子を持つ父、それとブロガーに見てほしい【映画評】『シェフ~三ツ星フードトラック始めました~』
ブログ【映画評】二本目は『シェフ~三ツ星フードトラック始めました~』です。
コメディ部門での評価が高い映画でしたので見ましたが、かなり面白かったです。本当に見てよかったと言える映画でした。
ネタバレを避ける感じで感想を書きます。
タイトルにも書きましたが、
・子を持つ父である人には見てほしいです。特に自分の仕事に誇りを持ち、それを我が子に伝えたいと思う人は見てほしいです。
→中盤以降のあるシーンで、息子であるパーシーが良くない発言をします。その瞬間、父であり主人公のカール・キャスパーがすかさずその考えを正します。
・ブロガーにも見てほしいです。
→序盤のシーンでブロガーで料理評論家のラムジーにカールが思いをぶつけます。その「思い」はブロガー、特に影響力が強いブロガーは心に留めてほしいと思います。
グランメゾン東京を彷彿とさせるようなシーンや結構際どいジョークなども飛び出し、随所にクスッとさせるシーンがあります。
また、料理のシーンが多くお腹が空いているときに見ると危険です。特に深夜に見るともう耐えれません。そこだけは注意してください。
海外映画では珍しくエンドロールでも映像が流れますので最後まで見逃さないようにしてください。
他にも、ダスティン・ホフマンやロバート・ダウニーJr.、スカーレット・ヨハンソンなど名優たちが脇を固めます。
監督であり脚本、主演も務めるジョン・ファヴローは『アイアンマン』の監督でもあります。その関係でロバート・ダウニーJr.も出演したのではないかと思います。
PG12指定なのも頷けるような若干の下ネタもありますが、面白く見れます。
※以下、ネタバレを含みますので読み進める場合は注意してください。
(作品情報、作品詳細、解説までは問題ありませんがそれ以降は注意ください)
作品情報
タイトル:シェフ 三ツ星フードトラック始めました
原題:CHEF
製作年度:2014年
上映時間:115分
製作国:アメリカ
ジャンル:コメディ
監督:ジョン・ファヴロー
製作:ジョン・ファヴロー/セルゲイ・ベスパロフ
脚本:ジョン・ファヴロー
音楽:マシュー・スクレイヤー
撮影:クレイマー・モーゲンソー
編集:ロバート・レイトン
PG12指定
作品詳細
ロサンゼルスにある一流レストランで総料理長を務めているカール・キャスパーは、メニューに口を出すオーナーと対立し、突然店を辞めてしまう。次の仕事を探さなければならない時にマイアミに行った彼は、絶品のキューバサンドイッチと出会う。別れた妻や息子、友人と協力し合い、その美味しさで人々に喜んでもらう為に、移動販売を始めることに。譲り受けたボロボロのフードトラックを改装し、マイアミ~ニュー・オリンズ~オースティン~ロサンゼルスまで究極のキューバサンドイッチを作り、売る旅がスタートした。行く先々でサンドイッチを作りながら、原点に戻り料理や生きる上での情熱を取り戻そうとする…。
解説
オーナーと対立し一流レストランを辞めたシェフがフードトラックでサンドイッチの移動販売をしながら料理や人生への情熱を取り戻していく様を、ラテン音楽に乗せ描いたヒューマンドラマ。監督・脚本・主演は「アイアンマン」のジョン・ファヴロー。ロサンゼルスでフードトラックブームを巻き起こしたロイ・チョイから料理指導を受けた。主人公の元妻を「マチェーテ・キルズ」のソフィア・ベルガラが、彼の力になる友人を「ムーラン・ルージュ」のジョン・レグイザモが演じるのに加え、「レインマン」のダスティン・ホフマン、「LUCY/ルーシー」のスカーレット・ヨハンソン、「アイアンマン」のロバート・ダウニーJr.ら豪華キャストが集結。第27回東京国際映画祭、特別招待作品。
これ以後はネタバレを含みますのでご注意ください。
子を持つ父に見てほしい
マイアミからトラックでの旅の中、カールとパーシーの親子の絆が深まります。これまでのカールは父として決して褒められた人間ではありませんでした。しかし、自身が誇りを持っている「料理」の仕事を通じて子に生き様を伝えていきます。料理に興味のあるパーシーもそれに答えます。答えるだけではなく、父が苦手なSNSでのフォローもしていき、宣伝という形でバックアップしていきます。もちろんフードトラックでの料理でもパーシーは欠かせない存在となります。
特に、以下のシーンは必見です。パーシーが考えを改め、またカールが自身の思いを伝えるシーンです。ここをきっかけに二人の絆が深まっていきます。
1:16:25のシーン
カール「焼けた、焦げてるぞ」※キューバサンドが焦げています。
パーシー「どうせタダだよ」※フードトラックの改装を手伝ってくれた方々に御礼でキューバサンドを食べさせています。
カール「ちょっと来い」
…中略…
カール「よく考えろ、料理は退屈か?」
パーシー「楽しい」
カール「パパにとっちゃ人生最高の喜びだ。パパは立派な人間じゃない。いい夫でもいい父親ない。だが 料理は上手い。お前にそれを伝えたいんだ。お客さんが笑顔になると、パパも元気になる。お前もきっとそうだ。」
パーシー「はい シェフ」←※ここから「父と子」という関係だけでなく「上司と部下」「シェフと見習い」のような新たな関係も生まれます。
カール「あのサンド出すか?」
パーシー「出しません」
カール「さすが俺の息子だ」
お世辞にも良い父と言えなかった、カール。フードトラックを通じて自身の仕事を伝えていく。見事なシーンでした。
ブロガーに見てほしい
ブログで食レポを書く、また食レポに限らず色々なレビューを書く方は多いと思います。もちろん、それが正しい情報でしっかりとユーザーに伝えるべき情報であるならば伝えるべきですが、少なからず影響があるということを意識しなくてはならないと気を引き締めるべきシーンとなったのが以下のシーンです。
前振りとして、下記のシーンの数日前にも料理評論家でブロガーのラムジーがカールの料理を酷評しています。
本来、カールは自信ある新作を提供したかったのですが、オーナーであるリーバ(ダスティン・ホフマン)からいつものメニューで出すことを強要されます。その結果が料理の酷評でした。その後新作を出すから再度食べに来いというカールの挑発によってラムジーが再来店することになります。
しかし、カールの慣れないSNSによる呼びかけのために、多くの客に知れることとなり、レストランが平日にもかかわらず満席となります。その結果、リーバからメニューの変更を認められず、リーバの言うことを聞けないカールはラムジー再来店の日にクビとなります。
クビとなってもお店のことが心配なカールは彼女でありホールスタッフのモリー(スカーレット・ヨハンソン)に状況を確認してラムジーの前に現れます。
00:40:00のシーン
カール「"膨満感"だと?"客に媚びる"だと?
俺は誰にも媚びない!
フォンダン・ショコラは生焼けケーキじゃない
凍らせたガナッシュを生地で包んで
外側だけこんがり焼くんだ
見ろ 中はトロトロだ バカ野郎!
何様だ?
ただ食って悪口を吐き散らす
こっちは必死でやってんだ
スタッフ全員だ!
俺らが必死で作った料理にー
お前は平気でクソをする
傷つくよ
あんな記事 誰でも傷つく!
店が潰れたらどうする気だ?
腐れ野郎め
クソみたいな記事を垂れ流しやがって!
見ろ 中はトロトロだ
クソ野郎!
認めんぞ
何が評論家だ
ふざけやがって!」
以上のシーンです。どんなに自信のある料理人でも自身の料理が酷評されたら傷つくのです。また、お店の酷評によってお店が潰れる危険性もあるのです。それをカールは伝えたかったのでしょう。
私たち、ブログを書く人間も悪意のある内容によって人の人生を狂わせる可能性、危険性があるということをしっかり意識して書かないとならないと気づかされました。
その他に
上記で述べた二点以外にも
・転職を考えているカールにモリーが「どこに行ってもリーバはいるわ」
→どのお店にも料理人の自由にさせないオーナーはいるという意味でしょう。
・パーシーに包丁を渡すシーン
・湿気の多いところで男性のモノにコーンスターチを塗るシーン(笑)
など気になるシーン、面白いシーンが出てきます。
もちろん料理のシーンも必見です。
後味の良い、面白い映画でしたのでぜひ見てください。
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