見出し画像

スタッフが突然辞めました、なぜ?Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード1全文書き起こし

『院長が悩んだら聞くラジオ 』
この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

(高山)おはようございます。パーソナリティのDOCWEB(ドックウェブ)編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ第1回始まりました。大西さん、よろしくお願いします。

(大西)はい、よろしくお願いします。 今日のテーマって何ですか?

(高山)はい、今日のテーマは「オープニングスタッフが突然辞めました、なぜ?」というテーマでいきたいと思います。

(大西)第1回目から結構厳しい質問ですね。

(高山)あ、そうですね。かなり踏み込んだ内容を初回から設定させていただきました。

(大西)あの、院長が悩んだら聞くラジオなので、第1回目は人が辞めることに悩んだらってことですね。

(高山)そうですね。もう本当悩み深いんじゃないかなと思ってまして。 スタッフとのコミュニケーションがうまくいかないって声を結構、私も聞きます。 特にですね、医院経営の大きな悩みの一つには人材採用とか人材育成、この辺に課題が多いのではないかな、というふうに思うんですけれども。

(大西)そうですね。まあ、悩みは人で始まり人で終わると言いますね。 やっぱりクリニックさんとか、まあ、病院さんも含めてだけど、 いい人を採れればいい経営ができるし、いい人が採れなければなかなか難しいっていうのが現状じゃないでしょうかね。

(高山)そうですね。ということで、この後「オープニングスタッフが突然辞めました、なぜ?」というテーマで語っていきたいと思います。

はい、ということで大西さん、初期メンバーというと看護師さんとか事務さんいらっしゃいますけども、突然辞めていくのはなぜだと思いますか?

(大西)まあ一番辞めていくのはこんなはずじゃなかった。院長とこんなに合わなかった、というのもあるし、給料増えないなっていうのもあるし、 あとはなんか違うなっていうのもあるし、まあいろんな理由があると思うんだけど、一番はやっぱり院長と合わないなじゃないですかね。

(高山)院長と合わない。これ入ってみないとわかんないですよね。

(大西)わかんないですよ。僕もコンサルしてみないとわかんないですよ。僕もコンサルして24年経ったけど、最初の頃の委員長像、ドクター像、24年経った今は全然違いますね、考え方が。

(高山)ああそうですか。前はどういうふうに思ってたんですか?

(大西)もうコンサル駆け出しの頃はきっと委員長は金持ちでお金儲けが好きなんじゃないかって勝手に思う。 先日、面白いことに、専門学校の先生僕してるんですけど、医療事務のね。ドクターのイメージを聞いて回った。そしたら全員が金持ちって言ってるから、なるほどって思った。

(高山)富裕層って言われますからね。

(大西)そうですよね。僕はそこのイメージじゃないですよ。まあなんていうの、社会のために人生捧げてる人っていう感じがする。 それ私も感じるとこです。 だから給料あんだけもらって当たり前と思ってる。 決して多くないと。 僕は全然少ないぐらい。全員1億もらってもいいぐらいの人たちだと思う。それが24年経って最近しみじみ思うね。

(高山)なるほど。前はよく稼ぐ人だなと思ってたけれども、24年間やってきて1億もらっても足りないぐらいだと。

(大西)と思いますね。 なるほど。 だって命を救ってるんだからねっていうふうに思うわけさ。

(高山)そうですよね。

(大西)ちょっと話戻すと、何のためにクリニック作ったのっていうところと、何のためにクリニックに入ったんだろうっていうのが雇用関係じゃないですか。

その時に一方は何のためにクリニックを作った。地域に貢献したいとか、社会に役に立ちたいと思って作るわけじゃない。 一方は給料のため、生きていくためとか、子供を養わなきゃいけない。このギャップなんだよね。辞める理由は。

(高山)スタッフ側が生活のため、稼ぐためとかっていう目的で入職してくる。 院長はそこはあまり重要ではない。 全然目線が違うってことですよね。

(大西)そうそう。そこの目線の歩み寄りが結構鍵だなと思ってて。 例えばこんな面白い話がある。院長がね、スタッフのためだと思って、高級料理屋さんにみんなを連れて、さあ食べろってやったんだって。 そしたら、みんな喜ぶと思うじゃないですか。 でもスタッフさんがなんて言ったかっていうと、いつもこんなおいしいもの食べてるんです。「羨ましい」って言ったの。超、嫌味なんですよ、これは。 あなたたちだけ稼いでいて、私たちには回ってきませんねっていうことになります。 これはすごい話ですよ。 人が辞める理由が配偶が悪いとかいいじゃないんですよ。 院長との関係が悪いで辞めるケースが多分一番ですね。

(高山)なるほど。

(大西)だって給料が足りなかったら入らないもともと。分かってるから。  例えば、今日いただくお金がいくらじゃなくて、基本的に月収としてもらうわけだから、月収20万円ですよって言ったら、はい分かりましたって契約してるわけじゃない。 でも50万もらえるはずだったなんて思うはずはないわけですよ。 そこじゃないですよ。なんか待遇っぽく見えるけど、全ては院長とスタッフとのギャップによって辞めていくんだね。

(高山)これはもう入ってからそういうことに気づくわけですかね。

(大西)医療機関を点々としている人たちであれば違和感はないんですよね。 そんなもんだと思うから。 要は、例えば病院で勤めていた看護師がクリニックに来ても、給料が最初から医師と看護師は違うことはわかっているから、 あんまり「院長金持ちですよね」なんていうことは言わないわけです。 逆に、初めて医療機関で勤めた他の企業から来ているような人たちは、なんか違うなって感じがするんですよね。

(高山)ああ、そういうことですね。

(大西)だから、よく僕が話しているんですよ。 オープニングスタッフを選ぶときに、一般企業から入ってきた人たちは気をつけてください、と言っているんですね。 そのメカニズムがわからないから。 だって、いくら出世しても院長にはなれないから。 早抜きで院長になるぞって思っても、絶対なれないですね。医師の免許がない。

脱線すると、事務さんが看護師さんになるケースが結構多いんですよね。 一回、事務をやっていて、もっと医療を勉強したいって言って、看護師になりますって言って、なる人いるんですよね。

(高山)ああ、そうなんですか。なんでそうなるんですか?

(大西)わかってる。そのヒエラルキーを。医師、看護師、我々。 このヒエラルキーから抜く方法が資格しかないんですよ。 事務のトップになれても、看護師にはなれない。看護師のトップになっても、医師にはなれない。 これが一般企業との大きな違いじゃないかな。 スタートからレーンが違うんですよ。 だからそのレーンのトップに登り進めることを目的にしてはいけないというふうに僕は思います。

(高山)なるほど。 もともと、レーンが違うのにも変わらず、報酬体系も違うのにも変わらず、それを求めようとしてしまう人が入ってしまうと、一生埋まらないその溝に対して不満が募ってやめてしまうってことがある。

(大西)そうそう。で、何が起きるかというと、ここにいても自分は成長できないんじゃないかとか、ここにいても私は出世できないんじゃないか。 それでは辞めるよね。 だからオープニングスタッフの一つの悩みは、院長との関係がうまくいかない時が多いんじゃないか。

(高山)オープニングスタッフの人が10年もずっと勤めるっていうパターンもあるんですか。

(大西)ありますあります。このパターンはね、院長との関係がうまくいってんすよ。

(高山)院長との関係がうまくいく、うまくいかないっていうのはどこにポイントがあるんでしょうか。

(大西)院長が上から見てるか、下から見てるかですね。ピラミッドを逆にするか、(通常の)ピラミッドにするか。

(高山)それは院長の見方っていうことですか。

(大西)そうです。全て人が辞める理由は、その人にはないです。私がコンサルティングしてる時にいつも言ってるのは、人は辞めるのは上のせいです、とはっきり言いますね。

(高山)ということは、さっきは事務さんが忘年会の時にっていうくだりがありましたけども、それはそういう風に見られるんですよっていうことを院長が分かって経営をしないといけないっていうことになるんでしょうか。

(大西)例えば今時の話で言うと、みんなでお酒を飲んだり、みんなでバーベキューをしたり、みんなで旅行に行くってことは「今時(いまどき)」ではないわけですよね。 今みんながしてほしいことは給料を1万円でも2万円でもあげてほしい。まずそこに気づく必要がある。 院長はいつまで経ってもスタッフとの距離を自分が縮めない限りずっと開いたまんま。縮められるのが院長だけなんですよ。スタッフから寄ってくれることはない。

(高山)院長ですからね。

(大西)そうなんです。院長が自分が稼いでいて、みんなにお金を配っているっていう考え方を早くやめないと人はどんどんやめる。

(高山)そういったやめていくってことを防ぐためにはどんなことに気をつけていけばいいでしょうか。

(大西)みなさんがいるから私がいるっていう発想に早く関わってほしい。自分が休んだらこのクリニックは成り立たないんだよって言うかもしれないけど、 誰一人休んでも成り立たないんですよ。本当はね。例えば受付の人が休んだら受付できないし、看護師がいなかったら採血できないし、検査もできないし、先生がいなかったら診察できないし。 みんな役割分担であり平等である。だから一人一人の能力も存在価値も尊重すべきではない。 だから一番最初にやることは院長がピラミッドの下から支えるという気持ちを持つことかなと思います。

2つ目これはちょっと話が少しずれるんだけど、何のためにクリニックをやったんだっけっていうことをもう、ことあるごとに説明してほしい。 例えば僕が住んでいるのが横浜なんで、横浜で開業した理由はこういうことだ。これを飲み会の時もそう、お昼食べる時もそう、いつでも話す。耳がタコになるぐらい話す。 これはすごく一番熱く喋れることってここじゃないかなと思いますよ。

僕よく「理念勉強会」っていう勉強会をクリニックで開くんですね。 あるクリニックは理念の唱和を教える。「一、〇〇〇〇、二、〇〇〇〇、三、〇〇〇〇、今日もよろしくお願いします」とやってるんですよ。 これってあんまり意味ないとは言わないけど、効果的ではなくて。僕はいつもやってるのは理念に基づいたエピソードを教えてくださいっていう話をするんですね。

例えばあるクリニックさんでスタッフ同士が仲良く幸せになるっていうのが理念だとすると、それについてエピソードを教えてください。 そうすると、それをいつも考えてる人がペラペラ出てくるわけですよ。 スタッフの幸せってこういうことで、仲良いってこういうことで、って話せるわけだよね。 でも、いつも考えてない人は、うわっつらのの、患者さんが笑顔の時、スタッフが笑顔の時、みたいな、うっすい話をするわけ。 これは理念が浸透してないなって僕は思うわけですね。

だから、普段毎日終わった時に、 今日もこのクリニックで働けてよかったなっていうふうに思えるスタッフが集まれば、人は辞めないし。 あー疲れた。なんでこんなに残業が多いんだろうって思えば、その人は辞めていくだろうし。 そこは多分企業も、医療機関も変わらないんじゃないかな。 で、これ何かっていうと貢献意識っていうことだと思うんですね。 社会に貢献する、自分以外の他人に貢献する、こういったことをしっかり先生はみんなに伝えてほしいなと思うかな。

(高山)そうですね。それも本当に企業と同じですよね。 理念を共通意識を持って、それを実現しようっていうチームにしていくっていうことですね。

(大西)ただ、話の腰を折るようで申し訳ないんだけど、やっぱり一番大事なことっていうのは、一貫した理念の浸透なので、理念が折れるときなんですよ。

(高山)理念が折れる?

(大西)理念を作ったんだけど、それは10年前の理念で、ちょっとズレが出てるときがあるんですよ。 僕、堂々と変えていいと思うんだよね。理念は。 クリニックの理念が別に変わってるんだけどもと。 それを無理やり進むんじゃなくて、見直してもいい。そうすると意外にフィットしたりするので。 だって、開業前に考えた理念なんて10年経ったら変わるよ。 そこをスタッフ巻き込んで理念の変更なんていうところもあるよ。

(高山)結構、最初に決めた理念に固執する院長が多いっていうことですか?

(大西)変えちゃいけないと思ってるんだろうな。 だってさ、話変だけど、赤ちゃんの時に決めた理念と三歳の時(に考えた)理念は違うはずじゃない? 三つ子の魂100までって言うけどさ、少なくとも3年後の理念なわけよ。 生まれて起き上がる時の理念は誰からか理念を借りてきてる可能性もあるし、なんとなく作った可能性もあるので、5年とか10年で見直しても僕はいいと思うので。

理念が浸透できない人、あるいは理念が遂行できないと思うのであれば、いつでも見直していい。 理念が大事大事って聞くと理念に固執しちゃうじゃないですか。 でも理念が大事なんじゃなくて、理念を実践することが大事が正しい言葉なんだよね。 だから実践できない理念を早く捨てて、新しい理念を作るってこと。 だからインボディメント、っていうのは肉体化しなさいってよく言うんだけど、肉体化するってことはすごく大事で、もう人間の体どこを切っても理念でできてるみたいな。 だって理念に笑顔って書いていて、先生が全然笑顔ないよってなっちゃったりするわけね。

(高山)体現できてないってことですね。

(大西)「大西さん、こんな時に笑えるか」って(先生に)言われるんだけど、いや笑顔と笑うは違いますよ。 スタッフ、そして患者が安心できる顔であるって意味ですよと。 笑い顔をしろという意味じゃないんですよ。 理念の深堀りみたいなことをすると、いい理念作ったんで、逆に見直す先生もいるけどね。 たまに僕が理念の研修をするときに、先生の代わりに僕が客観的に見た理念を話しするわけですよね、スタッフに。 先生は多分こういうことを思って理念を作っている。 だからみんなにこういうことを伝えたいんじゃないかっていう話をスタッフさんの前で言うと、先生を心の中で拍手してくれてたらいいなと思ってやってるんだけど、 スタッフさんは、ああ、やっと分かりましたって言うんで。 まあ第三者を送り込むのも一ついいのではないかと、勝手に手前ミスだけど、思いますね。

(高山)なるほど。 最初に決めた理念っていうのがいつの間にか見失ってしまうというか、言葉だけになってしまって、 形骸化していくことっていうのはまあまあ組織としてある話なんで、 それをこう、深めていくための会話っていうのを普段からしていきましょうと。 そうすることによってその理念を体現できるチームになっていきますねってことなんですかね。

(大西)そう。理念にはどこにも配偶を改善せよとか、賃金を上げようと書いてないわけだよね。 これ最後の締めだなと思うんですけど、今日の話の中で一番重要なのは、何のために働くかを一致させましょうということだと思うんだよね。 何のために働くかっていうのは、

1、お金のため
2、自分のため
3、人のため

なんですよ。 医療機関の性質上、人のためが1位に来ないといけない。 だから理念は人のためっていうのが1位に来てるはずなの。 地域のため、社会のため、患者のため、スタッフ。 これが理念のベースにあるわけよ。 お金のためっていうのは生きるためってことだよね。 自分のためっていうのは自分の成長のため。 自分がどれくらい成長するか。

(高山)ああ、自己実現的な感じですかね。

(大西)そうそう、自己実現。 社会のため、人のため。 人のためっては自分以外の人のためなので、 簡単に言うと、社会に貢献するという社会貢献意識。院長がスタッフに朝の挨拶するときに、院長が眠そうな顔して、しんどそうな顔して。 それは、昨日ごめん酒飲んじゃって調子悪いわーのおはようございます。 実現できてないんですよね。理念をね。

(高山)そうですね。はい。

(大西)だからそれはスタッフに伝わっちゃうんですよね。 うん。 だから、毎日戦争なんですよ。経営。 毎日勝負なんですよ。 で、その勝負に対して、なんで人が辞めるんだろう? っていう質問自体には、え?辞めるでしょ?って僕は思ってしまう。

(高山)そういったことに、院長自身が気づいていないと、いつの間にかに辞めてしまうと。

(大西)そうそう。だから、今からでも遅くないです。 おはようございますを変えましょう。みたいな話だよね。

(高山)はい。ということで、そろそろ時間となりましたので、今日はこのくらいで締めたいと思います。

(大西)はい。もういくらでも喋っちゃうので、これくらい止めてください。 はい。ありがとうございました。 ありがとうございましたー。

(高山)「院長が悩んだら聞くラジオ」、お聞きいただきましてありがとうございました。 この番組への感想は、ハッシュタグ委員長が悩んだら聞くラジオでXなどに投稿いただけると嬉しいです。 番組のフォローもぜひお願いします。 それではまた、ポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

クリニックのあらゆる業務を合理化するための情報サイトを運営しています
https://doctokyo.jp/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?