低学年×ICT Part①

オンライン、オフライン問わず低学年の先生からこのような声が聞かれる。

「ルールを守れない子だらけで使わせたくない。」
「タブレットがあると授業に全然集中できない。」
「端末庫から出すのに時間がかかってしまう。」
「パソコンは高学年からでいいよね。」
「使えって言われてるから使わなきゃいけないのが辛い。」

このようなご苦労を否定してはいけないと思います。
確かに、低学年のICT運用は高学年よりも遥かに難しい。

しかし、正しい使い方を覚えてしまえば画期的に授業の質は向上します。

私の学級も4月当初はこのような状態でした。

「端末を出すのに保管庫の前に長蛇の列ができる。」
「ログインするだけで10分かかる。」
「いらだって端末を投げる。」
「テキトーにさわっていたら解除不能の謎のロックをかけてしまう。」
「人の端末に漏れた水筒を置く。」

しかし、今では6時間中3時間は端末を使って授業をします。
むしろ黒板を使わないこともあります。
月、平均残業時間も大幅に改善されました。
いわば低学年×ICTは先行投資。自転車に乗れるようにすることに類すると思います。

では以下、具体的な実践を述べます。
賛否両論あると思いますが、お読みいただけると嬉しいです。

① ルールの徹底
まず、端末は学校から借りているもの、学校の所有物だと伝えます。
そして、学習用だということも併せて伝えます。
これは学年関係なく伝えるべき概念だと思いますが「ルールを守れないものは権利を得ることができない。」ということです。
私の学級では端末を故意に粗末に扱う。また指示にないことを勝手に行った場合は即時に没収します。当然、学習機会は端末を使わない方法で確保します。どうすれば端末を使えるのか、「保護者と相談して決める。」です。
端末の故意の破損は過失責任が家庭にありますので、当然賠償も家庭が行うことになります。
厳しすぎるように思えますが、まずはそこからがスタートだと思います。

② 先行投資を惜しまない。
いきなり学習に転用しようとすると上手くいきません。
具体を提案します。
まずは「ログイン」の練習をします。
ログインできた人から「ゲーム」をやっていいよ。と伝えます。
ここで言う「ゲーム」はタイピングのアプリです。
「ゲーム」という響きに子どもは弱いのです。
嬉々として「ゲーム」だと思い込んで、子どもは勉強します。
最初に与えるのは「寿司打」というアプリです。

定期的に「話をします。」と伝えます。
先生が話す時は端末は閉じるというルールも伝えておきます。
途中だろうと何だろうと閉じます。
話の内容はつまらないことです。
「ここのキーを押すと改行ができます。」
「ここのキーを押すと音量を変えられます。」
「このように入力すると絵文字が出ます。」
などです。それを1つずつ伝えます。話の内容はどうでもよいのです。

ここでは子どもたちに
「作業中でも端末を閉じて、教師の話を聞く。」
というトレーニングをします。
そして、当然話が終わって開くと、ログイン画面が待っています。
学習進度は遅れますがこれは先行投資です。
いつまでもやめられない子は没収します。
学習のための端末が、学習を阻害しては意味がありません。


③ 端末の準備、片付け

ここでは端末庫の前の行列を防ぐという視点で考えてみましょう。

端末を出すのは1時間目か中休み、昼休み及び清掃後の時間にします。
朝は「ゲーム」をやって良いことにします。
すると、早く来てタイピングアプリを行います。

ただし知恵をつけてくると関係のないゲームを行う子も出てきます。
しかし、基本的に「学習のための端末」です。
学習目的以外に使用することは禁止です。
子どもたちには「ルールを破るならば権利は与えられない、次はやらないは通用しない。ルールを破るなら1年間使えない覚悟をもってルールを破りなさい。」と伝えています。

話は脱線しましたが、朝はタイピングをしたい派とのんびり来たい派で端末庫前の行列は回避できます。

2時間目終了時の片付けです。
休み時間は「雨の日、先生が教室にいる場合」のみ許可しています。
はじめはタイピングのみ可です。今は解禁しているアプリがいくつかありますが次回にお話しします。
これは出席番号①~⑮は端末をしまってからふりかえり。⑮~㉚は端末をしまってからふりかえりを書く。
など、複数の作業を並行して与え行列を回避します。

中休み後の端末を出す場合は教室遊び組は予め出しておく。
外遊び組は帰ってきたら出す。などで行列回避。

清掃、昼休み終了後は「掃除が終わったグループ」から端末を準備。
6時間目終了後は「帰りの支度が終わった人」から端末を片付ける。

など、様々な行列回避術を駆使しております。
子どもたちは繰り返すと準備、片付けも素早くなりますし、行列を作らないように臨機応変に動けるようになります。


厳しすぎる!というお声もあるかもしれません。
しかし、タブレットは教科書やノートと違い、無償で購入しているもの及び教材費で購入しているものとは異なり、所有者が学校であることが肝です。
使用上のルールは学校に委ねられています。

次回は実際に具体的に教育活動においてどのように活用しているのかをお伝えします。



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