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不公正を可視化する

デモクラティック・デザイナーの北畠拓也です。
今回新しいマガジンを立ち上げました。題して、「公正な社会の創造を目指す市民のための研究所 -Institute of Monitoring and Advocacy for Fairness Tokyo」です。

「研究所」としているのは、いずれ組織化しようと考えているからです。
ここでどのような情報を発信していくのかを、簡単にイメージしていただこうと思います。

まず私は、大学ではコミュニティ・デザインを学びました。
コミュニティ・デザインという言葉は、住民参加によるまちづくりとして、日本でも定着しつつあります。
しかし、その本来の目的ないし存在意義について源流を探ると、それは「不公正の是正」であるといえます。

私の恩師のそのまた師匠であるランドルフ・ヘスター先生は、コミュニティ・デザインのいわばレジェンドですが、著書の中でこのように語ります。

コミュニティー・デザインの第1の目的は環境的公正の創造であり、この点で他のデザインが目指すことと際立った違いを見せる。(中略)デザイナーたちは、主に中流以上の人々をクライアントとし、彼らのための場所を創造しているが、その場所は社会的少数者や「望ましくない人々」や低所得者層を排除している。ここで排除された人々には、劣悪な住宅、荒廃する近隣地区、不十分なオープンスペースが残される。デザイナーは、持てるすべての力を傾けて、公正な生活環境の創造を追求すべきである。(まちづくりの方法と技術 コミュニティー・デザイン・プライマーより)
公正さは、民主主義が機能するための基盤である。(中略)現在の都市デザインが実現すべき公正さには、アクセス、包摂、資源と生活施設の平等な分配という、行政課題でもあるこの3点が直接に関係している。(エコロジカル・デモクラシーより)

そして以下のような図を示しています。(コミュニティー・デザイン・プライマーより)

不公正

意味はこうです。かつて、アメリカでは「White Only(白人専用)」という看板で、白人と黒人とを隔てていた。80年代にはそんな看板はなくなった。しかし、看板のようには目には見えない形で、やはり白人と黒人あるいは高所得者と低所得者の居住地域は分けられている。そして高所得者の住む地域にはオープンスペースなどポジティブなインフラが、低所得者の住む地域にはゴミ焼却場などのネガティブなインフラが集中する、というような「環境的な不公正」が存在すると説明します。

こうした「不公正」は、現在の日本(東京)でも存在し、それはますますわかりにくい形になっているといえます。まずはそれを可視化することが重要だということで、こういった活動を始めようと思ったわけです。

このマガジンの趣旨はこうです。日本(主に私の活動地域である東京)における不公正を可視化し、それを発信する。そして、そのような不公正がどうして起こるのかを本気で考える。それは、行政的な課題や、社会構造上の問題、経済システム上の矛盾、メディアによる刷り込み、など様々なものが考えられます。その不公正を是正し、公正な状態を創造するためにはどのようなアプローチが必要かを、現実的かつ建設的に考えるということです。そのためには、市民が正確な情報という武器を持ち、志のある専門家をタッグを組み、行政と協働したり時に対立したりー緊張関係を持ちながら改善していくプラグマティックな努力が必要になります。そうした方法論を科学的かつ実践的に確立していくことで、公正かつ民主的な社会ーレジリエント(しなやかで強い)な社会を創っていくことに寄与したいと考えます。

もちろん、これは一人でできることではありません。ぜひ皆さんと一緒に進めていきたい。仲間になってほしいと思っています。しかしまずは地道なことから。社会に存在する不公正を可視化していくこと。それがこのマガジンのテーマです。ご購読いただければ幸いです。


引用文献:

まちづくりの方法と技術 コミュニティー・デザイン・プライマー ランドルフ・T.ヘスター/土肥真人 共著 現代企画室

エコロジカル・デモクラシー まちづくりと生物的多様性を繋ぐデザイン ランドルフ・T.ヘスター 著/土肥真人 訳  鹿島出版会

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フリーランス/デモクラティック・デザイナー/東京工業大学 後期博士課程(休学中)/社会への多様なコミットメントのあり方をデザイン/市民によるホームレス問題の調査や参加型まちづくりのプロジェクトを実施してきた。https://www.sharin.work/about

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