執筆日:2023年12月26日(火)
更新日:2023年12月26日(火)
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建築設計における環境シミュレーション活用は、設計初期段階で有効なシミュレーションとして、① 気象分析(Climate Analysis)、② 感度分析(Sensitivity Analysis)があり、設計後期での詳細な検討として、③ 統合設計(Integrated Design)がある。

① 気象分析(Climate Analysis)

湿温度変動(Climate Data Plots)
1年間の外気温・湿度の変動をチャートに表現するプログラム。
負荷計算の前提となる外気条件の把握に活用できる
出典:Building Environment Design.com


快適性評価(Psychrometric Chart)
湿り空気線図も用いて温度・湿度を加味した気象データの快適性を評価するプログラム。
様々なパッシブデザインの有効性の検討に活用できる
出典:Building Environment Design.com


太陽の軌跡(Sun Path)
1年間の太陽の動きを再現するプログラム。
年間のどの時期の日射を取り入れ、どの時期の日射を遮るのか、日射遮蔽/取得の検討に活用できる
出典:Building Environment Design.com


積算日射量(Solar Radiation)
建物外壁にあたる積算日射量を算出するプログラム。
開口部の設置位置や日射遮蔽部材の検討に活用できる
出典:Building Environment Design.com


日照・日影計算(Sunlight & Shadow Analysis)
計画建物や周辺建物による影の影響を表示するプログラム。
計画建物の形状や開口部の配置の検討または日影図の作成に活用できる
出典:Building Environment Design.com


風速・風配図(Wind Rose)
年間あるいは月別の卓越風向を把握するプログラム。通風利用の検討に活用できる
出典:Building Environment Design.com


② 感度分析(Sensitivity Analysis)

Honeybee(日射熱・外皮性能、暖冷房消費エネルギーなどの検討)

Grasshopper(グラスホッパー)+Honeybee(ハニービー:ミツバチのアイコン)
HoneybeeはGrasshopper上で、EnergyPlus、Radiance、Daysim、OpenStudioなどの空調や換気、照明シミュレーションプログラムを動かすためのプラグイン。 Honeybeeでこれらのプログラムを動かすことで、建物のエネルギーや快適性、昼光利用、照明のシミュレーションをGrasshopper上で行うことができる。


太陽光発電(PV Panel)
敷地あるいは建物上に設置した太陽光発電パネルによる年間・時刻別発電量を解析するプログラム。
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の実現可能性の検討に活用できる
出典:Building Environment Design.com

熱負荷・年間消費エネルギー(Heat Lood・Energy Consumption)、建築物省エネ法基準モデル相当(Base Study)、外皮設計による比較検討(Alternative Study 1)、自然エネルギー利用による比較検討(Alternative Study 2)、運用方法による比較検討(Alternative Study 3)


③ 統合設計(Integrated Design)


風環境解析 GH2FD(Wind Analysis)
GH2FDは株式会社アドバンスドナレッジ研究所(※1)のCFD(Computer Fluid Dynamics)解析ソフトウェアFlowDesignerをRhinoceros / Grasshopperで操作するために開発されたプラグイン(※2)。GH2FDを使用するためには、あらかじめ最新のFlowDesignerをインストール(※3)する必要がある。
※1 株式会社アドバンスドナレッジ研究所 Webサイト:http://www.akl.co.jp
※2 GH2FDは東京大学大学院工学系研究科建築学専攻前真之研究室の大学院生・高雲氏によって開発されました。
※3 GH2FDはFlowDesigner 2018以前のバージョンには対応していない。またFlowDesignerのインストールについては株式会社アドバンスドナレッジ研究所までお問い合わせが必要。
出典:Building Environment Design.com


光環境解析(Daylight Analysis)+ Honeybee (Radiance)
Radiance(https://www.radiance-online.org/)はGreg Wardによって1990年代にLawrence Berkeley Laboratoriesで開発された、世界で最も使用されているUNIXベースの光環境シミュレーションプログラムの1つである。Backwards Raytracingをアルゴリズムの基礎として物理的な測光量を正しく計算することを第一の目的としているが、Ver.5からはPhotonMappingも組み込まれより速く正確なシミュレーションが可能となっている。  
Honeybee(https://www.ladybug.tools/)はMostapha Sadeghipour Roudsariらによって2014年にリリースされた、Rhinoceros+Grasshopper上でRadianceを用いた光環境シミュレーションを行うためのプラグインツール。



その他

Ladybug(気象データの取り込みを可能とするプラグイン)

Grasshopper(グラスホッパー)+Ladybug(レディバグ:テントウムシのアイコン)
※Grasshopper上で気象データを扱うためのプラグイン。気象データを取り込むことができ、太陽の軌跡や風配図などをつくれ、気象データを分析することで日照計算や日影計算、快適性評価などもできる。

サイト「Food4Rhino」よりダウンロード


Grasshopper(グラスホッパー)

Grasshopper(グラスホッパー)は、3次元CADソフトウェア「Rhinoceros(ライノセラス)」上で動作するビジュアルプログラミング言語(VPL)である。膨大な量のシミュレーションが行え、従来の発想方法では不可能だったアイデア領域の拡大、効率化、意思決定を桁違いのレベルで行うことを実現する。プロダクトデザイン、建築、ジュエリーデザインなど様々な分野で使用されている。

ダウンロード画面
https://www.food4rhino.com/en/app/ladybug-tools


レディバグとの相互関係


天候データ(epw)を取り込むことで環境解析ができる


ハニービーでは、Radianceなどのソフトウエアと連携して環境評価ができる。
シミュレーションを行うためには、EnergyPlus、Radiance、Daysim、OpenStudioなどの解析エンジンもインストールする必要がある。

プラグイン「Ladybug」
https://www.food4rhino.com/en/app/ladybug-tools

出典:「Food4Rhino(フードフォーライノ)」より


参考文献:教会建築家の推薦書籍

共著『日本の最も美しい教会』の新装版『日本の美しい教会』が、2023年12月に刊行されました。

都内の教会を自著『東京の名教会さんぽ』でご紹介しています。



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