見出し画像

消費者市場の細分化

消費者市場の細分化では、二つの大きな変数グループが使われます。つまり、記述的特性ー地理的特性、デモグラフィックス特性、サイコグラフィックスにとる特性ーと顧客セグメントによる特性です。
今回は、この細分化の基準となるものを深掘りしていきます。

地理的細分化

地理的細分化とは、市場を国、州、地域、郡、都市、地元エリアといった多様な地理的単位に細分化することが必要となります。企業は一つまたは少数の地理的相違に注意を払いながら全地域で事業展開を行うことも可能です。

デモグラフィックスによる細分化

デモグラフィックスによる細分化では、年齢、世帯規模、家族のライフサイクル、性別、所得、職業、教育水準、宗教、人種、世代、国籍、社会階層などの変数に基づいて市場をグループ分けします。消費者ニーズ、欲求、使用量状況と製品やブランドの選考は、デモグラフィックス変数との運動が多いこと、デモグラフィックス変数が他の変数より測定しやすいという理由からこの細分化方法は利用しやすいです。
以下のデモグラフィックス変数は市場細分化としてよく利用されるものになります。

年齢とライフステージ
子供、大人、高齢者の3つの年齢層で細分化されることが多いです。
ライフステージ
結婚、介護、出産などをライフステージと呼びます。
性別
女性は共同体意識が強いのに対し、男性は自己実現志向が高い。また、女性は周囲の情報をより多く受け入れる傾向があるが、男性は、自分を取り巻く環境の中で目的達成に役立つ部分にだけに注意をむけるなど、性別によって異なる特徴を示します。
所得
所得による分類をした製品も多数存在します。
世代
世代のことを、人口統計学の世界では、「コ―ポート」と呼びます。
マーケターは一つのコ―ポート・グループに目を向け、そのグループの経験の中で突出して有名なアイコンやイメージを利用して広告活動をすることが多いです。
社会階層
多くの企業は、特定の社会階層に合わせて製品を開発しています。

サイコグラフィックスによる細分化

サイコグラフィックスとは、心理学とデモグラフィックスを利用して消費者をよりよく理解しようとする科学のことです。
サイコグラフィックスによる細分化では、心理面や性格の特徴、ライフスタイル、価値観に基づいて購買者をグループ分けします。

サイコグラフィックスによる細分化の方法で、VALS(Values and Lifestyles)というフレームワークがあります。VAISは、性格の特徴と主要なデモグラフィックスに基づき、アメリカの成人を8つの基礎集団に分離しています。

・革新者
成功していて、教養があり、活動的で「人の上に立つタイプ」。ニッチ志向で洗練されたものを好む。
・思索者
分別があり、満足していて、内省的な対応。製品の耐久性、機能性、価格を重視する。
・達成者
成功していて、目的達成志向タイプ。高価な製品を好む。
・経験者
若く情熱的なタイプ。ファッション、娯楽、交際関係に支出する。
・信奉者
保守的で、型にはまっているタイプ。昔からあるブランドにロイヤリティを持っている。
・懸命者
時流に敏感で、楽しむことが好きだが経済的に制約があるタイプ。スタイリッシュなものを好む。
・創作者
みずからの手で何かをつくることを好むタイプ。実用的あるいは機能的な国産品を選ぶ傾向がある。
・生存者
高齢で、受け身的なタイプ。お気に入りなものにロイヤリティを示す。

日本版のVALSも存在しており、生活における志向性と社会に対する態度で⑩の消費者セグメントに分類しています。

行動による細分化

行動による細分化では、購買者は、製品に対する知識、態度、使用法、反応に基づいて細分化します。

決定的役割
購買決定の際には、発案者、影響者、決定者、購買者、使用者の5つの役割が生じます。
行動変数
多くのマーケターは、行動変数ーオケージョン、ベネフィット、ユーザーの状態、使用量状況、ロイヤリティの状態、購買準備段階、態度ーこそ、市場セグメントを決定するうえでふさわしい出発点であると考えています。

・オケージョン
オケージョンといは、週、月、年まどの消費者の生活における時間的局面を指します。購買者を、ニーズが発生するオケージョン、実際に購入するオケージョン、購入した製品を使うオケージョンにグループ分けすることができます。誕生日、結婚式などがこれにあたります。
・ベネフィット
購買者が求めているベネフィットによって分類することができます。
モービルは、異なるベネフィット・セグメントによって以下のように分類しました。

・ロード・ウォリアー:高品質な製品(16%)
・ジェネレーションF:速さを求める(27%)
・トゥルー・ブルース:ブランドと信頼できるサービス(16&)
・ホーム・ボディーズ:利便性(21%)
・プライス・ショッパーズ:低価格(20%)

・ユーザーの状態
市場は、製品の非ユーザー、元ユーザー、潜在的ユーザー、初回ユーザー、レギュラーユーザーに細分化することができます。
・使用量状況
市場は、ライト・ユーザー、ミドル・ユーザー、ヘビー・ユーザーに分類することができます。
・購買準備段階
市場を構成する人々は、製品を買う準備段階においてそれぞれ違いがあります。当該製品について認知していないもの、認知しているもの、情報を持っているもの、関心を持っているもの、購買希望を持つもの、購買意図を持つものに分けられます。

ロイヤリティの状態
購買者は、ブランド・ロイヤリティの状態によって4つのグループに分けることができます。

・確固たるロイヤリティを示す消費者
いつも決まった1つのブランドしか買わない消費者
・ロイヤリティの対象が複数ある消費者
2,3のブランドにロイヤリティを示す消費者
・ロイヤリティの対象が移り変わる消費者
あるブランドからべつのブランドに目移りする消費者
・ロイヤリティがなく移り気な消費者
どんなブランドにもロイヤリティを示さない消費者

ロイヤリティによる分類で企業は以下なことを学ぶことができます。

・確固たるロイヤリティを持つ消費者を分析すれば強みがわかる
・ロイヤリティの対象が複数ある消費者を分析すれば、自社製品の強みがわかる
・自社ブランドから別ブランドへと移っていく顧客を分析すれば、自社の弱みがわかる

・態度
市場グループには、5つの態度がある。熱狂的、肯定的、無関心、否定的、敵対的です。

コンバージョン・モデル

コンバージョン・モデルは、ブランドに対する消費者の心理的コミットの強度と、転向に対するオープン度を測定する方法として考案されました。
このモデルは、あるカテゴリーにおける現在のブランド選択への態度や満足度などに基づくコミットメントの強度と、同カテゴリーでのブランド選択の重要度を評価します。
このモデルでは、コミットメントの強度を基準に、ブランドユーザーを以下の4つに分類します。

・転向可能ユーザー
・コミットメントがあさいユーザー
・平均的なユーザー
・確固としたユーザー

さらにブランドに対する気質バランスと、別ブランドに対するオープン度を基準に非ユーザーを以下のように分類します。

・きわめて誘引が難しいユーザー
・若干、誘因が難しいユーザー
・流動的な非ユーザー
・誘引可能な非ユーザー

この分類からコミットメントが強い高価値の顧客を誘引し維持するべく行動を起こしたことで収益を増大された企業もあります。

内容として少し複雑ではありますが、これらの知識を元に、顧客がだれかを特定し、彼らの情報を得て、それをもとに戦略を練ることは有効な手段です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?