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ForbesJAPAN 2022年1月号「日本の起業家BEST10」の「200 SUPERSTAR ENTREPRENEURS」にランクインした日本発Death Techスタートアップ・よりそう

ForbesJAPAN 2022年1月号にて、日本のDeath Techスタートアップであるよりそうが紹介されていたのでこちらでも取り上げてみます。

会社概要

同社のサイトを見ると、事業内容は「葬儀・供養関連サービスの提供」とあります。同社が提供しているサービスについては下で記載しているので、ご覧ください。

2009年に設立・くらべる葬儀という葬儀に関するポータルサイトをリリースしています。
4年ほどの空白を経て、新たなサービスを2013年から継続的にリリースしていることがわかります。

資本金は、資本準備金含めて約30億円を計上し、従業員数も約100名とスタートアップというには立派な規模に成長していることが理解できます。

提供サービス

サービスカテゴリーは大きく2つに分かれています。

お葬式・終活

よりそうお葬式」と「くらべるお葬式」の2つから構成されています。それぞれについて紹介します。

<よりそうお葬式>

サービス概要は次のとおりです。

インターネットを経由して全国一律プランのお葬式を提供するサービスです。ご家族の最後の時が穏やかな時間になるようプラン内容を厳選し、一日葬や家族葬といった新たな葬儀形式を、明瞭なセット価格で提供しています。

最安値だと81,000円(税抜)からの6つのプランが用意されています。
葬儀の料金相場を全く知らない私にとって、このサイトを閲覧して料金相場を知ることができたことは大きな収穫です。
近隣の斎場を検索できるなど、葬儀のポータルサイトとして情報が充実していて、はじめての葬儀の人にとって大変使いやすいサイトだと言えます。

<くらべるお葬式>

サービス概要は次のとおりです。

お客さまが理想のお葬式を実施できるよう、ご要望に対応できる地域の葬儀社をご紹介するサービスです。

よりそうお葬式よりも、故人・遺族の要望に応じた理想のお葬式を執り行うために用意されたサービスと見受けられます。
近くの葬儀社5社を紹介してもらえ、引っ越し屋を検索するサービスの葬儀版を理解いただければよいのではないでしょうか?

ご供養・手続き

こちらは「よりそうお坊さん便」、「よりそう仏壇選び」、「よりそう永代供養墓」、「よりそう海洋散骨」の4つが提供されています。
なお、沿革にて2015年に運営開始したと紹介されている「宇宙葬Sorae」は紹介されていないので、このサービスは現在どのような状態なのかは、個人的に気になるところです。

<よりそうお坊さん便>

サービス概要は次のとおりです。

菩提寺のない方でも故人様をご供養できるよう、お坊さんをご紹介するサービスです。主要七宗派に属する1,300名以上のお坊さんと提携し、全国で手配を実施しています。

既に1,300名以上のお坊さんと提携済みとのこと。ちなみに、文化庁による宗教統計調査によると、令和元年の宗教家(統計では「教師」)は65万人を数えています。
どのくらいの僧侶と提携できるかは、今後の同社の経営において大切な指標として要注目です。

<よりそう仏壇選び>

サービス概要は次のとおりです。

洋間や集合住宅にもマッチする確かな品質の仏壇や位牌を、お求めやすい価格で提供するECサイトです。ご自宅でのご供養に必要な周辺仏具も数多く取り揃えています。

仏壇のECサイトという位置づけです。

なお、こちらも参考情報になりますが、東京商工リサーチの調査(「全国『仏具店』の業績調査」)によると、よりそうなどのようなECサイトの参入や社会環境の変化などから仏具店の業績は下落傾向にある模様です。

<よりそう永代供養墓>

お墓を継ぐ人のいない方や、身内に迷惑をかけたくない方がご利用いただける永代供養墓をご紹介するサービスです。

<よりそう海洋散骨>

故人さまの遺志をはじめ、様々な背景のもと「ご遺骨を海に還したい」と希望されるお客さまに、海洋散骨のパックプランを提供するサービスです。

先日紹介した、Better Place Forestsのように、自然に還る葬儀はこのところ人気があるようで、個人的にも大変興味がわきます。
散骨・海洋葬を受ける業者リスト(散骨・海洋葬ネット)もあるようで、世の中の海洋葬への関心がうかがえます。

同社の今後は?

一生に数えるほどしかやってこないライフイベントと言える葬儀をコアにサービスを提供する「よりそう」。

先日の「日本の葬儀業の市場状況は転換点に達している」にて紹介したように、葬儀の平均費用は2020年には約120万弱にとどまるなど、2015年までの150万円前後からガクンと落ちたのが業界の大きな特徴でもあります。

葬儀に対して従来ほどお金をかけない・かけられない、そもそも核家族化や地域とのつながりの希薄化に伴い葬儀の規模を大きくする必要性が見いだせない今、今後も葬儀に割く費用は下がっていくものと予想されます。

葬儀そのものの必要性は広報活動を通じて世に伝えると同時に(同業他社との協力が必要)、葬儀業界がこれまで維持してきたブラックボックスに風穴を開けるという同業他社から嫌われるという相反する活動の中でどのような立ち回りをするか。

エンドユーザーおよび同業他社とのコミュニケーションがますます大切になっていくのではないでしょうか。

また、サイトを見たところ、仏教以外の宗教への展開はなさそうなので、対象とする宗教の拡大や外国人(国内での葬儀のサポート)や在外邦人向けサービス(遺体の海外輸送など)など、サービス拡張余地もありそうに見えます。
今後はこれらにも拡大するなど、多くの人のライフエンディングによりそうことを同社に期待したいです。

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