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世界はこれほど酷くなく、これほど平和でもなかった【映画評】コンテイジョン

 ブログ【映画評】5本目は、新型コロナウイルスが流行した今の世の中を予言していたと噂される、現在大変多くの方が見ている『コンテイジョン』です。(全体31記事目)
有名な役者がたくさん出ているのにこの映画の存在を知りませんでした。
しかし、見てかなりびっくりしました。
色んなシーンが、現在の「新型コロナウイルス」が流行している世の中を見事に表しているからです。
キャッチコピーは「【恐怖】は、ウイルスより早く感染する。」

作品情報

タイトル:コンテイジョン
原題: Contagion
出演:マリオン・コティヤール/マット・デイモン/ローレンス・フィッシュバーン/ジュード・ロウ/グウィネス・パルトロウ/ケイト・ウィンスレット他
製作年度:2011年
上映時間:105分
製作国:アメリカ合衆国
ジャンル:スリラー
監督:スティーブン・ソダーバーグ
製作:マイケル・シャンバーグ/ステイシー・シャー/グレゴリー・ジェイコブス
製作総指揮:ジェフリー・スコール/マイケル・ポレール/ジョナサン・キング
脚本:スコット・Z・バーンズ
音楽:クリフ・マルティネス
撮影:クリフ・マルティネス
編集:スティーヴン・ミリオン
配給:ワーナー・ブラザース

あらすじ

 香港出張からアメリカに帰国したベス(グウィネス・パルトロウ)は体調を崩し、2日後に亡くなる。
時を同じくして、香港で青年が、ロンドンでモデル、東京ではビジネスマンが突然倒れる。
謎のウイルス感染が発生したのだ。
新型ウイルスは、驚異的な速度で全世界に広がっていった。
米国疾病対策センター(CDC)は危険を承知で感染地区にドクターを送り込み、世界保健機関(WHO)はウイルスの起源を突き止めようとする。
だが、ある過激なジャーナリストが、政府は事態の真相とワクチンを隠しているとブログで主張し、人々の恐怖を煽る。
その恐怖はウイルスより急速に感染し、人々はパニックに陥り、社会は崩壊していく。国家が、医師が、そして家族を守るごく普通の人々が選んだ決断とは──?

解説

『オーシャンズ』シリーズや『トラフィック』のスティーヴン・ソダーバーグ監督が、地球全体を恐怖に陥れるウィルスの恐怖を豪華俳優陣で描くサスペンス大作。
接触によって感染する強力な新種のウイルスが世界各地に拡大していく中で、社会が混乱し人々が異常なパニック状態に陥っていく様子を映し出す。
キャストには、マリオン・コティヤールやマット・デイモン、ケイト・ウィンスレットなど実力派スターが集結。ソダーバーグ監督だけに、一筋縄ではいかないパニック・ムービーに仕上がっている。

世界はこれほど酷くもなく、これほど平和でもなかった(ネタバレを含みます)

※以降ネタバレを含みますのでご注意ください※

 見終わった瞬間の感想です。
まず、「世界はこれほど酷くなく」というところですが、映画の中では『全米では250万人、全世界では2600万人が死亡』と出てきます。
実際、現在の新型コロナウイルスではここまでの死者は出ておらず、おそらくここまでにはならないでしょう。

「これほど平和でもなかった」というのはワクチンの完成と世間へ出回るスピードです。
映画ではどれくらいの期間でワクチンが完成したか明言はなかったと思いますが、おそらく数か月での完成ではないかと思います。
現実の世界では早くて年内、人によっては来年、3~5年と見ている人もいます。
実際、ワクチンが完成しないと何も解決しないことになります。
今は日本においては沈静化とは言えなくても爆発的な流行は抑えれている状況ですが、何も解決はしていません。
新しい生活様式を取り入れ自衛していくしかない状況です。

ファンタジーではなく、妙にリアルな映画でした

 例えば、同じような感染症を題材にした映画「アウトブレイク」では致死率100%というのがどこかファンタジーな設定だと思いますが、コンテイジョンにおいては致死率20~30%と妙にリアルなのです。

 そして、買い占めや暴動ブロガーによる無責任な発信エビデンスのない薬草への信頼など、新型コロナウイルスが流行する現実世界でも似たような現象が起こっています。
また、WHO(世界保健機構)とアメリカとの癒着も指摘されます。実際の世界では中国との癒着を指摘されていますが。
他にも体育館を臨時の病院とするシーンや、実際に体育館にたくさんのベッドが置かれている状況が現実世界のアメリカでの状況と酷似していたことに驚きました。
ミッチ(マット・デイモン)が妻であるベスが亡くなったことを宣告された直後に「いつ妻と話せますか?」と混乱状態であったこと、ベスをお墓に入れることを拒否されることなどもリアルであります。
買い物する際、前後の距離を開けること、列に並んだ客が咳すると周りからマスクするように促されること、など感染症が流行っている現実世界において見られる酷似している現象に枚挙にいとまがありません。

もちろん映画としての視聴者を飽きさせないような工夫もあります。
例えば、感染源はどこか、誰かというミステリーのような部分。
結果、最後の最後で判明します。
「誰が感染源か」ということは特にひねりもなく、多くの方が予想通りの結果だと思います。
しかし、「感染源はどこか」ということに関しては環境破壊なども相まって少し考えさせられる結果となりました。
アメリカの企業による開発計画→森林の伐採→森にすむ蝙蝠が森林に住むことが出来ず慌てて飛び立つ→食べていた木の実(果実?)を養豚場に落とす→その木の実を豚が食べる→木の実を食べた豚が出荷される→豚を調理した料理人が手を洗わずにアメリカ企業の役員(ベス)と握手をする→ベスに感染という流れでした。
ベスがその後カジノに出入りしたことでカジノのスタッフや、隣で会話した日本人に感染します。
また帰宅途中のトランジットで立ち寄ったシカゴで会った元カレ(不倫相手)に感染させます。
そういう流れで世界中に感染が広がっていきました。

映画を教訓とするために

 感染症を防ぐためにはやはり「手洗いは大切」ということが言えます。
最初の感染において、料理人が手を洗わず握手したことがきっかけであるとすれば手洗いすることで防げたはずではないでしょうか。
次に確証のないデマに踊らされないということ、デマを流さないということが言えます。
私たちブロガー、中には影響力高いブロガーさんもいるかと思います。
以前のブログでも書きました。

子を持つ父、それとブロガーに見てほしい【映画評】『シェフ~三ツ星フードトラック始めました~』

影響力のあるブログは人の人生を狂わせることができます。
感染症というセンシティブな問題であるからこそ、デマを流さない、そしてデマに踊らされないということを考えないといけないのではないかと思います。

 現代の私たちが経験をしたことない感染症という恐怖に世界中がさらされています。
この映画を見ることで一人でも感染症への恐怖を感じ、現実世界においてこれ以上悪くならないよう意識していくことが大切なのではないでしょうか。
家族や友人を守るためにも。

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