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言葉を食って、生きている

小さい頃、近所に住んでいた恰幅のいいおじちゃんに、「お腹の中に何入ってるの?」と聞いたことがある。

「スイカだよ」
「へえ。おおきいね」

スイカをいっぱい食べていたら、うっかりタネを飲みこんでこうなってしまったと。さよも気をつけなさいと言われた。

あれから30年以上経つけれど、わたしは何があってもスイカの種は絶対に飲まない。


大人になってから、家族みんなで食事をしていた時のこと。

あまり食事に手をつけない父に向かって、甥っ子が「おじいちゃんは食べないの?他に何か食べてるの?」と聞いたことがあった。

よくタバコやお酒を嗜んでいた父。

ロックな感じで言うのかなと見ていたら、「おじいちゃんはね、子どもを食べて生きているんだーー!!」と答え、甥っ子はビビり散らかしていた。

どういう冗談だったのか今更聞いてみたいし、どうか、甥っ子が私と同じように根っこに残っていないことを祈る。


これらはただの冗談だけれども、じゃあわたしは何を食べて生きているかと考えたら、

たぶん、言葉を食って生きている。

本から、動画から、人の話から、
単語を食べ、文章を食べ、表現を食べ。

自分が感じたことを消化するために、答え合わせのための言葉を増やす。

そうして、人生に起こるいろんな状況に備えている。

もちろん仕事にも役立つけれども、お金とは違う意味で、生きていくためのものなんだよなぁ。

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