「トイバトル」〔コイネージ【新造語の試み】12-1〕
「好み」と「好み」のつばぜり合い。
これを意味する「トイバトル」という言葉を新たに造り、そう呼んでみる。
「目玉焼きには"しょうゆ"と"ソース"のどちらが合うか」とか、「某女性アイドルグループの中で、どの娘が一番かわいいか」とかいった、好みレベルの争いをさす。
これの対になる言葉が、既存の「真剣勝負」だ。
例えば、「商戦」。ハロウィン、クリスマス、年末年始などといった、かきいれどき。少しでも他社より客を取込み売り上げを伸ばそうと、各社必死に戦略を練る。
例えば、「高校の全国大会」。野球、サッカー、俳句、書道に吹奏楽など。少年少女は、それらの大会で「優勝」を目指すべく、青春の多くを費やし努力する。
例えば、「リーグ戦」「トーナメント戦」。M-1グランプリ、W杯、将棋のタイトル戦など。いうまでもなく、勝敗がその後の運命を決する超死活問題。達人同士のガチバトル。
いずれも、"そのためだけに"本気で努力をしてきた者同士の「真剣勝負」。火花を散らさんばかりの、つば競り合い。結果がすべての世界であり、そこに"遊び"や"戯れ"が介入する余地はない。
…これに比べれば、
「たけのこの里」か「きのこの山」か、
あんぱんは「こしあん」か「つぶあん」か、
ドラクエ5の嫁は「ビアンカ」か「フローラ」か、
といった論争など、「おもちゃの剣での争い」に等しい。(※)
まさに、プラスチックの剣でカチャカチャやり合う、「トイソードバトル」あるいは「トイバトル」といっていいものだろう。
完全に「好み基準」のお戯れ。決着などつきようがなく、もっといえば"どっちでもいい"、究極をいえば"どうでもいい"もの。当事者たちもそれをわかった上で、あえて争う「論争遊び」。
本気のようで、どこか戯れ。
なんとも微笑ましく、かわいいものだ。
ここまでなら。
ときに、この「トイバトル」で少々厄介事になるケースがある。
「仕事・家事におけるやり方の違い」だ。
同じ業務・作業でも、Aさん、Bさん、Cさんでやり方がそれぞれ違うことがある。
マニュアル、ルール、セオリーであらかた決まってはいても、細かいやり方の違いは「個々人の好みの違い」といっていい。
このやり方の違いが、ときに同僚間、先輩・後輩間、嫁・姑間で小競り合いを起こすことがある。
こうなってくると"戯れ"では済まないので、注意が必要である。
(※関係ないが、筆者はいずれも前者)。
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