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ITストラテジストが語る最強のES:学業で取り組んだ内容について(3)

学業で取り組んだ内容の第3回目は、実際の例文を改善例と共に幾つかご紹介していきたいと思います。今回まず申し上げておきたい事は、学業で取り組んだ内容欄では、「○○することの大切さを学んだ」「○○出来るようになった」等、学業を通じて得た内容についてのアピール・成長したことについてのアピールは不要です!

其の五「学業で取り組んだ内容では、得た内容・成長アピールは逆効果!」

「○○することの大切さを学んだ」系の内容は、使用するのであれば自己PRや学生時代に頑張った事でアピールする内容です。理由の1つ目は、学業で取り組んだ内容においては、選考側は純粋に勉強してきた事についてお聞きしたいという想いが強いからです。大学3年間~5年間を通じてどのような事を経験してきたか、という事を様々な観点から確認するのが一般的な採用選考だと思いますが、学業で取り組んだ内容欄は文字通り、学業で取り組んだ内容を確認する欄です。大多数の学生は実質的な勉強内容で勝負している中で、本筋からずれたPRをするのはこの趣旨から逸れ、どんな内容であれ残念な印象を受ける企業は多いと感じます。2つ目の理由は、「○○することの大切さを学んだ」系のアピールは、端的に言うと優等生っぽい就活用の美談として捉えられやすいです。自己PRや学生時代に頑張った事において、経験してきた様々な複合要素をまとめた結果として使う分には違和感はあまり感じないのですが、学業欄でこの就活王道文章を使う必然性は全くなく、「またこれか。。」というやはり残念な印象を選考側に与える事が多いと思いますので、この欄では本筋の勉強内容をベースに組み立てていく事をお勧めします。それではこれまでにお話した内容を踏まえて、下記に幾つか文例を載せていきます。

【文系ありがち】ゼミでは半年間を通じて経営学に関する書籍を輪読し、担当分野の内容をまとめて他のメンバーに発表しました。しかし、当初は自分の理解した内容を相手に同じように理解してもらう発表をすることが上手くできず、苦手意識を感じていました。そこで他のゼミ生に内容を理解してもらうために工夫したことが2つあります。1.専門用語について別途補足し、また分かり易い言葉や図を用いて説明する。2.全体の概要を冒頭で話し、まずイメージを掴んでもらうようにする。これらを実行する事で、発表内容を理解してもらうことができました。(247文字)

【文系改善例】管理会計論や財務会計論・また経営データ論等の企業分析に関する授業を中心に履修し、自動車業界5社の財務諸表を3年度に渡り比較・分析する等、各企業の経営戦略や事業展開について実データを基に学んだ。現在は企業経営ゼミに所属し、経営情報システムに関する書籍を輪読し、企業内における会計システムの変遷や活用方法について担当している。発表では専門用語を解説する補足資料や、グラフや図式化したイメージも用いたり、全体概要を冒頭で話し、話す内容のイメージを掴んでもらうようにする等、分かり易い発表を心掛けている。(248文字)

もはや全然違うESになっている感はありますが、、、前回前々回でお伝えをしたように、前半は全般的に勉強してきた内容をベースに、後半はゼミ内容をベースに記載しています。また具体性が無い内容は、選考側からすると対面で話を聞くまで全く理解・評価をする事が出来ないので、何を学んでいるのか、具体的に書く事を心がけましょう。具体性に欠けると、面接まで学業面でのアピールが出来ないこととなりますし、書類選考を通過できなければもはや伝える術もありません。大変もったいないと感じます。また今回お伝えをしたように、この欄での成長アピールは逆効果です。気を付けましょう。

【理系ありがち】私は山田太郎研究室において、薬としての利用可能性がある物質の研究を行っています。その物質はキノコに存在し、コレステロールを抑制することが分かっている一方で、未解明な部分も多く、現在これを明らかにするための研究を行っています。またこの研究と並行して、代謝に関わる物質の解析も進めています。困難なことは、私の研究室にはこの分野に精通している人がおらず、実験のノウハウがなく手探りの状態で研究を行なわなければならないことです。研究を通して、自分が何を行うべきかを考えることができるようになったと感じます。(250文字)

【理系改善例】私は脂肪肝の抑制についての研究を行っています。カワラタケというキノコに含まれる特定の成分は、コレステロールを抑制することが分かっている一方で未解明な部分も多く、これを明らかにするために脂肪代謝に関わるエネルギーの分析を行っています。実験では100程度のサンプルの条件を少しずつ変化させて時系列データを計測しており、特定の条件下において細胞内のエネルギーを20%程度増加させることに成功しました。代謝に関わる物質の調査分析も並行して進めており、新薬の開発の基礎に繋がる成果を残す事を目標としています。(249文字)

理系ESでよくみられるのは、研究室名を記載するケースです。その分野では著名な先生だとしても、一般人にまで名が通っている研究室は極めて稀です。記載したところで通じる訳もなく、勿論伝えるべき内容でもないので、こんな内容で貴重な文字数を減らす事は避けましょう。その他、以前にお伝えしたように、理系院生はとにかく研究内容に関する専門用語をそのまま記載しがちで、且つ多用しがちです。繰り返しになりますが、相手に研究内容が伝わらなければ全く意味がありません。今回前半で具体性が無いESはだめだ!と申し上げましたが、詳しすぎるのもだめだ!と言っている訳では無く、詳しく記載する際に専門用語を羅列するのはダメだ!という事です。選考側は、もし入社してもらった場合に、今後直接活かすわけでもない研究内容を事細かに聞きたいわけではありません。その領域の専門家でなければわからない単語を多用する自己満ESは避けましょう。

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