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datatech-jp Casual Talks #5 レポート

datatech-jp Casual Talks #5 レポート

恒例のdatatech-jpのLTシリーズです。
今回もレポート書きます。

データマネジメント セミナーレポート

過去のレポートはコチラからどうぞ

その他データマネジメント関連のセミナーに興味ある人はこちらから。

エンタメドメインでのデータ分析組織の軌跡と今後の挑戦

発表者

Kohei Nishida(バンダイナムコネクサス)

発表資料

<後であれば更新する>

概要

バンダイナムコグループの紹介

ゲーム、メディア、おもちゃ、アミューズメント施設などエンタメドメインを横断的に取り組んでいる。
そのエンタメ事業をIP軸戦略(IP軸を最大化する)という戦略をもって進めています。

所属のバンダイナムコネクサスはFangage、データ分析、enzaの3本の事業を行っている。本日はデータ分析について話します。
データ組織はデータアナリスト、データサイエンティスト、データのプロジェクトマネージャーの3つの役割から構成されている。

データ分析組織を定着させるために

分析を組織に導入させるためには、いきなりデータ分析を入れましょうではなく、実績を作ることが大事。
まずは、スポンサーに対して実感持ってデータ分析が必要であると認識してもらうことにフォーカスした。

いま回っているビジネスに横やりでデータ分析を入れるというのは生半可なことではないので3点が定着のポイントだった

  • 細かい共有

  • 一丸となれるチーム体制

  • グループ全体のプロジェクト化

品質向上の取り組み

品質については、以下の取り組みを行っている。

  • データ量が膨大になってきて品質向上のためにデータマネジメントに取り組んだ

  • ビジネス貢献の質は、PMがデータ分析施策ごとにメンバーを定義してアサインすることによって、品質を担保した。

  • ビジネス軸の品質管理、分析軸の品質管理に役割を分けて担保する体制を構築した。

データ組織の構築

案件は存在するが、安定して業務があるのかわからないという状況だったため、なんでも屋さんである「データストラテジスト」という役割を作った。

案件をこなしていくうちに、安定して専門家が必要であると認識されたときに役割を切り出した。「データアナリスト」「データサイエンティスト」とか。

今後の取り組み

今後挑戦したいことは3つ
・ベストプラクティスをグループ内に広げたい
・IPについて「バズりかた」等もっと深く理解するための分析をしたい
・海外拠点と技術やデータを用いた事業で連携したい

質疑

Q:品質管理の妥当性はどのようにしている?

A:フレームワークはビジネス観点はいくつかあるが、技術的な観点は話し合いベースでやっている。
ドメイン知識が必要なためフレームワークを使えない

Q.ビジネスの貢献のKPIはどうやって出していますか?
A.わかりやすい数字の方がよい、売上、コスト削減というところに抑える。データサイエンティストと頑張って算出する。
あとは、施策によってKPIを定めている。

Q.データ関係で100人くらいいるということもあり、データの中での専門性が分かれていることが想定されるが、生データから価値をだすまで分業化されていると思うが、コミュニケーションはどうしている?
A.まだ縦割り化されている課題は感じてないため、会話ベースで何とかなっている。ビジネス貢献を一緒に考えることで目線がそろって言っている感じは感じる。

Q.データ分析とそれ以外の要因の切り分けはどうしている?
A.厳密に切り分けるのは難しいが、イベント効果の要因をカテゴライズしてデータ分析による効果としている。

Q.初期、中期、現在とあるが、初期からどのくらいの時間軸で組織を拡大させた?
A.最初1年は少ない人数だったが、2年目くらいから一気に拡大していった。プロパーと委託で組織を拡大していった。

感想

データ組織が拡大していくと、専門職化していくという実例が見えてよかった。
最初はスペシャリストよりジェネラリストというのはなるほどなと。

データ職だけで100人いるというのは事業会社ではメガベンチャーくらいしか無いのではないかなと。
データ組織の拡大は会社として、Payできるだけの分析案件がどれだけあるのか、どれだけ生み出せるのかがポイントになってくるということに聞いていて気が付いた。

「データ分析でビジネス価値をだす」というお題が難しいのでよく乗り越えたなと思ったので、どう乗り越えたのか詳しく聞きたいところ。

エンジニアが後工程で必要になるというのは、エンジニアとして考えられないのでそういう考え方もあるのかと。

データ基盤の立ち位置を考えるのにチームトポロジーの概念を活用した話

発表者

koki odani(株式会社MonotaRO)

発表資料

<後であれば更新する>

概要

MonotaROについて

MonotaROは間接資材のEC企業。自ら在庫を持ちEC、コールセンターまで自社で全て賄っている。

データ活用も各部門の分析担当者がBigQueryを活用して分析しているような状況。分析担当者が扱いやすいDWHの構築を目指している。

DWH構築の課題と対応策

扱いやすいDWH構築のためにはドメイン知識が必要だが、ドメイン知識を収集するためにはヒアリングなどを駆使するがコミュニケーションコストが高い。
範囲を広げれば広げるほどコストがかかり、うまくスケールしないという課題が出てきた。

解決方法としてデータエンジニアが構築するのではなく、分析担当者自身がデータ環境を管理する体制を作った。=データ基盤の分散管理

そうすると、データエンジニアが管理する範囲と分析担当者が管理する範囲の境界があいまいになってきた。
チームトポロジーの概念を使って境界をつくることを取り組んだ

チームトポロジーとは

コンウェイの法則を逆手に利用して、作りたいシステムに合った組織構造を設計するための4つのチームタイプと3つのインタラクションモードを提案したもの

4つのチームタイプ

  • ストリームアラインドチーム

  • イネイブリングチーム

  • コンプリケイテッド・サブシステムチーム

  • プラットフォームチーム

3つのインタラクションモード

  • コラボレーション

  • X as a Service

  • ファシリテーション

立ち位置をチームトポロジーの概念を使って整理するとデータ基盤チームはプラットフォームチームかつ、適したインタラクションはX as a Serviceであることが分かった

立ち位置を把握した後の取り組み

現在はプラットフォームチームとしては整っていないので、うまくスケールしないことが分かった。
そのため、X as a Serviceで完結する範囲を拡大してスケール出来るように体制を構築することを目標とした。

X as a Serviceに向けての取り組み

  • dbt等を利用して専門知識が無くともDWHを構築できるようにする

  • Lookerを使ったデータ品質の管理、ロジック共有の容易化

  • 自律的に問題解決できるようにナレッジの集約

まとめ

  • 目標とする体制実現のため、チームトポロジーで整理を行った

  • チームトポロジーを使うことで認識が合いやすくなり、議論が進み、具体的なアクションに落とし込めた

  • メンバー間で共有し整理を行うことが重要

  • 本来の目的であった自律的に管理できる体制の構築を進める

質疑

Q.分散管理のためには相応なデータリテラシーが必要だと考えられますがいかがでしょうか?
A.これからの取り組みとして行いますし、もともと利活用側にベースとしてのリテラシーを兼ねそろえている方が多いという背景もある

Q.エンジニアやっている部門だとチームトポロジーなどの考え方も適応しやすいが、ビジネス部門や業務部門へ考え方を布教していくのはどうしている?
A.チームトポロジーの概念を適応するのは難しい、巻き込み方としてDWHの改善に入ってもらって徐々に進めることを考えている

Q.利用者側の管理に必要なツール選定にガバナンスを効かせるためにどうしていますか?
A.今のところその課題にぶち当たってないが、dbtにしていきたい思いはある

感想

チームトポロジーというのは初めて聞いたが、フレームワークを使って現状の立ち位置を把握するというのは良さげ。
車輪の再発明にならないように、自分で一から作らずに既存のフレームワークをあてはめて整理するというのは良いアプローチだと思う。

DWHというよりデータマート的な話かなと思って聞いていたけが、データマート層は分析利用者が整備できた方が便利。
作ったデータマートも誰もが使えるようにデータカタログ化したりしたら、もっと良さそう。

スタートアップでのデータマネジメントの始め方事例

発表者

Yasuhisa Yoshida(10X)

発表資料

<後であれば更新する>

概要

10XのプロダクトStailerの紹介

既存のスーパーに対してネットスーパーに必要なシステム一式を提供するプラットフォーム。
ユーザー向け、事業者向け、配送スタッフ向けといったシステムがまるっと提供している。

データマネジメントについて

データマネジメントに関する個別事例はあるが、全体の進め方については事例は多くないので、取り組みを発表します。

入社してから感じた課題

データマネジメント担当として一人目職種かつオンラインという状況の参画だが、データマネジメントは一人でやる役割ではなく周囲との協業が必要な職種だが、難しさがある。

データに関する課題もいっぱいあって、大変
・データ品質が低い問題
・誰に聞いたらいいかわからない問題
・データがどうやって作られているのかわからない問題
・全体をいい感じに取り組んでいかないといけないプライオリティの問題

社内一人目職種相談会の開催

10Xにはいろんな職種があるが、一人目オンラインという状況の人は結構いた。
それをふまえて「社内一人目職種相談会」を実施して話をした。

人と話すことで他職種の解像度が高まった。
・向こうからは職種ごとの困りごとなどを聞けた。
・データマネジメントで目指したい世界観を伝えることもできた。

データマネジメント成熟度アセスメントの実施

現状の全体感を知るためにデータマネジメント成熟度アセスメントを行った。

データマネジメント成熟度アセスメントの流れ
・部内でのヒアリング/アセスメント
・社内へのヒアリング/アセスメント
・社内へのヒアリング/アセスメントを受けて再度優先度付け

部内でのヒアリング/アセスメント
成熟度レベルを5段階で評価した。
データマネジメント成熟度アセスメントで大事なことは、レベルが高い低いということではなく、社内で現状のレベルをそろえることが大事。

社内へのヒアリング
アセスメントのための質問を形式化して取り組んだ。ポイントはデータマネジメントの専門用語を使わずに、データマネジメントの観点で聞きたいことを引き出せる質問を用意すること。

再度優先度付け
データマネジメントの軸の依存関係をマッピングして現状とプライオリティを可視化した。

現状の課題/目指したい世界観を社内に伝える

データマネジメントの重要性をどう説明したかというと、データアナリスト工数足りない問題を事例として説明した。

アナリストの工数が足りない中データが管理されていないことにより、分析に集中できずにDWHの作りが課題になっていた

データ品質、データセキュリティはスタート時の運用がそのままだったのでやばいよってことを伝えた。

データマネジメントの役割は、基盤作っている人、セキュリティをやっている人と局所的にとらえられがちだが、そうではなくてデータ全体のマネジメントを行いビジネスに貢献する仕事であることを伝えていくのが重要。

10Xでのデータ利活用のToBe

「ガードレール」と「セルフサービス化」をキーワードとして挙げている。

ガードレールはあるものをなんでも見れるという状態ではなく、安心して分析できるような板を作るイメージ

「セルフサービス化」はみんなが自由に分析を書くというよりは、組織としてどういうケイパビリティを持つかという話。ひとつ前のセッションに近い話かも。

実現のためにいろんな職種の人に協力依頼をしている。アナリストは呼吸ができないという表現だったので、自由に呼吸ができるように。法務にはデータプライバシーの守り。エンジニアには生データの連携を依頼。

アセスメントをやったうえで進めると、なんでこれをやっているのだっけ?と言った疑問に対する回答になる。

データマネジメントの進め方については気になっているのでどしどし事例を共有ください。

質疑

Q.データマネージャーという求人で入社したのでしょうか?どういう求人がよい?
A.入社した時はアナリティクスエンジニアとして入った。全社のデータを見るところはアナリティクスエンジニア。全社のデータマネジメントをやっている。10Xではデータマネージャーは別の役割としてある。職種というよりはカジュアル面談を経て期待する役割をしっかり伝えるのが良いと思う

Q.DMBOKのデータマネジメント成熟度アセスメントは正面からやると大変なので、工夫が必要と聞いたがどうしました?
A.11項目全部同じ濃度でアセスメントしたかというとそうではなくて、経験則で重要度を判断して取り組んだ。アセスメントはやるが型にははまりすぎないことを注意した

Q.10Xではデータスチュワードを定義していますか?
A.職種としては定義していないです。関連する職種はデータアナリスト、データサイエンティストなどいます。明示的にデータスチュワードは置いておらず、その役割を行っている人はいる。

Q.(聞き取れなかった)
A.どの組織でもデータマネジメントが武器になることは無いし、いきなり全量目指してやる必要もないと思っている。今回は一つの事例として

Q.吉田さんの役割は必要そうですが、育成するとしたらどうしたらよいでしょうか?
A.最初からデータマネジメント、データガバナンス専門というよりデータ活用側での課題感をもって入ってくると良いと思っている。アナリストとかシステムとかが入り口になる。もしくは局所的なスキルを持った人が組織になって取り組むというのもありだと思う。

感想

データマネジメント成熟度アセスメントはスコープが難しいと思っているのだけど、今回のスコープはToBeがスコープになってそう。

最後のQAで答えられていたところで、データマネジメントやる人はデータに対する課題を知っている人がいいと言っていたが自分もその通りだと思っていて、データマネジメントできる外部コンサルですみたいな人は、マネジメントが目的になって、その先のビジネスに全然目が行っていないというのが経験則としてあるので、まじ大事。

今の会社入った時も、データマネージャーとして入るとなったらまず何をしますか?という質問に対して、「データマネジメント成熟度アセスメント」しかないと答えた自分は吉田さんと思考が似ているかもしれない。

昔はドキュメントベースでアセスメントしたって話を書いたのだけど、今は担当者2名でエイヤでやったので、ここもとりあえず部内にヒアリングというのも似ている。
吉田さん、事例が聞きたいと言っていたので次回にでも登壇しようかな。

おわりに

自分の知識をまとめるためと今後誰かがデータマネジメントをやってみたいと思った時のきっかけとなるためにnoteを書くことにしました。
モチベーションのために役にたったという人はぜひ、フォロー&スキをお願いします。

ツイッター(@yoshimura_datam)でもデータマネジメントに係る情報をつぶやいてますので、よろしくお願いします。

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DMBOKを技術者目線で読み解いた内容になっているので、実践的データ基盤への処方箋と同様データ技術に係る人におすすめする。


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