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広告電通賞展ポスターの考察
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1. なぜアイデアとして優れているか?
「チャレンジ」をグラフィックで表現する際に、「波乗り」というモチーフはベタなアイデアである。
しかし、海を有機的に捉える演出ではなく、平面的かつ四角という、本来は存在しえない幾何学的な海にすることで「未知へのチャレンジ」という姿勢が演出されていて、表現の面白さがある。
さりげなく配置されているコピーは、グラフィックの特徴に連動したコピーとなっている。
例えば、1枚目は「信じるから前なんだ」というコピー。
普通のサーファーの写真にコピーを乗せると、波の方向がある程度決まっているので、コピーとして成立しにくくなってしまう。
一方、このグラフィックでは、四方に伸びる波のグラフィックで、非現実的な表現だからこそ、「前」という概念が曖昧になっていて、コピーがここで活きてくる。
2枚目は、「こわいうちは、うまくいく」というコピーが乗っている。
これはサーファーの写真でも違和感なく馴染むが、今回のグラフィックでは「まっすぐ進めば崖のようになっている」という非現実的な表現であるがゆえに、「怖さ」をより惹きたたせる演出となっている。
そして、グラフィックが特徴的なので、コピーは「よく見るといる」程度の大きさで配置され、じっくり見た人にこの世界観をより深く理解してもらえるような作りとなっている。
2. ビジュアル表現のよさは何か
波と海を彷彿とさせる白と青色の配色と、サーファーのイラストを用いることで、最小限の表現で海を表現している。
さらに、平面だからこそ、カラーの明暗や、波部分の飛沫を想起させるノイズテクスチャを入れることによって海の深さを演出している。
1枚目のグラフィックは、海を上から俯瞰して見たような構図で、中央から外側に向かって色が濃くなっていき、カラーによって海が深くなっていく様子が伝わる。
2枚目のグラフィックは海を真横から見たような構図で、上にある海を明るく、下にある海を暗くすることによってメリハリを付けている。
また、このグラフィックはあくまでも「広告電通賞展」の宣伝なので、ビジュアル→展覧会情報→コピーという流れで視線が誘導される。
3. 構図の妙は?
イラストを海中心のグラフィックとして、上から見たり横から見たりと、イラスト表現ならではの構図で表現されている。
さらに、サーファーを小さいスケールで配置することで、海の大きさが表現されている。
4. 批判的視点
海の表現はそのままに、日暮れや夜の海など、時間によってカラーを変えたようなパターンに挑戦してもよさそうとも思った。
現状は青色によって海であることが認知できるが、波の表現とサーファーのみでも海だと認識できそうなので、海の色味を変えるという引き算をしても、ビジュアルとして成立しそう。(すでにやっていたら制作者さんごめんなさい)
5. 個人的な感想
有機的な事象を幾何学に捉え直すというのは、グラフィック表現ならではの手法だと思うので、チャレンジしてみたいと思う。
シンプルな表現ながら意図が伝わる面白い表現だなーと思った。
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