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まだ1万分の1も試していない。

 雨が降り出しました。予報では土曜日くらいまで降るらしいので、しばらくは雨音がきけますね。異常に降る雨は困るけれど、ふつうに降る雨は好きです。雨の夜はいつもよりよく眠れる気がします。

 さっき雨が降り出す前にと思って、ベランダのサッシをあけて外の空気を吸いながら、古いキルトジャパン(雑誌)をながめていました。

キルトジャパン 2011年9月号 (株)日本ヴォーグ社

 2011年9月号でした。娘が1歳半くらいのころで、震災の年ですね。この年のことはわりと覚えているのに、この雑誌に載っていた内容はほとんど覚えていなかったです。そう、買っただけで全然読み込めていなかったということです。驚くほど発見があって、試したいことにもたくさん気づけました。やっぱり雑誌や本ていいですよね…。確かに紙を使うから自然にはよくないし、物理的に場所をとるし、いつかのいつかは手放さなきゃ行けない日も来るだろうし。でもやっぱり本はいい! いいものはいい! 細かいところを何度も読み返したり見直したりして落とし込むにはやっぱり本だと思いました。

 そうやって細かいところをよくよくみていくうちにまだまだぜんぜん、落とし込めていない、やりきっていない、やりつくしていない、わかっていないことがたくさんあることに驚いたんです。なんというか、今まではパッチワーク・キルトが好きで作ってもきたし、それなりに…みたいな感じだったんですが、いやいやあなた、まだほんのちょっとかじってみたくらいでしょうよ? ぜんぜんまだまだですよ、かじってみてやめるというレベルでもなく、ほんのちょっとのぞいてみたんですけど、というレベルでしょ?  まだパッチワーク・キルトという創作の世界でできることの1万分の1も試していないでしょ?と、そういう声が聞こえた気がしました。

 28歳くらいからちょこちょこ始めて、ベッドカバーサイズの大きいキルト、ベビーキルト、バッグ、ポーチ、カフェカーテン風のもの、ソファーカバー用に作ったもの、鍋敷、ちょっとしたマット… とかを作ってきました。なるべくエネルギーを使わないように(けちくさい考え方でうんざりする)、慣れたパターンで失敗しないものばかりを作ってきて、正直飽きてきたのかもしれません。失敗すればいいんですよね、よく考えたら。というか、失敗しかないかもしれないとも思います。だってよく考えたら成功ってよくわからないですよね。だから失敗もよくわからない。成功か失敗かという2つの結果しかないなんてそんなことあるわけないし、何かしらの結果というのはただ次の道につながるときの目印とかそれくらいのものなのかもしれない。だいたい自分が好きでやっている手芸なんだからもっと試して失敗すればいいのだ!と思ったんです。その試すということを私はまだ、1万分の1もしていない…。愕然としますね。

 実は今、思いつきで作りつなげているキルトがあって、それがまぁ失敗の連続で笑。あーダメだったな、次からここを気をつけなくちゃいけない、とかそういう風になるんですが、最近はあまり自分を責めなくなりました。少し前までこういうちょっとしたことだけで自分は向いていないんじゃないかとか、余計ないらないことばっかり考えてきたけど、そういうことは考えてもなんにもならないどころかエネルギーをとられて動けなくなるのでやめました。この趣味を選んだのは私、やっているのも私、続けて行こうとしているのも私、ぜんぶ私なのだから、やり方も気持ちも好き勝手にやっていいのだ、と思えるようになってきました。たぶん有名なキルト作家さんでも、製作の途中で何かに気づいて次の作品に活かすということはあるだろうし、そういう意味ではプロもアマも関係ないんだと思います。

 今日はこの気づきを残しておきたい気持ちがあって、文章にしてみました。いつも読んでいただいて本当にありがとうございます。

 余談:最近はキルトの雑誌や本の新刊が少なくなっているので(本屋さんにキルトの本カテゴリそのものがないことがあって悲し過ぎます)、キルトを含めて手芸系の本は今後ぜったいに手放さない!と決めています。


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