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GONIN 私が偏愛するギャング映画 その4

あらすじ

かつてはヤングエグゼクティブとして雑誌に紹介されたこともあったディスコのオーナー・万代(佐藤浩市)は、バブル崩壊で多額の借金を背負い、暴力団大越組の借金の取り立てに苦しんでいた。
ある夜、万代は新宿のバッティングセンターで、サラリーマン風の男・荻原(竹中直人)に執拗にからまれ、反対に殴りつけると、荻原は呆気なく倒れて泣き出した。
リストラで会社を解雇された荻原は、職を求めて夜の街をさすらっていたのだ。
怪我をした荻原を車に乗せて店に帰った万代を待っていたのは、大越組組員による嫌がらせだった。
三屋(本木雅弘)は過去に傷害罪で刑務所に入ったことがあり、それが万代の密告によるものと思い込み付け狙っていたのだ。
三屋の誤解をとき、万代は一緒に仕事をしないかと持ちかける。
万代は、大越組の金庫に眠っている大金強奪を計画し、仲間を探している最中だった。万代に憎しみとともに憧れも抱いていた三屋はそれを承諾する。
翌日、万代は借金の返済を延ばしてくれるよう、大越組に頼みに行った。そこへ組員の金髪の青年・ジミー(椎名桔平)が、女の借金のことで文句を言いにきて幹部と大もめになってしまう。
ジミーは、タイ人の売春婦ナミィーのヒモだった。その夜、ジミーを探しに行ったバーで、万代は用心棒をしている刑務所帰りの元刑事・氷頭(根津甚八)に出会う。氷頭は万代が現金強奪を計画した時から、仲間にしようと思っていた男だった。
事務所の内部に詳しいジミーも仲間に引き込んで、打ち合わせを行っているところへ荻原が現れ、なかば強引に仲間入りし、計画は五人で遂行される。
決して思い通りには運ばなかったものの、まんまと大金を手に入れた五人。
だが、荻原が大金と一緒にナミィのパスポートを盗んでいたことから、大越組はナミィーと一緒にタイ逃亡を企てていたジミーを拉致、拷問する。すぐに、主犯が万代らしいことを突き止めた大越らは、万代のディスコを襲撃するなど報復を開始。
総長が雇った殺し屋の京谷(ビートたけし)と柴田(木村一八)も、精神に異常をきたし、既に自らの手で一家を惨殺していた荻原や、氷頭の別れた妻子を次々に始末していくのであった。
いよいよ自分たちの身に危機が迫っていることを知った万代と三屋は、万代の故郷・飯田へ身を隠そうとするが、京谷たちに逃亡途中で発見され、万代が殺されてしまう。
万代との間に愛が芽生え始めていた三屋は、氷頭と捨て身の覚悟で大越組を襲撃。氷頭は命を落とすが、京谷以外皆殺しに成功する。
こうして三屋は、金と万代の遺骨を持って再び飯田へと長距離バスで向かうが、警察に捕まったと思われていた京谷が現れ、バスの車中で相討ち。命を落とすのだった。

感想など

鬼才・石井隆が、人生に行き詰まった男たちと組織との壮絶な闘いを、たたみかけるような小気味良いカメラ・ワークで、妖しい蠱惑的な映像美で描いています。
佐藤浩市を始めとする演技派俳優の火花散るせめぎ合いも、素敵です。特に、ヤクザの事務所に強盗に入るシーンやラストの佐藤浩市の敵討ちに根津甚八と本木雅弘がヤクザの事務所に殴りこむシーンが、カッコ良すぎです。
演技派男優同士のせめぎ合いが楽しめるシーンでは、五誠会襲撃に誘う佐藤浩市と襲撃の誘いを受けるか駆け引きする本木雅弘、襲撃に誘う佐藤浩市と別れた家族とやり直したい根津甚八の緊迫した駆け引きやビートたけしと木村一八のサドマゾ的な複雑な関係、リストラされたサラリーマン・萩原を演じた竹中直人の歪みきったの狂気、ボクサー崩れの椎名桔平とコールガールのナミィの儚い純愛、冷徹な死神のようなビートたけしの冷酷さ、妖艶な本木雅弘、したたかで複雑なキャラクターの佐藤浩市、不器用でタフで男気のある根津甚八が、印象に残りました。
ちわきなおみの「紅い花」が、生き急ぐ男たちの戦いに、切ない絶妙な味付けを加えています。
90年代を代表するジャパニーズ・バイオレンス映画の1つ。

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