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間違い電話。

左手のメモには、
携帯の番号が三つ書かれている。


震える指先で、
その一つをプッシュして。

繋がらない相手に、
ドキドキした。

13回コールで出なければ、
諦めて切る。
…いつも。


二つ目の番号。
高鳴る心臓。

「…もしもし?」
非通知のナンバーに少し警戒したような、
男性の、声。

「間違えました!すみませんっっ!!」
と慌てて切る。

名前など聞かずとも、
チガウとワカル。



じゃあ、三つ目。

これが違ったら、
最初の番号だったのかしら。

数回のコールの後、
受話器を通して聞こえた声、は。

「…もしもし?」
か細い女性のものだった。

「あ、馨ちゃん?あのね、明日の約束なんだけど〜…」
まくし立てるように
勢いよく親しげに喋るあたしの声を、
彼女が遮る。

「…あの?番号お間違えじゃないですか…?」

うん。そだよ。
「え?あ…っと、馨ちゃんじゃない、ですか?」

「はい…」

「ごめんなさい!間違えました!失礼します!」

プツリ。
電話を切って、受話器を置く。


見つけた。

きっと、
間違いない。

確認の為、
再度一つ目の番号にもかけてみるつもり、
だけれど。


あたしの全身に、
鳥肌が立つ。
痺れるような身震い。

そして。
これは、直感。


彼女が、あたしから、
全てを奪おうと、してる、ひと。

やっぱり、
あたしの被害妄想などではなく。
実在していた。

現実、だった。


彼の部屋で見つけたメモを書き写した
三つの番号が並んだ用紙が、

手のひらの汗で柔らかく、

歪んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これは、2008年に書いた
短編小説風のノンフィクション。

わたしはこのようにして
元夫の不倫相手を確定したのでした☆

オンナの勘、
侮るなかれ。笑笑

『プッシュ』
『受話器を置く』
…という表現から、
当時は未だ携帯電話を持っていなかったと
推察されます。

元夫だけ早々に持ってたのよね〜(⑉•̆ ·̭ •⑉)

浮気を助長するアイテムだったことは
間違いない、でしょう…( ・ὢ・ )

因みにこの物語?の副題は、
『浮気相手の特定の仕方』笑

とゆーか、元夫、かなり迂闊だわ(*´∇`)
実家の自分の部屋の机の上に
電話番号が書かれたメモを放置しとく何て…

彼女の番号くらい、暗記しなはれ。笑

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