今回は、ひとり漫才を自分で添削して楽しもうと思う。
皆さんは、いったい何のためにこのページを開いたのだろうか。他人の留学体験記を見て今後の留学の参考にしたいから?他人の海外経験を見て異文化への理解を深めたいから?残念、皆さんはでべそな筆者が書いたひとり漫才に自らツッコむところを見るためにここにいるのですよ。
私は留学先での最終課題に、ひとり漫才(Standing up comedy)の台本を書いて提出した。覚えているだろうか、「社会におけるコメディーとユーモア」という、初回講義から教授がfu*kingとかmother fu*kerとかのたまう授業を。私はあの授業から、人生で初めて書いたひとり漫才の台本を提出するという方法で単位をもぎとったのだ。ちなみに評定は最高のA評価だった。だからこのトピックでは「授業の最終課題でひとり漫才の台本を提出することを要求される」という、人生でギリギリ訪れないレベルの危機を救う方法をお教えする。
Script
[1]ユーマス(UMASS)とYOU MUST(ユーマスト)をかけているのが味噌。もともとはさりが考えたポッドキャストタイトルだったが、ここで勝手に拝借した。(ごめん)
[2]オーディエンスから喝さいをうけることを疑いもしないこの濁りのない瞳、ずっとこのままでいてほしい。
[3]ちなみに、この台本はロニー・チェンの「アジア人コメディアンがアメリカをぶっ壊す!」というスタンドアップコメディに強い影響を受けている。ネットフリックスで見られるのでぜひ見てほしい。面白すぎて三回見た。
[4]ウォルマートはアメリカのなんでも取り揃えているスーパーマーケット。日本でいうところの何か、とは説明しがたいが、これがあったところで所詮田舎は田舎。
[1]皿を割った時にその他全員が拍手をする文化、アメリカ映画みたいでめちゃくちゃいいなと思った。
[1]「不細工なキーパー!」普通に悪口でびっくり。皮肉とかじゃなくて純度100%の悪口。ちなみにホームの試合では対戦相手がゴールしても絶対にリプレイしないし音楽も流さない。幼稚である。
[1]言うまでもなく、ハーバード大学のこと。
[1]はじめは廃棄物の多さに衝撃を受けた。しかし、慣れてくるとその量にも徐々に慣れ…もし人を殺すことが普通な国で育っていたら、また国が人を殺すことを罪ととがめなくなったら、私もなんとなく慣れて人を殺すだろうなと真っ暗な気持ちになった。
[1]トイレットペーパーの!ゴミが!多いの!!!!!あと男子と共有するトイレだと普通に便座の上に尿が飛び散っていていちいちイラッとした。
[2]こういう過剰な表現や皮肉表現がアメリカのコメディーには多いイメージがあった。
[1]実は車で二時間半ほどかかるので「ちょっと近い」とは言えないかもしれない。私は今回の留学で二回ハーバード大学を訪れたが、そのたびに「えー私がいたころと何にも変わってなーい!」とワタシ昔ハーバード大生でした感を出す遊びをしていた。虚無感を味わいたいのならぜひやってみてください。本当に虚しいですよ。
[2]名門大学のパーカーは古着屋などでわりといい値段で買取されている。UMASSで何度かハーバードやULCAのパーカーを着た人を見たが、それは北大で東大や京大のTシャツを着るようなイタさが伴うものなのではないかと驚愕した。
[1]ラーメン、カレーライス、ありとあらゆる日本料理にパクチーを入れられ続けてきたせいで、私は今日本料理にパクチーが入っていないことを寂しいと思う体に作り変えられてしまっている。恐ろしい。
[2]大学内は大麻、飲酒、タバコ厳禁だがみんな普通に吸っている。自分の部屋からいつも甘ったるいお香のようなにおいがするなと思っていたが、二か月ほどしたころにそれがルームメイト(もしくは、その友達)の吸った大麻の残り香であることに気づいた。また、ホームパーティーに招待されたところ自分以外全員が庭に出て大麻を吸い出す状況に遭遇し、自分も庭に出て「大麻を吸う数十人の男女を観察する」という謎タイムを過ごした。
[1]多分みんなほとんどツァ!しか発音していないと思う。これは男の子がわざと声を低くして使っているイメージ。
[2]おい、てめーはクソ野郎だ、的な意味。ちなみにdoucheは浣腸用の器具の意味で、ここでも尻の話をするのかとあきれる。
[3]そんなわけがなかろう。
[1]どこにいるの?という意味。わかりづらい。ちなみに今でも何の単語の省略なのかわかっていない。これらの省略語はチャット上での周りの反応を見ていくうちに理解した。
[2]でしょ~という意味。わかりづらいから省略するなと思うが日本語にも「り」などという気が狂ったとしか思えない省略語が存在するので責められない。
[3]私が通い詰めて臀部から下の健康を失ったジムである。
実際はもう少し続くが、恥ずかしくなってきたのでここで終わらせていただく。また、この文章を読んだところでひとり漫才のノウハウを伝授できたとはとても思えず、このページを開いた皆さんの人生の何億分の一かを無駄に使わせてしまったようで申し訳ない。
唯一わかったことといえば、交換留学生が感じる留学先の文化の新鮮さ、目新しさは、うまく練ればすべて漫談に仕上げられるということだろうか。
この台本を読んでくれた教授も私の目の付け所に感心し、また笑いを誘われてAをつけてくれたことを願いたいが、最終成果物を見て笑い出し「これめちゃくちゃ面白いよ!」と言ってくれたアメリカ人は、私の執筆とアイデア出しに全般的に関わり助けてくれた友人ただ一人だったことが、今でも私をすこし不安にさせる