ボヘミアンラプソディあくま一口れびゅー

※ネタバレなし

一種の蘇生魔術

ボヘミアンラプソディみた。
QUEENというバンドの物語であり、リードボーカルフレディ・マーキュリーという人間の物語。
こいつは、もう死んでいる。

この男は、他より短い人生だったようだ。
バンドのほかの人間や、当時の人間はまだ生きている。
その周囲の人間への調査、もしくは映画製作への参加、残った映像から癖、視線の動きの再現などが行われ
もう死んだ男の人生と精神と行動を掘り出している

まあ実話というか、伝記ものというか、ぼくはこういう映画があまり好きではない。人間一人の人生を見ているようなもので、悪魔であるぼくにとってはありふれているからだ。

それが、これは面白かった。
この映画が魔術だからだ。
本来ほかの人間にはわかるはずのない、脳みその中身まで含めて、人生を再現しようとしているのだ。
これが交霊術でなく、蘇生魔術でなく何なのか

見比べてみたが、役者は本人とそこまで似ているわけではない。
なのだが、映画を通してみると不思議とこいつがフレディ・マーキュリーである、と感じる。まあぼく、人間の顔の区別もともとあまりつかないのだが……
映画を通してフレディ・マーキュリーは、一時的に、限定的に、生き返っているのだ。
人間も、たまには面白いことをする。

にしても、ぼくはこいつが生きていたことを知らなかった。
この目でこいつの苦しみを、悲しみを、人生を見てみたかったね。
もう少し早めに召喚されていればと思ったよ、少しばかり惜しいことをした。

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