見出し画像

Webフリーマガジン インタビュー 『流しの仕事術』を読んで、本当に“流し”をはじめました!  2人目 ポール・ふじむらさん【後編】

【前編】はこちらです。


※『流しの仕事術』とは?

恵比寿横丁を中心に活動する現役ギター流し・パリなかやまさんによる「流しのノウハウ」をまとめた初の書籍。2014年10月、代官山ブックス刊。このインタビューは『流しの仕事術』を読んで、実際に“流し”をはじめたという方に現場デビューまでの過程を聞き、まとめたものである。

『流しの仕事術』(書籍 紙/kindle)

『流しの仕事術』(note)

画像1

ポール・ふじむらさん

岩手県在住の「うたばん(歌の伴奏)流し」

https://www.facebook.com/utaban.paul.fujimura/

――“流し”をはじめようと決めてから最初に何をしましたか? 行動開始から実践に至るまでの流れを教えてください。

『流しの仕事術』を参考にして、計画書『流しでビジネス計画』を作成し、事前に頭の中を整理しました。計画書は、「流しをする目的」「流す場所や回数」「流すスタイル」「流しのときのファッション」「流しの際の小物」などの項目でまとめました。

その際、ギターヘッドに1,000円札をディスプレイする、歌インデックスのチラシをつくる、といった『流しの仕事術』に記載されていた内容はかなり参考になりましたね。

それから2015年5月には恵比寿横丁へ行って、著者のパリなかやまさんの“流しぶり”を拝見して、参考にしました。10月には盛岡市のある居酒屋店主にお願いして、“流し”活動を許可してもらい、デビューを果たしました。

今はとにかく「実践あるのみ」の状態ですね。お邪魔できる居酒屋を拡大しながら、試行錯誤を繰り返しながら、活動を続けています。

画像2

――実際に“流し”をやってみた感想はいかがでしたか?

「楽しい」「うれしい」「勉強になる」の3つの感情があります。

初対面でも老若男女と歌を通じて会話ができることは「楽しい」ですし、その初対面の方からも「ギター伴奏で歌って楽しかった」と喜んでいただけるのは「うれしい」です。

さらに、事前情報が何もない、さまざまな方と会話もするので、コミュニケーション方法は常に「勉強になる」の一言。

僕は“流し”をやってみて、今のところポジティブな感想ばかりですね。これからも楽しみながら“流し”の活動を続けていきたいと思っています。

画像3

――『流しの仕事術』を読んで、参考になった点を教えてください。

具体的に項目をピックアップすると、次の5つです。

①奥義03「お客さんの目にとまれ! 徹底的に見た目から攻略」

ここには“流し”の見た目の重要性が書かれています。「もっともやってはいけないのは反応が得られないことだ」とあったので、僕も最初に人の目を引くファッションを考えて、赤ブチメガネ、明るい色のシャツ、ブレザーという出で立ちにすることにしました。

②奥義04「流しの売り物の絶対ルール。お店の商品とは競合しない!」

“流し”をやらせてもらう飲食店の商品と競合してはいけない、つまり歌を売り物にしているお店には営業するなという内容です。これを読んで、僕もカラオケがある店へは絶対に営業しないと決めています。当たり前のことでも、やる前はこういう“常識”がわからないので、とても参考になりました。

③奥義10「お店に感謝を忘れるなかれ! 歌わせてもらっている恩義」

“流し”は歌わせてもらっている飲食店への恩義を忘れてはいけないとあります。確かにその通りで、“流し”はお客さんが集まる飲食店で歌わせてもらって初めて商売が成り立ちます。僕はマスターやママに必ず初めに挨拶して、今日はお邪魔していいかを確認してからスタートするようにしています。

④奥義13「選び、選ばれる世の中。お客さんへの対応は十人十色」

“流し”をナンパの代行に使うお客さんもいると書いてあるのを読んで驚きましたが、僕の場合は「歌でプロポーズする男性」の伴奏をしたことがありました。実際に“流し”をやってみると、本当にいろいろな方がいるということを痛感しますが、僕はその多様性も楽しんでいます。

⑤奥義15「ポータブルにすることで、流しライフもワンダフル」

曲をリクエストされたら、すぐに歌えるように準備をしていくことの重要性が書いてあります。僕の場合は、リクエストを受けた歌の歌詞をタブレットに表示して、お客様にお出しするのですが、検索する際に待たされた感じにならないよう、会話しながら検索しています。


画像4

――最後に、これから“流し”をはじめようとしている方へアドバイスをお願いします。

歌は初対面でも世代や性別や国籍を超えて人を繋げる素晴らしいものです。自分ができるスタイルを探して、自分も楽しんで、人も楽しませて、人と人を繋げることができるのが“流し”の良いところです。

世の中にギターや歌の上手な人はたくさんいますが、じつは“流し”にとって、「上手い」「下手」は大きな問題ではありません。歌や伴奏が好きで、“流し”をやってみたいと思ったのであれば、行動に移すかどうかが問題だと思います。

サントリー創業者・鳥井信治郎さんの言葉で「やってみなはれ。やらなわからしまへんで」という名言がありますが、まさにその通りだと実感しています。僕の場合は、背中を押してくれたのが『流しの仕事術』でした。

<後編/END>


取材・文:廣田喜昭

画像5

『流しの仕事術』(書籍 紙/kindle)

『流しの仕事術』(note)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?