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パンツの黄色いシミ

あれは小学校1年生か2年生の夏のことだったろうか。

プールの授業前に教室で水着に着替えていると、隣にいた同級生が急に大きな声で「あ、シカクマ、うんこ漏らしてる~」と言い放った。

私が脱ぎ捨てた白いブリーフを見ると、そこには確かにうっすらと黄色いシミがついている。その日は朝からお腹の具合が良くなかったので「ああ、やってしまった」と、体の奥の方がぎゅっと熱くなるのを感じた。

にわかにざわめき始める教室の真ん中で私の頭は真っ白になり、何も言い返せずにいた。どこかに逃げ出してしまいたかった。

するとわれわれの近くで着替えていたオオニシ君が「誰にだってそういう日はあるだろ。いちいち騒ぐようなことじゃない」といった内容のことを言い返してくれた。

その一言でさっとざわめきは静まり、みんな何事もなかったようにプールに向かった。

オオニシ君の一言に私は救われたのだった。

オオニシ君とは席が近いだけですごく仲が良いというわけではなかったし、いまは連絡先も分からないのだけれど、あの時の一言に感謝している。

あのときのオオニシ君のように、目に見える奇異さに飛びつかず、周りの空気に惑わされない、冷静な視点を持っていたい。

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