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人間味あふれる日本の神々 古事記上巻③

28記事目は古事記上巻シリーズの続編となります。

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神生み

 国生みのあと伊邪那岐命、伊邪那美命は次々と神様を生んでいきます。
「神生み」といったり「神々の生成」とよばれる話になります。

大事忍男神(おほことおしをのかみ)※以下の神名には名義未詳が多い。
石土毘古神(いはつちびこのかみ)…石や土の神格化か。
石巣比売神(いはすひめのかみ)…石や砂の神格化か。
大戸日別神(おほとひわけのかみ)
天之吹男神(あめのふきおのかみ)…屋根を葺くことの神格化か。
大屋毘古神(おほやびこのかみ)…家屋の神格化か。
⇒以上の神の系譜は家屋の成立を示すもののようです。
風木津別之忍男神(かざもつわけのおしをのかみ)
大綿津見神(おほわたつみのかみ)…海を掌る神
速秋津日子神(はやあきつひこのかみ)…河口を掌る神。別名:水戸神(みなとのかみ)
速秋津比売神(はやあきつひめのかみ) 

⇒以上、十神。

速秋津日子神と速秋津比売神は分担して以下の神々を産みました。
沫那藝神(あはなぎのかみ)…水面が凪ぐことと波たつこととの神格化か。
沫那美神(あはなみのかみ)…上に同じ
頬那藝神(つらなぎのかみ)…上に同じ
頬那美神(つらなみのかみ)…上に同じ
天之水分神(あめのみくまりのかみ)…分水嶺を掌る神
国之水分神(くにのみくまりのかみ)…上に同じ
天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ)…ヒサゴで水を汲んで施すことを掌る神か。
国之久比奢母智神(くにのくひざもちのかみ)…上に同じ

⇒以上の八神はすべて水に関係のある神様であります。

志那都比古神(しなつひこのかみ)…風の神
久久能智神(くくのちのかみ)…木の神
大山津見神(おほやまつみのかみ)…山の神
鹿屋野比売神(かやのひめのかみ) …野の神。別名:野椎神(のづちのかみ)

大山津見神と鹿屋野比売神は分担して以下の神々を産みました。 
天之狭土神(あめのさづちのかみ)…山地の狭くなった所を掌る神か。
国之狭土神(くにのさづちのかみ)
天之狭霧神(あめのさぎりのかみ)…霧を掌る神
国之狭霧神(くにのさぎりのかみ)
天之闇戸神(あめのくらどのかみ)…谿谷を掌る神
国之闇戸神(くにのくらどのかみ)
大戸惑子神(おほとまとひこのかみ)…名義未詳。或いは山地に迷う意の神名か。
大戸惑女神(おほとまとひめのかみ)

⇒以上の八神の系譜は山野や谿谷に霧がかかって迷うことをあらわすものだと思われます。

鳥之石楠船神(とりのいはくすぶねのかみ) …鳥のように天空や海上を通う楠製の丈夫な船の意。別名:天鳥船(あめのとりふね)
大宜都比売神(おほげつひめのかみ)…食物を掌る女神
火之夜藝速男神(ひのやぎはやをのかみ) …物を焼く火力による名。別名:火之炫毘古神(ひのかがびこのかみ)。
亦の名を火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)…物の焼けるにおいによる名

火の神・火之迦具土神を出産したとき女陰が焼かれ、伊邪那美命は病気になりました。

病に苦しむ伊邪那美命の吐瀉物などから次々と神が生まれました。 
金山毘古神(かなやまびこのかみ、吐瀉物から)…鉱山の神格化
金山毘売神(かなやまびめのかみ、吐瀉物から)…上記の神と男女対偶。
波邇夜須毘古神(はにやすびこのかみ、便から)…ねば土の神格化
波邇夜須毘売神(はにやすびめのかみ、便から)…上記の神と男女対偶。
彌都波能売神(みつはのめのかみ、尿から)…灌漑用の水の神
和久産巣日神(わくむすひのかみ、尿から)…若々しい生産の神 
⇒和久産巣日神には子が一柱います。 
豊宇気毘売神(とようけびめのかみ)…食物を掌る女神

⇒以上、「金山毘古神から豊宇気毘売神」の七柱の神々の系譜は冶金・窯業・農業等における火の効用を示したものでありますが火・金・土・水・木の中国の五行思想の影響があるそうです。

⇒以上、鳥之石楠船神(天鳥船)から豊宇気毘売神まで八神(男女対偶の神を一と数えます)

伊邪那美命の死

 火の神を生んだことにより伊邪那美命は死にます。
伊邪那岐命と伊邪那美命、二柱の神は共に十四の島、三十五の神を生みました。
※伊邪那美命が死ぬ前に生んだ数になります。
淤能碁呂島は生んでないので入りません。また、水蛭子と淡島も入りません。
※神の実数は四十ですが、男女対偶の神を一柱と数えるために三十五になります。

火神被殺

伊邪那岐命は伊邪那美命の死に号泣しましたが、この涙からも神がまた生まれます。大和の「天の香具山」の「畝尾」の「木の本」に生まれました。…「」内は地名。 
泣澤女神(なきさわめのかみ)

⇒泣くという行為は蘇生のための鎮魂儀礼だったそうです。ですのでこの神は蘇生の神であり、死者を生き返らせてくれる神と信じられていたそうです。

伊邪那岐命は伊邪那美命を出雲国と伯伎国(伯耆国)の境にある比婆(ひば)の山(現在の島根県安来市域内)に葬りました。
妻を失った怒りから伊邪那岐命は火之迦具土神を腰に帯びている十拳剣(十つかみある長い剣)で切り殺しました。
この剣の切っ先に付着した血が岩石に落ちて神々が生まれます。
※なお、この十拳剣の名前を「天之尾羽張(あめのをはばり)」、別名を「伊都之尾羽張(いつのをはばり)」といいます。 

石折神(いはさくのかみ)…岩石を裂くほどの威力ある神
根折神(ねさくのかみ)
石筒之男神(いはつつのをのかみ) …岩石の神であろうが名義未詳
⇒以上、三柱

甕速日神(みかはやひのかみ)…火の根源である太陽をたたえた神
樋速日神(ひはやひのかみ)…上に同じ。
建御雷之男神(たけみかづちのをのかみ) …勇猛な雷の男神。剣の威力を称えたもの。別名:建布都神(たけふつのかみ)、別名:豊布都神(とよふつのかみ)
⇒以上、三柱の神は十拳剣の刀身の根本からの血が岩石に落ちて生まれた神々であります。

闇淤加美神(くらおかみのかみ)…谿谷の水を掌る神
闇御津羽神(くらみつはのかみ) …上に同じ
⇒以上、二柱の神は十拳剣の柄からの血より生まれた神々であります。

また、殺された火之迦具土神の体の部位からも神々が生まれます。
正鹿山津見神(まさかやまつみのかみ、頭から)
淤縢山津見神(おどやまつみのかみ、胸から)
奥山津見神(おくやまつみのかみ、腹から)
闇山津見神(くらやまつみのかみ、性器から)
志藝山津見神(しぎやまつみのかみ、左手から)
羽山津見神(はやまつみのかみ、右手から)
原山津見神(はらやまつみのかみ、左足から)
戸山津見神(とやまつみのかみ、右足から)
⇒以上、八神

この後の展開

 さて、今回はここまでとします。
聞き覚えのある神々の名もあったかと思いますが、今回は神様の名前がたくさん出てきました。
「万物に神が宿る」という考えがよくわかるストーリーだったかと思います。

 次回は「黄泉の国」にいく話になりますのでお楽しみにしてください!


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