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松田陸選手の移籍について

どうも、でーさんです。

今回はこの話題について。

皆さんもご存知の通り、セレッソ大阪に所属している松田陸選手のヴァンフォーレ甲府への期限付き移籍が決定しました。期間は2024年1月31日までとなります。

松田陸選手と言えば、セレッソ不動の右SBとして8シーズンを過ごし、常にチームの中心となりコーチング並びに卓越したビルドアップ能力、高性能のアーリークロスなど、多種多様なプレースタイルを兼ね揃えたセレッソを代表する右サイドバックでした。

しかし、今シーズンでは昨シーズンコンビを組んでいた毎熊が右SBにコンバートされると出場機会も限定され、スタメン外になることも増えました。パリSG戦では前半のみとはいえ、ブランクを感じさせないパフォーマンスでしたが、その後はまた出場機会無しが続いており、移籍も予想され始めた矢先の発表でした。

今回はこの移籍について、個人的に思うところを書いていきたいと思います。

今シーズンのセレッソの右サイド

…ですが、様々な試行錯誤の結果、現在では442システムの右SBに毎熊、右SHにジョルディ・クルークスのコンビがファーストチョイスという形に落ち着いています。

このコンビの優位性を発揮するには、ビルドアップよりも、サイドに素早く当ててそこから前進する、というスタイル。今シーズンのセレッソをここまでご覧になっていた方なら既にご承知でしょうが、毎熊の右SBでの推進力と守備力は絶対に欠かすことのできない要素。これがあるからこそ、SHのクルークスは攻撃に集中しやすくなりますし、守備のために必要以上に走り回らなくてもよくなります。

セレッソの右サイドと言えば、長らく松田陸のビルドアップとコーチング能力という武器の土台があり、そこに昨シーズン加わった毎熊の推進力と突破力がミックスされた謂わばビルドアップとハードワークという異色?の組み合わせで連携を深め盤石な攻撃パターンとして確立されました。

そして、今シーズンはその松田陸と毎熊のコンビにクルークスの個の力という新たな武器が加わることになります。これにより、小菊監督としては最適解を見つけようと様々な形にトライしていくこととなりました。ですので、一時期松田陸がメンバーに復帰した試合もあれば、クルークスがスタメンから外れる試合も少なくなかったほどです。  

しかし、最終的に辿り着いたのは毎熊クルークスコンビ。そして、戦い方はサイドの推進力を駆使した攻撃にシフト。右SBが最終ラインに残り組み立て役を担うよりも、コンビネーションでサイドを制圧するサッカーに切り替わりました。となると、ビルドアップの余地は必然的に少なくなります。

巷では松田陸とクルークスの相性が良くない?と囁かれていましたが、個人的にはそこまで悪いようには感じませんでした。ただ、パフォーマンスと貢献度を考慮すると毎熊は外せない。そして、ビルドアップの根幹を担っていたキムジンヒョンが怪我で離脱。その状態でビルドアップを試みるサッカーをすると松田陸の負担は増します。となれば、そこのフォローも必要になってくるので、スタイルが停滞しかねない。キムジンヒョン松田陸が揃っているならまだしも、ここに頼り切るビルドアップも頭打ちになりかねない。その辺りも考慮されたのかもしれません。  

ちなみによく言われる「松田陸と毎熊のコンビはダメなのか?」論ですが、ビルドアップという概念から考えれば、「松田陸と毎熊」というよりかは、「キムジンヒョンと松田陸」のコンビなのかどうかが重要です。

小菊監督はどちらかと言うと、チームとしての戦い方の核が決まるまでは選手の適性を考慮した試行錯誤を図りますが、ある程度固まってくるとサブ組にもスタメン組と同様のパフォーマンスを求める傾向にあります。なのて、固まった後はスタイルの継続を優先させます(小菊監督に限った話ではないが)。

仮に毎熊がファーストチョイスで松田陸がそれに合わせるとなると、適性の違い連携面の深さなどからノッキングを起こす可能性もあります。仮の話で松田陸がファーストチョイスでクルークスと相性が良いケースと仮定した場合、毎熊にも同じことが言えるのかもしれません。松田陸に毎熊級の推進力突破力を求めるのも、毎熊に松田陸級のビルドアップを求めるのもあまりにも無茶振り。松田陸毎熊コンビの踏襲も試みた上で、方向性を定めたサイド攻撃というスタイルを継続するには、どちらかを選択しなければなりません。

要するに松田陸、毎熊どちらが優れてる優れてないの話ではなく、様々な試行錯誤をしていった結果、松田陸が小菊監督の構想から外れたというよりかは、ビルドアップを図るサッカーからサイド攻撃重視のサッカーに切り替わったことにより、そこに適性がある毎熊、そしてその毎熊と開幕からコンビを組んで連携も深まってきたクルークスが優先されることになったということです。こういったことは、セレッソに限らず他チームでも十分起こりうることです。

是が非か?

個人的な見解を述べると、寂しいがやむを得ないというところです。セレッソとサポーター目線からすれば寂しいという意味ですが、本人の実績、能力パフォーマンスの高さを腐らせないためにはやむをえないということでもあります。選手は試合に出てなんぼという考え方もあるので。

移籍と言っても、完全ではなく期限付きですから、当然シーズン終了後に甲府との契約は一旦切れます。そこから延長するのか復帰するのかは、今の時点では何とも言えませんが、能力の高さと実績から考えればセレッソの松田陸に対する評価は揺るぎないと思っていますので、易々と放出というのは考えにくいです。まぁ希望的観測ではありますが。

勘違いしないでいただきたいのは、今回の移籍は「松田陸がダメなわけではない」ということ。むしろビルドアップ時に頼りすぎていた節がある、と思うほどです。セレッソのビルドアップの生命線はキムジンヒョンと松田陸の存在。そこから様々な試行錯誤を経てたどり着いたのが、最終ラインからの組織的なビルドアップよりも、シンプルにサイドの優位性を使うスタイル。生命線の一つでもあったキムジンヒョンの離脱、毎熊の安定感、クルークスの復調等色んな要素が重なり、セレッソが戦い方をシフトさせていったことが大きかったと思っています。

なので、小菊監督が間違ってるわけでもなければ、松田陸が悪いということでもありません。あのイニエスタでもスタイルによってはメンバー外になったりするのが往々にしてあるくらいですから、サッカーというかスポーツにおいてこういったことは珍しくないと思った方がいい気がします。

右サイドはどうなるか?

松田陸移籍に伴い、右SBを務められるのはレギュラーの毎熊と若手の奥田。その他アクシデントによっては別選手のコンバートの可能性もありますが、当面はこの2選手+進藤or西尾、その他でやりくりすることになりそうです。

現在のセレッソはビルドアップ重視で組み立てるよりかは、サイドに素早く当ててそこから出ていく形。ビルドアップの根幹を担っていたキムジンヒョンが負傷で長らく戦列を離れ、松田陸も移籍。ビルドアップは正直難しくなるので、早々とサイドの質的優位を活かすスタイルに切り替えていたのは理解できるところもあります。ただ、キムジンヒョンが怪我から復帰したこともあり今後の戦い方にビルドアップの要素を取り入れる可能性は必ずしも0ではありません。

今回の松田陸移籍に伴い、右サイドの層が薄くなったことについてセレッソフロントの対応を疑問視する意見もあるかもしれませんが、松田陸という1選手の絶大な存在感や信頼性、能力を腐らせるわけにはいかない、という観点に着目すれば、出場機会がある新天地へチャレンジさせるのはおかしいことではありません。サッカー選手は現役生活が長くありませんし、年齢も年齢ですので、セレッソに拘らず挑戦していく気概があるのは素晴らしいことです。

セレッソに所属していた8シーズンもの間、クラブやサポーターに色んな思い出や笑顔、実績を残してくれた松田陸選手。いつの日か再びセレッソのユニフォームを着て共に戦ってくれることを祈りつつ、新天地での活躍に期待したいところです。

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