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「学ぶことが楽しい」〔クリシェ【凡百の陳腐句】6-1〕

「読書や勉強に目的などない。学ぶこと、自分が知らないことを知ること、それ自体が楽しくて仕方がない」。

このようなセリフをおっしゃる、まるで孔子様の再来のような御仁がたまにおられる。

殊勝なことである。

そのマインドが、「ホンモノ」であるならば。

仮に「自分は知的な人物だと思われたい」がために言っているとしたら、それは見栄というもので「ホンモノ」とは言い難い。少々不興である。

もっとも、冒頭のセリフが「ホンモノ」か「ニセモノ」かを、口舌のみで判別するのは至難。

「自分の"正しい"価値観と矛盾する事実・価値観に対して、どう反応するか」により、ある程度測れる。


例えば、「努力は愚行である」という価値観が示されたとする。

これに対し、

「努力は素晴らしいはずなのに、どういうこと?」 

自分の正しさを一度横に置き、理由を傾聴しようとするならば、「ホンモノ」。

「努力という素晴らしいことを否定するなんて、とんでもない!間違ってるに決まってる」

不快感とともに無視・黙殺すれば、「ニセモノ」だ。

後者の場合、"楽しい"のは「"自分が正しい"と認識すること」であり、"学び"とは、「"自分の正しさと矛盾しない"事実・価値観のみを取捨選択すること」である。

これが「ホンモノの学び」といえるのかはさておき。


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