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曇ったまま

まいったな。曇ったままだ。

毎日毎日。目に映る世界はずっと曇ったままだ。雨が降ることもないし、晴れることもない。嵐も来なければ、雪が降ることもない。ただずっと曇っている。

好きなものぐらいは晴れるかなと思って色々と並べてみる。

大好きなご飯。ガパオライス。やっぱり曇っている。大好きな映画。恋する惑星。曇っている。大好きな音楽。syrup16g。曇っている。

どうやら僕の目はおかしくなってしまったらしい。

街に出てみる。今は夜だ。近くの繁華街へ向かう。綺羅びやかなネオン。原色が映える場所。しかし、僕には灰色がかってよく見えない。やはりここでも曇っている。沢山いるはずの人もよく見えない。目に映るものだけでない。喧騒もまた灰色だ。そうか。感覚が曇っているのか。そんな状況なのに特別慌てることもない。僕の全てが曇っている。

何となくこうである。それはわかる。はっきりとしないのだ。なぜ好きなのか。なぜ嫌いなのか。綺麗なのか。醜いのか。そもそも僕は生きているのか死んでいるのか。あなたは本当に存在しているのか。全てがあやふやになっている。

どうやら曇っているのは世界ではなく僕の方だったらしい。

それが解ったところでどうしようもない。
曇った僕にはどうしようもない。

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