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特別だった人も、いつか生活に変わる


すごく好きだった人の話を書いてみていつかの純情な気持ちを少しだけ思い出した私だが、今は全く別の人と結婚している。

すごく大好きだった人の話

一緒に暮らし始めて今月で丸2年。

先輩夫婦から見ればまだまだ短い期間なのだろうけど、この2年で少なくとも恋愛感情みたいなものは全くなくなっている。好きじゃないかと言われたらそうじゃないんだけど、好きかと聞かれれば「大好き!」と即答は出来ない。


特別な人だったころ


そんな私にも、もちろん夫が大好きだった時がある。

詳しくは書かないが結婚前に色々ともめたこともあって、今考えればやめておけばいいのに、私は何があっても夫と結婚したいと思えるほど、彼のことが大好きだった。


夫はとても優しい。それは今でも全く変わることがない。

肩が凝ったと言えば時間をかけてマッサージをしてくれるし、夜中私がはがした布団はかけなおしてくれている。

夫はとても素直だ。

言われたことは素直に受け取るし、人を疑うことをしらない。まあもっともこれは彼の悪いところでもあるのだけど。

そして夫は、とても社交的だ。

私は末っ子として育ったけど人見知りで心を開かないところも多いけど、彼はだれとでも友達になれる。誰とだって話に行ける。私は素直にそんなところを尊敬している。


今までも付き合った人はいたけど、この人とじゃなきゃイヤだと思えたのは、夫がはじめてだった。私にとって夫は"特別な人"であったことは確かで、だからこそ私は、彼と一生いる事を決めたんだと思う。


こんなもの

きっと結婚してから、夫は何も変わっていない。

大好きだったころのまま、彼は優しいし素直だし人懐っこいし、彼は私のことが大好きで毎日嫌というほど気持ちを伝えてくる。

変わってしまったのは、私の方なんだと思う。

結婚前はお互い実家暮らしだったから、最初は一緒に暮らせるだけでうれしかったし、夫のためなら料理だって凝ったものを作れた。

でも今は夫が家に帰って来るのは当たり前になったし、毎日ご飯を考えてつくるのは正直面倒くさいし、仕事をしながら家事をするって本当に大変だ。

毎日暮らしているから自然と夫への文句だって出てくるし、友達と集まれば同じような文句で盛り上がって終わる。


こんなものだ。

そう思いつつも、少し悲しい気がしていた。特別だった人が当たり前になってしまって、それはたぶん"当たり前"じゃないんだろうけど、それでもそう感じてしまう。

いつまでも特別でいられると信じていたあの頃の自分の気持ちを考えると、なんだか言いようもなく悲しくなる。


"特別"もいつか"生活"に変わる


そう感じていたある日。夫が出張に行った。

夫は営業をしているから1か月に1度くらいは出張に行くんだけど、自粛の影響で数か月こもっていたから、久しぶりに一人で寝る夜を迎えた。


一人って、楽だ。

それは本当にそうだと思う。たまにお互い一人になることで、リフレッシュんの時間が作れる。私は新鮮な気持ちを感じつつ、一人の布団に入った。


私は一つのことを考えすぎてしまうことがたまにあって、考え出したら止まらなくなってしまう。だいたいそれはマイナス方向に向かって行って、どこまでも落ちていってしまう。

考えても仕方ないんだけど、考えてしまうんだからしょうがない。

布団の中に入って色々と考えてしまった時、最終的に寝てしまうしか抜け出す方法はない。でも考えすぎると寝られなくなることも多くて、そういう日はただ眠気がくるまで待つしか方法がなかった。


一人で布団に入って、最近そういう事がなかったなと気が付いた。なんでだろうと考えてみたら、そういう日はだいたい夫の腕の中で体温を分けてもらっていたら、すぐに眠りについていたからだと気が付いた。

夫の体はいつも温かい。夏は暑くて近寄ってほしくないけど(ひどい)、冬はくっつくと電気毛布みたいな役割を果たしてくれる。そしてその体温を感じているだけで、すごく安心するのだ。


ああ、精神安定剤みたいなものになったのか、と思った。

くっついて寝ても、ドキドキする気持ちも燃えるような恋心も感じることはないけど、でも夫と寝ると私は確かに安心する。

例えば毎日そこにあったものがなくなったら違和感があるように、あたりまえのようにそこにいた夫がいないと、どこか不安を感じてしまう。私の中で夫はいつの間にか"特別な人"から"生活"に変わっていた。

それがいいことなのか悪いことなのか聞かれると、どちらもあるんだろうけど、「大好き」と即答できないくらいに特別でなくなったとしても、夫は私にとって必要な人であることは間違いない。


悪夢を見てしまった夜も、余計なことを考えすぎている夜も、夫がいればきっと私は安心して寝られる。そして何事もなかったかのように、次の日起きて仕事に行ける。


トキメキが安心に変わっただけで、きっと私はまだ夫のこと好きなんだろうな。


当たり前だと思っている事にも、きっと感謝をしなくてはいけないと気が付くためにも、たまには一人になってみるものだと思った。

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