような手抜き感が出ない。

かつ、幾何学は人の横向きの体のような組み方となっていて、人物となじませている。

人物の顔も、横顔かつ目を見せない配置がビジュアルを邪魔せずキャッチーにしている。
人の顔全体が見えてしまうと、印象が引っ張られてしまう。
様々なショップを扱うイベントの性質上、モデルを全面的に押し出してしまうと、ショップイメージとマッチしないという問題も出てくるのでベストな入れ方。


3.配色の入れ方は?

原色とモノクロのカラーで、パターンの賑やかさを演出しつつ、それぞれのカラーを同じ程度の割合で入れることでうるさくならず、統一感のあるビジュアルになっている。

4.フォントの特徴は?

幾何学的でスタリッシュさのあるフォントでビジュアルに負けない個性を持たせている。


Futuraのような幾何学に近しいフォントでありながら、重心が上にあり、スタイリッシュさも兼ね備えた特徴的なフォルムで、パターンとなじませながらビジュアルとの親和性のあるフォントを使用している。

5. 個人的な感想

グラフィックを考える時に、世間一般の「普通」とは何かを導き出すことが印象的なビジュアルを生み出すベースとなっている例


面白さ、ワクワク感、インパクトを演出するための思考の流れをイメージできるグラフィックだった。
あるキーワードを与えられたときに、「普通とは何か」をまず導き出してから、逆説的に発想したり、違うものと掛け合わせることができるということが理解できる例。

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