見出し画像

軌跡をたどる③

 こんにちは。デフダンスのNami♡です。軌跡シリーズラストの3回目は、アルゼンチンタンゴの体験会のことを書こうと思います。

 もともと、アルゼンチンタンゴといえば、クィアタンゴ東京で体験させてもらっていて、何回かではありますが、参加もさせてもらっていた背景があります。そして、デフのお友達も何人かお誘いして行きました。ミロンガにも行きましたね。コロナでぱっとお休みになってましたが、最近、復活されたのでとても嬉しいです。でも、私は京都で遠いので、なかなか行くことはできなくなってしまいました。行くときにダメもとで連絡して日が合えばぜひお会いしたいメンバーたちです。
 
 さて、そんなアルゼンチンタンゴなのですが、私が上京するタイミングで、Marcy先生たちがお教室で体験会をするということがわかりました。おっ、体験会!と目に留まり、これはと友だちに呼びかけました。
 
 お友達を誘うので、手話通訳ができるか、あるいは、せめて手話のできる人を募集したんです。はい、努力はしました。できるだけ声をかけました。ひとり、ふたり、三人…全滅でした。本当に誰一人だめでした。

 ごめんね。手話通訳ないと謝って、それでも参加しにきてくれました。ひとりは、見学だけならとついてきてくれました。先生たちも、UDトークを準備して、両手ひらひらのデフカルチャーの拍手で迎えてくれて、温かさを感じました。

 それで、ここからとても書きにくい、注意して書かねばならないことなので、お友達が読んでこれは違うということになれば訂正を入れるかもしれません。その前提で書きますね。

 見学のお友達も、デフです。スタートして、しばらくして、これはと思って、ぱっと立ち上がり、情報保障に入ってくれました。口を見て、先生たちの動きを見て、それから時々、腕につけているアップルウォッチのドラフトというアプリで音声認識させているのを見ながら、手話通訳をしてくれたんです。体験に参加していたデフのお友達や私は、本当にびっくりしてしまいました。

 これを書くのがとても難しいなぁと思って、軌跡シリーズを3回目までひっぱってしまいました。

 そのたぐいまれな才能というか、口を読み取って推測と合わせて通訳をするという集中力に対して、まったく耳がきこえないのに、少しは聴こえるのではないかと誤解されたり、辛い目にあったりしてきたんだろうなぁと想像できます。終わってから、先生たちにもお友達が何をしていたかを伝えていたのですが、驚かれました。

 お友達に、「初めて体験することなのだから、分かった、っていう気持ちになってほしかった。だから、大まかで間違いもあるかもしれないけどとにかく、口話からの読み取り通訳をしたんだよ」と言われて、ありがとうという気持ちと、申し訳ないなっていう気持ちになりました。やはり手話通訳を準備して呼びかけないといけなかったんだと思います。わーっと勢いで呼んでしまって、ごめんなさい。甘さがある自分のことを反省しました。

 しかも私、この前の日に、ブラインドダンサーのお友達にも体験会のお話をしていて、ガイドの予約がないと言われて、自分もサポートができないために泣く泣く諦めてもらったんです。申し訳ないことをしました。

 さて、体験じたいは、口話読み取り通訳もあって理解できて、先生たちもゆっくりひとりひとり先生と体験者で組んでやる方法で進めてくれたので、とてもできた感があって、楽しかったです。勢いでいって反省もあるんですけど、感謝のかたまりです、お友達にも、先生にも、お礼申し上げます。

 先生たちやはりプロなので、想像していたよりステップが進んで、私の好きな8の字のオチョもやったし、足を止めてはねるのもやったし、ワクワクしながら取り組んでいました。アルゼンチンタンゴの良いところは、向き合っていて離れないところだと思います。デフの人にも、とっかかりとしてすごくやりやすいはず(初級レベルなら)。それで先生と組んでいるのを見て友だちが「うん!できてるし!こっちのダンスに変えたらどう?(笑)」とか本気のような冗談まで言われました。友だちも、最初は「えっどっちの足?わかんない!」と戸惑っていましたが、先生が来てくれた時にはいっと背中を押したら、動けているんですもん。固まらずに動けている!離脱して見学せずに動けている!って感激しました。私の動画だけきりとり少し貼り付けます。

 京都にもどってきて、数日、煩悶しておりました。アルゼンチンタンゴは、ここでは、どこで習えばいいのでしょう…つながりが…まったく…ありません。自分から行くしかないのか、でもやっぱり最初は障がいのある自分を受け入れて、コミュニケーションしやすくしてくれるところがほしいです。私だって、いきなりはやはり、行きづらいです。そこまでしてやりたいことなのか、という気持ちになってしまうんです。道先案内人がいてこそ、進めると思うし、頼ってしまいます。その「頼る」ということは、とっかかりとして悪いことではないと思うんですね。誰かいないかなぁ、と背伸びして探したくなりました。 

いただいたサポートは、デフダンスの普及イベントや情報保障のために使わせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。