37年来〜敗残の記〜【売れてない芸人(金の卵)シリーズ】浜村凡平 著
〖はじめに〗
これが私の作家としての処女作……ということになるのだろうか?
いつか芸人として売れた後、文章の仕事もしてみたいなぁ(独自の目線で世の中を斬るエッセイなんかいいじゃない、はたまた社会への復讐を果たした自伝なんか書いちゃおうかな、いやはやド直球に漫才論なんか発表しちゃおうか、なんて夢想していた少年時代。)という気持ちは少なからずもっていた。
が、全く売れないまま時は過ぎ、18年。
もちろん文章の仕事なぞ、ひとつもあるわけない。あるのはお笑いライブだけ。そもそも、それ以外の仕事がない。そんな私に、ある執筆依頼(執筆を! 依頼! と書いて執筆依頼! なんと!)がきた。
『売れてない芸人(金の卵)シリーズ』
売れてない芸人の人生模様・生き様を書いてほしいとの事。
売れてない芸人。……確かに。売れてない芸人度でいったら、私はかなり上位(もっと売れてない人はいたけど、そういう人はほとんど辞めている。)かもしれない。
18年やって、芸人としての最高年収は40万(月収10万超えたこと一度も無し。)いくか、いかないか。テレビに出たのも18年で10本程度。さすがに収入0円、テレビ出演0本じゃあ芸人といえるのか?という疑問もあるから、一番いい売れてなさ。
『売れてない芸人』とは私のことだ。私こそ『売れてない芸人』。『売れてない芸人』のこと、私が書かなきゃ誰が書く。よし。書いてみよう。売れなくても文章の仕事がくる事があるんだな。
執筆開始だ!
……。
……。
あれ? …最初ってどう書き出せばいいんだ? …え? うーん、これはかっこつけすぎだしな。…これじゃ適当すぎるか。…こんなことは思ってないか。…これだと嘘になっちゃうしな。……。むずいなぁ。
あれ? 芸人の本とか散々読んできたのに。みんな最初どうやって書いてたっけ? …やばいやばい。全然書けない。…締切が迫ってくる。まだ1文字も書けてないよ。おい、どうすりゃいいんだ、これ。
いや!!! 文章書くのって、めっちゃむずいじゃねえか!!!
初っ端から『売れてない芸人』パワーを遺憾なく発揮して、文がぐちゃぐちゃになってしまった。これから先どうなるんだろうか。
しかし、締切日はくる。もういいや。どうとでもなれ。上手く書くのなんか無理でぇ! 自分にも少しは文才的なものとかが秘められているんじゃ…と淡い期待を抱いたのが間違いだった! そもそも、こちとら中卒だし! 18年間で書きに書きまくったネタでも何一つものになってないんだから! 仕方あるめえよ!
よし! こうなったら、ぐちゃぐちゃロードまっしぐらだ! この本では、芸人生活を書いた章の中にネタ的な作り話を書いた章(noteに上げていた『友人から聞いた怖い話の〇年来シリーズ』というもの。私の本心的にはこういうのを読んでほしい。今まで書いたものの中から、お気に入りの3編と今回書き下ろした2編を収録。生き様を書いてほしいという依頼を3分の1ほど無視する所業。しかし! 書き下ろし!ってなんか作家っぽい!)を混ぜてみよう! 2対1の比率でいこう! 読みにくさ倍増計画! 照れくささ半減計画!
さすがに、読みにくいぞ、入り込めないぞ、となった場合は『〇年来』の章を飛ばして読むのがよいかと思います。読者にひと手間をお願いする書籍。さすが『売れてない芸人』の処女作。お手数おかけします。
ということで、乱乱乱筆乱乱乱文拙拙拙文の駄々駄々駄文にて失礼します。
『売れてない芸人』のひとつのケースでさぁ。
浜村凡平
〖自己紹介〗
どうも、浜村凡平と申します。
『売れてない芸人』であるという宣言こそしたけれど、どういった『売れてない芸人』なのか? ここで自己紹介をしておいた方がいいかもしれない。
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