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薩摩わっふる

「薩摩わっふる」の
主力商品は

・プレーン
・サツマイモ

だ。
他にも
・クルミ
・コーヒー
・チョコ
・いちごチョコ
・ショコラ
・豆乳きなこ

がある。
そして季節限定で
夏はブルーベリー、冬はアップルシナモンなどがある。

お店に立つのは、ほぼ、ろう者がメイン。
スタッフと
ベテランの域に入る仲間(=利用者)が切り盛りしている。
週に数回ではあるが、聴者スタッフが店頭に立つが、お客様とはほぼろう者が対応している。

「薩摩わっふる」は
就労継続支援B型事業のひとつで、酒まんじゅうの「加治木まんじゅう・ぶどうの木」の閉店後に、新しく立ち上げた事業である。

なぜワッフルなのか?

よく聞かれる質問だ。

簡単にいえば、私が好きだったからだ汗

加治木まんじゅうが、スタッフの諸事情と機材の故障により、資金を調達することが困難なため閉店せざるを得なくなったあと、ろう者が得意とする手芸と木工でやっていこうと思った矢先

加治木まんじゅう・ぶどうの木時代

ヤマト福祉財団の工賃パワーアップのための

「夢へのかけ橋」事業改革モデル化資金・実践塾

があることを知る。

早速、スタッフに申し込んでみようかと話を持ちかけ、まずは申請をしたが書類選考を通過し、申請したスタッフが塾生となり数ヶ月の研修を受けることになる。

その矢先、てっきり「手芸と木工」をメインにした内容になるかと思いきゃ、スタッフからなぜか「食品部門」に配属されたとLINEが来た。

は?

スタッフも配属を間違えているのではと塾長の亀井勝先生に尋ねたところ「以前、加治木まんじゅうをやっていたのだし、収益が見込めるから再開すべきだ」ということだったそうだ。

私が「加治木まんじゅうは無理!もうやらない」と返事をすると

塾長からクビを覚悟で、理事長を口説き落としなさいみたいなことを言われたそうな。

「なんとかしないと私クビになる…」

確か、その時スタッフは研修先の東京にいた。

「無理!もう辞退すれば?」
「でも、でも…」

のやり取りが続く。

塾長の亀井先生の話をLINEで聞かされる。

手芸や木工で収益が見込めるのか?
障害者が人並みに給料もらえるようになるには、やはり酒まんじゅうの方がはるかに収益が見込める。

確かに酒まんじゅうの製造・販売の収益は、人並みの給料まではいかないがそれなりの工賃が払えた。

手芸・木工は、やはり製作時間がかかり、しかも販売額も安い。コスパが悪すぎる。

雑貨販売

そのスタッフに
「一晩、考えさせて」
と伝え、やり取りは終わった。

いろいろ考えた末に閃いたのが
「ワッフル」である。

実は、その時期
手話講師として月2回、上京していて新宿駅南口にある「MR.waffle」が好きすぎて必ず食べに行っていたのだ。

あのバター濃厚な甘い香りと
サクサクとした食感!

これまでは意識もせずに
美味しい美味しいと頬張っていたのだが
よく考えたら
製造過程では、ろう重複者が最初から最後まで製造できるスイーツなのではと。

材料の重さを計り、機械でこねる。
そして生地を丸め、焼く。

酒まんじゅうは、生地作りなどは機械任せで
発酵はよほどの技術が必要なので専門のスタッフが必要。
仲間が、自分の力で携われるところは少なく感じていたが
ワッフルならば全過程、出来るのではと。

スタッフに伝えると、「えええっ!」とびっくり仰天される。何しろやったことないことだから無理もない。

アメリカンワッフルだったら
やれそうなのでは

ということで、スタッフも腹を決めたようだ。

そして塾長に伝えると、その後が本格モード。全国チェーンのワッフル店に見学に連れて行かれ、使用する機器などまでも見せていただいたようだ。

結局、アメリカンワッフルではなく、パンのように生地を醗酵させて作るベルギースタイルの方がいいと報告を受ける。

機材などコストがそんなにかからないアメリカンワッフルを考えていたのだが、塾長のアドバイスによりベルギーワッフルになったのだ。

もちろん、機材などは目玉が飛び出るほど高額👀👀👀

躊躇したものの、塾長、スタッフの熱意…しっかり収益を上げ、「利用者さんが働き高工賃をもらい、自立して幸せに生活する」ことが本来の姿だ、という考えに、それぐらい腹を決めて本気でやらないといけないことなのだと考えさせられた。

ここからがベルギーワッフルへのスタートとなり、ありがたくも事業モデル化が認められ事業の立ち上げのための資金(一部)助成を受けることになった。

しかし…

機材を揃え店舗を構えるには、助成金だけでは足りないので、銀行より融資を受けるべく、大手銀行に申し込むが「非営利法人」であることと、実績を出してないことから断られる。

もう一つの銀行に申し込んだものの、最初は難しい顔をされた。他にもいくつか銀行はあるものの、とにかく折れそうな気持ちを持ちながらスタッフと一緒に、この事業がなぜ必要なのか説明していく。もちろん、障害者が人並みのお給料をもらい、自立して幸せな人生を送ることを強調してのこと。

頭の中には、こちらで頑張って働いている仲間の顔が浮かんできた。
たくさんの給料をもらい、好きなものを買い、自立して幸せな人生を送る姿が…。

担当者より「検討します」と返事をいただいたが、今回もダメなのかなぁと思い暗い気持ちで帰途につく。

そして数日後、融資をすることが決まったと連絡がある!もう、この喜びは言葉では言い表せないほど。(初めての融資なので、担保をつけての融資)

後で聞けば、その担当者さんが頑張って上を説得してくださったとのこと。その担当者さんがいなかったら「薩摩わっふる」は誕生しなかった。今でも感謝しきれない。

そうして店舗を借り、店内のデザイン、工事を建築会社に依頼し、機材を買い揃える。

工事中の店舗

また、薩摩わっふるのロゴや店内の壁画はコーダのイラストレーター・門秀彦氏に依頼し、そして2014年5月「薩摩わっふる」がオープンした。


門秀彦氏による壁画
イートインスペース

オープンしてからもう9年。

今や、仲間が製造から接客までこなす、薩摩わっふるには欠かせない主力に成長した。(支援スタッフは何があった時のヘルプのみ)

おかげさまで、たくさんのお客様に足を運んでいただいている。

接客の際のコミュニケーションは音声は使わず、指差しや身振り。最初はお客様もろう者が接客ということに驚き、しどろもどろになるなど理解してもらうまで大変だったが、今や慣れてきたのか、お互い自然にやりとりができている。

薩摩わっふるの理念は
美味しいワッフル、その先に手話がある。

「当たり前のことが、当たり前になる」


そんな共生社会を目指して、今日も仲間たちは美味しいワッフルを手作りで、ひとつひとつ心を込めて作り、お客様に美味しさと笑顔を届けています(^^)

(参考)
ヤマト福祉財団 NEWS No. 43
https://www.yamato-fukushi.jp/aboutus/publication/43.html

鹿児島市ナイスハート事業運営協議会
https://www.nice-heart.com/office/budounoki/

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