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男たちの挽歌 私が偏愛するギャング映画 その6

あらすじ

ホー(ティ・ロン)は香港の紙幣偽造シンジケートに属するヤクザで、相棒のマーク(チョウ・ユンファ)とともに恒達財務有限公司のボス・ユーの片腕的存在だった。  
一方、ホーの弟キット(レスリー・チョン)は、警察官。
2人は仲がよく、キットは恋人ジャッキー(エミリー・チュウ)をホーに紹介した。
ある日、組織の仕事で台湾に飛んだホーは、警察官になったキットの将来のために台湾での取り引きを最後に足を洗うつもりだったが、取引きの最中に相手組織の内紛に巻き込まれて警察に捕まってしまう。
そのころ、香港ではホーを憎む組織の刺客がホーの留守宅を襲い父を殺す。号泣するキット。
“ホー逮捕”の記事を読んだマークは復讐を決意し台湾に向かうが、逆に組員の銃弾を受けて右足を傷めてしまう。
そして3年。台湾で刑期を終えて香港に戻ったホーは、父の死をホーのせいだと思い込んでホーを許そうとしないキットのためにも足を洗う決意をする。
そんなある日、自分のために負傷し落ちぶれたマークとばったり会ったホーは、タクシードライバーとして足を洗う努力を続けながらも、組織拡大のためにかつてのコネクションを欲しがるシン(リー・チーホン)の執拗な勧誘に苦労していた。
今、組織を取り仕切っているのは、かつて舎弟扱いをしていたシンだった。
3年前、シンはユーと組んでホーとマークを裏切ったのだった。
シンは、組織の悪事が外にもれることを恐れてなかなか自分に協力しないマークを襲う。
ニセ情報を掴ませキットに重傷を負わせたシンに対する、ホーの怒りが爆発する。
キットに組織から奪ったニセ札の原版の磁気テープを渡しニセ札組織壊滅の手柄を立てさせ、一方で取り引き場でシンから金を奪ってマークと共に香港からの脱出を企てるホー。
しかし、シンもしたたかだった。大ボス・ユーを殺し、すべての罪をホーの仕業とみせかけ、邪魔者を一気に葬って、暗黒街を支配しようとしていた。
夜の波止場を舞台に、ホー、キット兄弟とマークは、シンに挑むのだった。
香港ノワールというジャンルを築き、ジョン・ウー監督がブレイクするきっかけになった傑作です。

感想など

チョウ・ユンファ演じるマークが、敵の宴会場に乗り込んで2丁拳銃乱射するシーンをはじめ、ラストの波止場での壮絶な銃撃戦まで、スローモーションを多用した華麗な迫力満点のガンアクションが楽しめるし、ヤクザから足を洗い弟や死んだ父親のために償いたいホーの誓いと弟分の裏切りにより自分の誇りを奪われ取り戻すために巻き返したいマークの執念そして自分が愛する弟や親友そして尊厳のために戦い抜くホーやマークなど男たちの生き様が心を熱くする不朽の名作です。
一人で波止場に残って弟キットに償うために戦おうとするホーを演じるティ・ロンの渋いかっこよさ、自分の命より大事な親友ホーのために戻ってきて雄々しく戦う不屈の男マークを演じるチョウ・ユンファの熱い男気溢れるかっこよさは、男の憧れです。
名言も多く、マークの「3年もチャンスを待ったんだ!今さら威勢を張りたい訳じゃない!失ったものを取り戻したいだけだ!」「自分の運命を決める奴は神になれる」などの熱い名言は男の生きざまのバイブルで、台湾で燻りもう一度巻き返したいというジョン・ウーの執念と情熱が昇華した香港ノワールの傑作。


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