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人間味あふれる日本の神々 古事記上巻②

 note23記事目「人間味あふれる日本の神々 古事記上巻①」では古事記の物語最序盤、天地初発について詳しく記載しました。
今回は、その天地初発に続くストーリーを記載していきたいと思います。

神婚

 さて、前回の「天地初発」のときに
・別天神(ことあまつかみ)
・神代七代(かみよななよ)
という神々が出てきました。
最後に出てきた男女対偶(1体1)の神様が
伊邪那岐神(いざなきのかみ)、
伊邪那美神(いざなみのかみ)でした。

古事記の続く話としては、5柱の別天神が話し合って伊邪那岐命(いざなきのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)に国作りを命じる話になります。

 修理固成と呼ばれる「この漂える國を修(おさ)め理(つく)り、固め成せ」という言葉で日本を作ることを委任します。
天の沼矛(あめのぬぼこ)を賜り委任されました。
そして高天原と人間の国をかける橋であるを「天の浮橋(あめのうきはし)」に立ち、天の沼矛を使い淤能碁呂島(おのごろじま)を作ります。なお、この島は所在不明であります。

 この島に降り立ち、天の御柱(立派な柱)のところに新居「八尋殿」を立てます。
そして天の御柱を回って出会ってから性行為を行うことにします。
2神は天の御柱を回って出会います。
まず女神である伊邪那美命から「ああ、いい男だ」と声をかけます。次に男神である伊邪那岐命が「ああ、素敵な女だ」と応じます。
しかし、続けて「女性から先に声をかけるのは良くない」と言いますが、そのまま寝所で性行為を行います。
生まれた子供は水蛭子(ひるこ)と呼ばれる骨のない子でした。
この子を葦舟に入れて流します。
続いて淡島(所在不明の島)が生まれますが子の仲間には入れませんでした。

余談:神(かみ)と命(みこと)の違い

 ここで、伊邪那岐、伊邪那美が突然伊邪那岐、伊邪那美に変更されています。
古事記では「神」と「命」を区別しており神は宗教的、命は人格的意義において用いられているとされています。わかりやすく例えると神が公人、命が私人(プライベート)ということになります。
神が高天原から國を作るために命令を受けた時より「命(みこと)」に転じた、天津神とのご命令を賜ったことで「命」なったとされています。
なお、「イザナミ」は「誘う(いざなう)」からとられていると考えられています。

命持ち言霊(みこともちことだま)
AがBに「恋歌」を歌う。
歌=訴える
恋=乞う
Bから振り向いてもらうために歌う(訴う)
Bの霊魂がこちらにくるように乞う。

国生み

 最初の性行為が上手くいかなかったので高天原に戻り別天神にアドバイスを求めます。そこで次は伊邪那岐命から先に声をかけるようにアドバイスします。そしてまた元の場所に戻りそのアドバイス通りに声をかけて結婚し性行為を行います。

 そこで8つの島々が生まれます。
・淡路島(淡道の穂の狭別島)
・四国(伊豫の二名島)…胴体は1つで顔が4つある島。
・隠岐島(隠岐の三子島・天之忍許呂別)
・九州(筑紫島)…この島も胴体1つで顔が4つある島。
・壱岐(伊伎島・天比登都柱)
・対馬(津島・天之狭手依比賣)
・佐渡島(佐度島)
・本州(大倭豐秋津島(天御虛空豐秋津根別))…大和を中心とした幾内の地域の名で本州の呼び名ではない。

これら八島を大八島國(おおやしまぐに)と呼びます。
※我が国の古い呼び名の一つで対内的に用いられた呼称(対外的には「日本」の文字が使われます)です。

次にこの大八島國の周りに6つ島が生まれます。
・児島半島(吉備兒島…(岡山県にある)・建日方別)
・小豆島(小豆島・大野手比賣)
・大島(山口県柳井の東にある大島・大多麻流別)
・姫島(女島(大分県国東半島の東北にある)・天一根)
・五島列島(知訶島・天之忍男)
・男女群島(两兒島・天两屋)

余談:男尊女卑!?

 女性から声をかけたことで国生みが失敗し、男性から声をかけることで成功したというこのストーリー。
古事記は男尊女卑の話なのかということを連想するかもしれません。
確かにこの部分に特化するとそういった考え方に近いかもしれませんが、古事記全体を通して決して男尊女卑の話ではありません。
古事記では天照大神をはじめとする多くの女神が登場しますし、母や妻、皇后が重要な役割を担う・活躍する話もあります。

 ここで、そのような考え方が入った理由は神話の中に他国の思想が加えられたと考えられているからです。
水蛭子と淡島という失敗した子(島)が生まれた原因を当時の新しい思想の中に見出したからのようです。

 なお、ここで出てくる水蛭子は海に流された後、恵比須神になったと考えられています。
流れ着いたものは福をもたらすという考えた古来の習慣からそのように考えらています。恵美須神が祀られている神社としては兵庫県西宮市にある西宮神社が有名であります。

この後の展開

 今回、神婚及び国生みにより日本の島々が生まれました。
この後はいよいよ他の神々が生まれます。
それと同時に悲劇が待っていますが、日本書紀には無く古事記にはある、古事記にとって一番ポイントとなる話も出てきます。
 続きも近いうちにアップ致しますのでお楽しみにお待ちください。

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