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30年前のカツアゲ犯に偶然会った

私が幼少期に住んでいた所は超が付くほど田舎で、バスも電車も無く、買い物目的だと移動の手段はクルマ以外に無かった。

小学5年生の頃

母と街中のデパートにクルマで買い物へ
デパートに付くと母とは別行動し、私はレコード店へ
私はこの頃から『B'z』が好きで、お小遣いを貯めてアルバム『RUN』を購入

嬉しさのあまり、早く家に帰って聞きたいとばかり母を探すも、なかなか見つからず店内をうろうろしてたら、見たことの無い同い年位の4人組に絡まれたのだ

「おい、ゆうじが探しちょるけぇついてきて」

と、デブとその取り巻き3人

私がその当時知るゆうじは、『あぶない刑事』の
大下 勇次(おおした ゆうじ)くらいしか思い付かなかった
(知らない人ごめんなさい)

ゆうじって誰?オレそんな友達おらん」

私は野生の勘とやらで、何かヤバいと感じ
ダッシュで逃げる

デブは当然足が遅いし、私は足には自信があったが、なにせデパートのフロアはよく滑る
取り巻きどもに見事に捕獲される

「おとなしゅーせぇや、ゆうじが緩めんド!」
とデブが凄んでいる

私は両腕を捕まれ、階段を上がり屋上へ連れていかれた

そこにいたのは ゆうじ

1対1なら絶対に勝てそうなひょろい奴
顔にはアニメのように右の頬に5センチ位の傷があった
小学生のくせに見るからにヤベー目付き

5対1

絶対勝てない

と、いうより、今までど田舎で平和に暮らしていたので、ケンカとか、絡まれるとか、初めての経験で、正直この段階では何をされるのか全くわからなかった

取り巻き達に両腕を捕まれたまま、ポケットから財布を取られ、やつらは中身を出し始めた

さっきCD買ったから、財布には小銭とテレカが数枚のみ

ゆうじ

「これだけか?」

「これだけじゃ!」

結局、現金350円と、50度数の未使用テレカ2枚
総額 1,350円相当をカツアゲされたのである

不幸中の幸いだが、B'zのアルバムは無事だった

小学生のお子ちゃまには興味が無かったのだろう

その後、暴力を振るわれる事もなく解放され、母と合流

結局、恥ずかしさと、申し訳無さで母には言えず
静かに家に帰った

すぐさま、ラジカセにCDを入れ再生

B'zのカッコいいサウンドを聴きながら、今日自分に起きた出来事を思いだし、怒りがこみ上げてきた
でも、今さらどうする事も出来ない



それから30年の時が過ぎた


なんと、今日、私の目の前に

あの ゆうじ が現れたのだ

取引先の担当者が、連れてきた
メーカーの営業マン

名刺をもらい、右の頬にある5センチ程の傷は成長と共に少し目立たなくなっていたものの
私にはこいつが
ゆうじ だと直感でわかった

名刺に目をやると

『株式会社カツアゲ商事
 カツアゲ営業所
 営業スタッフ
 カツアゲ ゆうじ』 (仮名)

私は冷静だった

ビジネスの話を終え一旦帰ってもらった

私も意地が悪いようだ

1時間程して彼の名刺に書いてある携帯番号へかけた

『さっきはどーも』的な会話を済ませ、

『おたく、30年前、○○の屋上でカツアゲしよーたの覚えちょるか?覚えちょらんじゃろーのぉ、数えきれんくらい被害あるんじゃろぉのぉ??』

ゆうじ

『え?あ、あのー、えっ??』

言葉につまり、否定もせず、しどろもどろ

さらにその1時間後、私の所に戻ってきた

もちろん、1,350円を返しに

良いビジネスパートナーになれそうだ(笑)

【さ~よな~らなんかは言~わせない~🎵

     僕らはまた必ず会えるから~🎵】

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