恋愛が分からないって、きっと体調不良だよ
恋愛感情って、いつの間にか行方不明になります。
しかも決まっていつも突然。
夏の夕立ぐらい気まぐれにふらっと現れてくることもあれば、そのまま一瞬で過ぎ去ってしまうこともあります。
「あれ、好きだと思ってたんだけど違ったみたい。あの胸の高鳴りは一体なんだったんだろう」と思った経験は最早数えきれません。
心理学者アドラーは、「人の悩みは全て人間関係に関する悩み」だと解きましたが、その実殆どは異性への恋心の悩みなのではないでしょうか。
僕の元には度々こんな質問がきます。
「好きってなんですか?」
「恋愛が分からなくなりました」
「この感情は好きなんでしょうか?」と。
正直に話します。僕にも分かりません。
僕の恋愛感情も、絶賛行方不明中だからです。
捜索願を出してから決して短くない時間は流れた筈ですが、未だ手掛かりはありません。
きっかけはなんだったのだろうと思い返してみました。
恋心が一度自分探しの旅に出たのは、きっと学生時代に叶わないまま終わった数年越しの片想いが終わってからです。
行き場が無くなった恋愛感情が性欲に形を変え、吐き捨てるように無闇矢鱈と愛情のない乱れた関係を持つようになった僕は、恋愛感情のない異性関係に文字通り溺れました。
間違いなく、そこから一つ感情が深層に溺れたまま行方不明になっています。
これは恋だと確証できる感情は、一体どこに行ってしまったのでしょう。
もう自分では探し出せないくらい、深く暗い所まで沈んでしまっている気がします。
でも時々こんなことを思います。
恋愛が分からない状態って、体調不良の時と同じなんじゃないかって。
僕はあまり体が強くありません。
風邪は日常茶飯事だし、学生時代はインフルエンザが毎年の恒例行事でした。
そんな僕が、体調を崩す度に思ってたことがあるんです。
「健康な状態の感覚が分からない」
発熱してる期間が長かったりすると、元々の健康体の自分の感覚が分からなくなりませんか?
治った筈なのにいつまでも何となく体が重かったりする感覚あるじゃないですか?
でもふと全回復したのに気づくと、「健康っていいなぁ」って思いませんか?
分からない人は、分かる前提で話を聞いてください。
僕はこの感覚が行方不明の恋愛感情に近いと思うんです。
きっとですよ。恋って始まってみないと分からないんです。
体調不良の自分が健康体の自分を想像できないように、恋愛をしていない自分は恋愛をしている自分を想像できないんです。
僕の恋心が行方不明なのは、恋愛が怖くて逃げたから。いつまでも叶わなかった恋を引きずっているからだと思います。
行方不明なんかじゃない。見つからないわけでもない。僕が自分で見つけないように箱に蓋をして隠しているんです。もう傷つきたくないから。
でもきっと体調不良から復活した人が「健康っていいなぁ」と思うように、恋から逃げている僕が、逃げずに向き合ってみたら何が恋なのか分かるようになると思うんです。
恋愛が分からないって、もしかすると自分が向き合えてない状態なのではないでしょうか。
この頃僕は、そんなことを思うようになったんです。
恋愛が分からないって、きっと体調不良だよ。貴方の心のね。
リレンザみたいな特効薬も、抗生剤もない厄介な病気です。
対処法は貴方の向き合いたいという気持ち。
「病は気から」とはよく言ったものですね。
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