BrunoMarsが日本で売れている理由

ブルーノマーズが日本で人気なのは日本人が好きな音楽性だからだ。
この10年間でグローバルヒットしている楽曲の中で最もたくさんのコードが使われている曲の一つがSilk Sonicの「Leave The Door Open」である。
この曲の構成とコード進行は、J-Popでよく使われているもので作られている。つまり日本人に耳馴染みのある曲ということになる。
ブルーノマーズが日本で売れている理由をこの曲から紐解いていく。

イントロからAメロにかけて同じ進行でFM7→G→Em→Amを繰り返す。
嵐のLove So SweetやOne Loveなどに代表される、まじでJ-Popでよく使われる進行だ。
最初に歌うのはアンダーソン・パーク。彼の声が一番映える音域に合わせたキーとメロディの設定になっている。

そこからBメロでE♭に転調し、ブルーノの登場。
Cから考えるとE♭1音半上のkeyになる(カラオケで言うと+3)
彼が得意とするロングトーンとハイトーンの組み合わせで簡単そうに歌い上げる。コード進行はG7sus4でサビに繋ぎ、Cメジャーに戻ってくる。

サビのコード進行は、イントロ、Aメロと同じ進行に戻る。
タイトルの「Leave The Door Open」は日本語訳するとドアを開けっぱなしにしておくという意味。繰り返し使われるコード進行の中、ファルセットで歌われるこのフレーズが、ずっと同じことを繰り返してしまう男の普遍性に聴こえるし、キザでナルシストな男が自分に酔って(もしくは酒によって)繰り返し同じことを言ってるだけともとれる。
歌詞のテーマと曲の構成がSilk Sonicのコンセプトやキャラクターとあまりに見事に合致していて、ちょっと笑えてきてしまうぐらい良い。

2番も全く同じコード進行で展開され、間奏に入ってE♭に転調。何度目かのブルーノマーズのハイトーンが響く。
ここで再びG7sus4が登場するのだが、このG7sus4がどういう意味を持つのか。
E♭から見るとセカンダリードミナント、Cから見るとGのドミナントコードに7thとsus4のテンションがプラスされているコードである。
この場合G7sus4はE♭とC、どちらのキーでも使えるコードになるので、まさに揺れる相手の気持ちを表現しているといえる。
ちなみにこのどっちにも取れるコードが出てくるのが嵐のOne Loveだ。

そこから1音下がってG♭→F7sus4と続き、G♭→A♭→A♭sus4で最後のサビでD♭に転調。1、2番のサビから半音上がったことになる。
最後のサビでキーが半音上がるのはJ-Popでよく使われる転調の仕方で、嵐の迷宮ラビリンスや星野源のSUN、AKB 48のラブラドールレトリバーなど、J-Popにたくさん例があり、ブルーノマーズ自身の「Versace On The Floor」や、Silk Sonicの「After Last Night」「Put On A Smile」等でも同じように最後のサビで半音上がる進行になっている。

ここまでざっくりと曲の構成とコード進行について書いてきて、ブルーノマーズが日本人に好かれている理由がよくわかると思う。
余談になるが、Spotifyの世界ランキングでブルーノマーズは第21位(2023年3月時点)、世界ランキング1位はザ・ウィークエンドなのだが、ウィークエンドは来日が2018年に一度だけである。ブルーノマーズの方が来日回数が多い。
ウィークエンドの楽曲でいわゆるJ-Pop的なコード進行の曲はほとんどない。それだけ日本人はコード進行で音楽を聴いているのかもしれない。

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