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なかまにゲット 2

たっくんの家を出た私の顔面は半分涙と半分岩のような形で構成されていた。そして私は家へと戻った。
たっくんの家と私の家は同じ町内で、ちょうど東の端と西の端に家があった。公園はその丁度中間地点にあり、一緒に遊ぶ時の集合場所はいつもそこだった。
私は家に帰るなり1時間くらい泣きながら体育座りでうずくまっていた。その後泣くのにも飽きて、たっくんの事を考え始めた。もはやモンスターボールの事は2の次で、たっくんを見返したい気持ちで溢れていた。でも見返すにはどうすればいいかを悩んだ結果やはりモンスターボールが必要という結論に行き着きモンスターボールを探すか作るかしないといけないと思った。
そして私はモンスターボールのことを考えているうちにボールの構造に謎が浮かんだ。はたまた2メートルを越す大型のポケモン(ギャラドスなど)も入るようになっているあの小さい玉はどの様になっているのだろうか。ギャラドスは水に入っているのにその水はあの玉の中ではどうしているのか、漏れては来ないだろうか?などと小さい頭なりにモンスターボールと言う超テクノロジー品は本当にあるのか、あっても物凄く高いのではと考えを巡らせた。

その夜、夕食後に私の親にモンスターボールについて聞いてみた。
「ポケモンのモンスターボールってどうなってるの?」
「モンスターボールの中にポケモンが入る仕組みのことかい。それはね、モンスターや動物が小さくなってから入る仕組みだと思うよ。あの大きさのまま小さいボールに詰める事は不可能だからね。」
「それはわかってるよ。どうやって小さくなるかを聞きたいんだ。」
「うん、それはお父さんにも分からないな。君が調べるしかない。」
「俺は分からないから聞いてるんだ、今までお父さんに聞いて答え聞けなかった事なかったじゃん。」
その言葉を言った直後父は今まで見せた事のない顔で私を睨みつけた。少し間を置いてからいつもより大きな声でしかし冷静にこう言った。
「君はね、人に何か聞く時何も知らないことがあるかい?何か知っているから、その何かをもっと知りたくて聞くんだろ。僕が人に物を聞く時は一般的に知られている情報や相手のことを調べてから聞くことにしている。それはマナーやそれ以前に自分が知りたいことを聞くのに何も知らないと話が出来ないだろ。君には今まで何でも簡単に答え過ぎていたかもしれない。今後もし僕に何か聞きたいことがある時は僕から何点か質問をさせてもらう、それに答えられたら初めて相談に乗ってあげよう。なのでモンスターボールについては2点質問がある。書いてあげるから自分で調べなさい。」
〜メモ〜
・モンスターボールのサイズ、形状についてできるだけ詳しく
・モンスターボールに入るモンスターとは動物や虫、はたまた人間でもいいのか?

私は初めての父の怒りに考えることも出来ず、ただ聞いていた。しかし、ここまで長いお説教はされたことがなかったので言葉だけは一字一句間違いなしに覚えている。

説教を受けた後メモだけとって黙って自分の部屋に行った。その夜は次の日も休みだというのに何が原因かわからないモヤモヤが頭の中を染み付いて離れなかった。

次の日の朝ラジオ体操は休んだ。単純に起きれなかったからだ。
朝の教育テレビでやっているガンコちゃんを見ながら朝食を取る。親は2人とも仕事に出て家には誰もいない。

ピンポーン

玄関に誰かやってきた、出るのは嫌だったが仕様がないと思い玄関の鍵を開けてドアを開けた。
そこには顔が赤くなってるたっくんが立っていた。

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