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我が身を侵蝕するカメラ

今まで写真は携帯やスマホで充分というスタンスだったのだが、最近俄にカメラ欲求が高まっている。

発端は『PERFECT DAYS』。かの映画を観た際、主人公の平山にフィルムカメラで写真を撮るという習慣があった。元々、レトロな画というのは好きだった事もあり、一発で感化され「フィルムカメラ欲しい」となった次第。

その流れもあり最初はフィルムカメラを探していた。ハーフフィルムカメラなんかが流行っている様で、割と安価に手に入るのもいい。とは言えカメラは素人なので、専門家の見解も聞きたいと思いYouTubeやTikTokで色々観ている内に迷いが生じる。

コンデジも良いな。

レトロ画の波はコンデジにも来ており、2010年前後に生産されたスペックの低いカメラで撮れる画が求められているそうだ。1万円以下で購入できる昔の中古コンデジがやたらと売れているのはそのせい。実際、動画で色々説明してくれたプロの写真家の方も、ある程度のスペックがあれば高性能ミラーレス一眼よりも小回りの効くコンデジの方が良いと仰っていた。撮りたい画がどういうものかにも拠るが、僕の様に画質にこだわる必要がないならば、確かにポケットサイズのコンデジは非常に魅力的に映る。

どこに目を向け、どんな構図で瞬間を切り取るか。そこから物語ることができるのか。

僕が考える写真を撮るという行為はこういうものなので、確かにスペックの高い低いとは無縁。フィルムももちろん素敵なのだけど、利便性はあまり良くない。となるとポケットサイズのコンデジ一択か…。それじゃ何を買うのが適切か…。という感じで、あーでもないこーでもないと色々調べているところである。

ちなみに値段と求める性能のバランスを考えて、最終的に候補を3機種までに絞った。はてさて結末やいかにといったところ。

どんな分野でもそうだが、ある一方向に進み続けると揺り返しというものがおきる。カメラ性能の進歩に合わせて高画質や高性能が求められそれが良しとされてきたが、ここへきて素人もプロも「低スペックだからこその良さ」へと求めるものが変わってきた様に思う。

そもそも何故写真を撮るのか。

動画に登場したプロの写真家の皆さんも口を揃える。求める写真の終着点が例えば圧倒的な風景であるなら、やはり高価で高性能なミラーレス一眼は必要だろう。しかし、そうでないならば身の丈にあったカメラというのはあるはずだ。だから人によってはスマホで充分という事にもなる(実際、iPhoneは性能含めこれで全て賄える)。

今まではスマホが身の丈にあっていたのだが、カメラで写真を撮りたいという欲求がスマホから一歩踏み出す選択をさせたという事だろう。その結果、「撮る」という行為がどう変化してゆくのか。それもまた楽しみである。

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