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「かねふく」のグラフィック考察


辛子明太子の販売を行っている「かねふく」の広告。

1. なぜアイデアとして優れているか?


ふっくらした唇のことを「たらこ唇」と呼ぶが、このビジュアルはそれを逆手に取って「たらこ(明太子)を唇に見立てる」という逆説的な表現であるところにアイデアがある。
商品を唇に擬態させつつ、1つだけが明太子であるという、「間違い探し」のような見せ方で遊び心のあるデザイン。
また、「かねふく」という社名が人名のように見えることを利用して、人の苗字に紛れ込ませている点もかねふくだからできる面白い表現となっている。

2. ビジュアル表現のよさは何か


人の唇の写真は気持ち悪さを抱かせる可能性があり、食べ物の広告において人の体の部位を使うことは難しい。
しかし、このビジュアルはその気持ち悪さを感じずに見ることができる。
おそらく、肌の色をかなり明るめにしており、かつ唇の色も明太子の色味に統一されていることで、人間味を軽減することでその課題をクリアしていると思われる。
さらに、全体的に黄色味がかった写真で統一されているため、明太子のしずる感も保てている。



3. 構図の妙は?

左上から右下へ動く人の目の動きを利用し、最後まで目で追っていくと、「最後の最後で明太子に気づく」という見せ方にするために、右下に明太子を配置している。
また、1人の人ではなく、「複数の人の唇と並列に並べる」ことによって、ビジュアルのインパクトを持たせつつ、「この唇は○○さん」というルールができ、最後の明太子へのオチが活きてくる。


5.個人的な感想

普段使っている喩えを使い、逆説的に表現するという考え方に面白さがある。

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