猫の目

あの美しいガラス玉の
織りなされる模様の光の
懐かしい夏の記憶と
戻らない日々も

春が訪れて子供が遊び
自転車は壊れて直され
本は閉じられて読まれ
呼吸は続き生きる

世界があり人がいて
歴史は埋もれ掘り出され
水は干上がり流れ
墓は増える

芋は掘り出され雨が降り
言葉は濡れて人は泣き
記憶の後に悔悟し
鉄の電車は走り去る

鏡に映る光も蝉も
莫大な星空も
流星と月も
赤い星も、青も、緑も

竹林の夜も山も
滑る氷と雪と砂利も
青く映る湖の夜も
過ぎた時間も、箱も

それにしても、君の話には飽きた
何も言うことがないならば、少し本でも読んだらどうだ?

2024
D.I.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?